水の粒子
きのう、ぽこっと時間が空いたので、ずっと気になっていた人のお墓探しをしてきました。京急に乗って。ショートトリップです。
ウェブの記事を頼りに、初めて六浦という駅で降りました。公園墓地で休園日、誰かに尋ねることもできないから、一つ一つしらみつぶしに回るしかなく。探し当てるまで歩きつづけちゃうなと思いましたが、3、40分で見つけられました。
その人は安藤美保という、将来を嘱望された歌人でした。91年に24歳の若さで事故で亡くなりました。
私が彼女を知ったのは10年ほどもあとで、試験の作問でいろいろな短歌に親しむようになったのがきっかけでした。
墓誌に刻まれていたのは
緻密に緻密かさねて論はつくられぬ崩されたくなく眼をつむりおり
絶筆になるのかな。
君の眼に見られいるとき私(わたくし)はこまかき水の粒子に還る
は有名です。
私は
ずいずいと悲しみ来れば一匹のとんぼのように本屋に入る
がとても好きです。
とんぼってほんとうにそういう飛び方をするなと思うのです。
墓前にはお彼岸のものか大きなユリが活けられていました。
美保さんが亡くなって四半世紀がたちました。
今はお父さんと一緒に静かに眠っていらっしゃいます。
(2017年3月30日)