学生フォーミュラを知ろう! #2(動的審査編)
今日は「学生フォーミュラを知ろう!」動的審査編です。昨日の静的審査はマシンは走らせませんが,ついに動的審査で走り出します。ただし,大会当日に動的審査を受けるためには,車検をクリアしなければなりません。ルール通りにマシンができているか,安全性に問題がないかを確認します。安全にかかわるため厳しく確認されるため,私が現役のころは半数近くのチームがここで脱落していました。
そして,晴れて動的審査に進んだチームが戦う種目を紹介します。今回のコース図は,すべて公開されている大会のプログラムから引用しています。こちらにも詳しく紹介されているので,興味のある方はぜひ見てください。チーム紹介もあります。
アクセラレーション(100pt)
アクセラレーションはシンプルにマシンの加速力を競うものです。75mの直線をスタンディングスタートで走りきります。ドライバー2名が2本ずつ走り計4本のベストタイムで競います。トップのチームが100pt,それ以下はタイムに応じてポイントが割り振られます。セッティングが許されているので,ウイングのついている車両は寝かせて走らせていることが多いです。
こちらは去年日本新記録を出した名古屋大学の走り。4輪インホイールのEVということで別次元の加速力となっています。
スキットパッド(75pt)
スキットパッドは定常円旋回ということで,八の字状のコースを走って旋回性能を競います。左右2周ずつ,こちらもドライバー2名が2本ずつ走り計4本の左右の平均タイムのベストで競います。ポイントはトップが75pt,それ以下はタイムごとに割り振られます。
こちらは岐阜大学の走行。単純に見えますが,ドライバーからすると入りや切り返しのタイミングが難しいのだとか。
オートクロス(125pt)
続いてオートクロス。パイロンを立てたコースのタイムアタックになります。最終競技のエンデュランスの出走順を決める予選のような役割になります。かなりモータースポーツっぽくなってきました。マシンの一発の速さが求められます。
こちらは工学院大学と日本自動車大学校の走行。全く見た目の違うマシンですが,近いタイムで走っているのが非常に面白いと思います。
エンデュランス・効率(275pt/100pt)
エンデュランスはオートクロスで走ったコースをドライバー交代を挟んで10周×2を走ります。夏の長丁場はドライバーにもマシンにも負担が大きい競技です。ドライバー交代の際は一度マシンの電源を落とすので,再始動の際にエンジンがかからなかったり,オーバーヒートでペースダウンを余儀なくされたりとかなりドラマチックです。効率はエンデュランスの燃費または電費を特殊な計算式でポイントにします。基本的にはEV有利になっています。速いタイムを出すための走行性能はもちろん,それを長距離続けるだけの信頼性,そして果ては燃費までとまさに総合力を競う花形種目です。
こちらは京都工芸繊維大学と工学院大学の走行。エンデュランスはオートクロスのタイムが遅い順に走っていき,最終日の午後に最速6台,通称「ファイナル6」が出走します。この2校はこの年の最後の2台ということでかなりレベルの高い走りとなっています。
ということで今回はここまで。実際に走っている動画を見てもらうと迫力も伝わるんじゃないかと。
次回は「元中の人」ということで実際にどういう感じでマシンをどうやって作っていくか,その準備編ができればと思います。