長野プチ旅①:長野市を一望できる公園へ
平年より2週間遅れで梅雨入りした東京。
6月に入ってから超忙しく、心身ともにクタクタ。
心も身体も休息を求めている。
久々の二連休は曇りのち雨の予報。
どこか、緑多くて空気のおいしい所に行きたいな。
ついでに小鳥も見られたら。
東京から長野へ1時間20分で行けることを知り、今回は長野に行ってみようと思い立つ。
実は今回、戸隠高原行きを計画し宿を長野駅前に取っていた。
ところが諸事情で出発が遅れ、戸隠での早朝の野鳥観察を断念することに。
代わりに、長野市内で森林浴しながら鳥が見られそうな公園に行ってみることにする。
目指す公園は高台の上。
行きはおさぼり、タクシーに乗る。
タクシーの運転手さんによると、北陸新幹線が金沢まで延伸して以降長野で降りる観光客が減ったという。
インバウンドもあまり見かけないらしい。
人混みの苦手な私には好都合だ。
長野市、善光寺の北に位置する地附山(じづきやま)公園。
正確には「防災メモリアル地附山公園」という。
1985年7月23日に地滑りが起きた所でもあり、老人ホームに入居する26名の尊い命が奪われた。
地滑り災害を後世に残そうと、子供たちが防災を学びながら遊べるアスレチックがあちこちに設置されている。
背後にはトレッキングコースが設けられ、地附山の山頂を目指せる。
公園は標高604m、地附山は標高733mだから、気軽に登ることができる。
野鳥の会のHPで見つけた地附山公園。
さすがに観光客はおらず、地元の方がちらほらいる程度で静かだ。
しかし、ちょうど小学生のグループと鉢合わせ。どうやら20人ほどでトレッキングをするようだ。
ワーキャー楽しそうな子供たち。
これじゃあ小鳥は逃げちゃうなと、私は一人苦笑い。
森林浴が楽しめたら良いかと気分を入れ替え、彼らから距離を置いてスタートする。
頭が赤いので一瞬ニュウナイスズメかと思いきや、頬が黒くなりだしているから普通のイエスズメのようだ。
幼鳥は頭がフサフサだ。
この日の長野市は真夏日予報だが、トレッキングコースは涼しく快適。
途中まで歩きやすい平坦な道が続く。
それもそのはず、以前は道路だった部分だ。
タクシーの運転手さんが話していたけれど、地滑りで長野市から戸隠に抜ける「戸隠バードライン」がズタズタに寸断され、再整備されることなく現在も使用されていないままだという。
「あの道、走りやすかったんだけどね」と運転手さんがぼやいていた。
この公園には、他にもロープウェー跡や遊園地跡、スキー場跡がある。
かつて1960年代に観光地として賑わっていたという地附山。
しかし1964年に開通した戸隠バードラインにより人の流れが変わり、衰退したという。
そのバードラインも、1985年の地滑りにて閉鎖となった。
朽ちたコンクリートに、時の移ろいや人の営みの儚さを感じる。
園内の青々とした森の中でキビタキやイカル、アカゲラかアオゲラとおぼしき声があちこちで聞こえる。
葉の向こうの彼らを見つけるのは至難の業だ。
エナガやヤマガラはすばしっこく飛び回っている。
山頂が近づいてきた。
頭上をピーヒョロロロと鳴きながらトンビが旋回している。
頭上で複雑に鳴く鳥がいる。
「チョッピーチリーチョチーツク」など色んなフレーズで鳴くホオジロ。
その「聞きなし」はいろいろあるが、「一筆啓上仕り候(いっぴつけいじょうつかまつりそうろう)」が有名だ。
確かにそう聞こえなくもない。
他に「札幌ラーメン味噌ラーメン」「源平(げんぺい)ツツジ白ツツジ」と聞こえる人もいるとか。
私には、札幌ラーメンとは聞こえないなあ。
時刻は11時過ぎ。
今日のコースはハードではないけれど、疲労が溜まっている体にはちょうど良いみたい。
ここでお昼にしよう。
東京駅を出る時に目に留まった柿の葉寿司。
久々に食べるが、疲れた身体に甘みと酸味がちょうど良い。
元気をチャージしてさあ、出発。
下山し、帰りはバスのある道まで歩こう。
途中何組かトレッキングを楽しむ人たちとすれ違う。
ここは市内の公園だが、みんな熊鈴をつけている。
長野は熊が身近な脅威なんだろうね。
私も気を付けよう。
園の出口でもホオジロが鳴いている。
足が頭まで上がるなんて、鳥たちの股関節の柔らかさに驚く。
頭をかくのは羽ではできないということか。
鳥たちも頭が痒くなることがあるのかな。
公園を出て、バスの通る道まで坂道を降りていく。
しばらくすると、絶景が目の前に広がる。
ここからの景色が一番見晴らしがよい。
車を運転する人はわき見しないよう気を付けないとね。
夜景も綺麗なんだろうな。
道路横の見晴らしの良い木で、あの鳥が鳴いている。
長野では6月でもホーホケキョが聞けるのね。
彼は、少し離れたところで同じように鳴くウグイスと鳴き合うことに夢中で、私に気づかない。
そっと観察する。
いや、あなたの声が綺麗だったもんで。
ごめんごめん。
縄張りを守るためにさえずっているオスはこんな感じで、こちらを気にしつつもさえずりを止めないことが多い気がする。
ドヤ顔で鳴くオス鳥。凛々しく男前に見える。
坂をどんどん降りていくと住宅街に出る。
今日あちこちで見かけたホオジロ。
東京では河川敷以外で見かけることがないそうだ。
長野はホオジロだけでなく、野鳥にとって住みやすい街なんだろうね。
空気もおいしいし、人間にとっても住みやすそうだ。
東京の人間がまず行くことが無い地附山公園。
長野市を一望する景色が気持ち良かったし、森林浴でリフレッシュできた。
曇りで良い写真が撮れなかったが、ウグイスやホオジロにも会えた。
また日を改めて、今度は戸隠にチャレンジしよう。
バスに乗り、今日宿泊する長野駅前のホテルを目指す。