公園内のホテルで非日常を②:早朝の空と野鳥たち
前回からの続き。
日の出前の公園を散歩がてら探鳥しようと、都内の公園にあるホテルに一泊した私。
早朝までに、前日の雨がすっかり上がっている。
5時まで施錠予定の玄関をホテルの人に開けてもらい、目の前に広がる静かな公園の空気を胸一杯吸い込む。
木々の香りに洗いたての空が私を迎えてくれる。
園内の施設は夜間閉鎖されているが、公園は24時間立ち入ることができる。
日の出まであと30分。
湿気が残るが、気温は25度で涼しく爽やかだ。
まだ薄暗い園内を海岸へ向かう。
早朝の東京湾越し、対岸にキラキラ光る都心の光。
眠らない街、東京が都会であることを感じずにはいられない。
朝空と夜景が織りなす美しい光景にしばし見とれる。
野鳥たちにとっては、緑多く静かなこちら側の方が快適なんだろうけどね。
空が段々明けていくのを感じながら園内を散歩。
池に鳥がおらず、池での探鳥をあきらめた私の足元に彼らが突然現れる。
お互いにびっくりしたが、カルガモのお母さんは飛び立つことなく、よちよち歩きの子ガモたちを守るように池へと歩き去った。
びっくりさせてごめんね。
この時引潮だったようで、浅くなった海面でたくさんの魚がピチピチ跳ねていた。
網を放ったら魚が50匹くらい捕れそうだ。
おーい、誰か網を持ってきて。
日が昇っていく中、海岸沿いを歩く。
涼しいせいか、昨日の昼間より鳥たちは元気だ。
海辺を歩いていると、こんな子たちにも出会える。
カニも暑いのが苦手なのかな。
昨日は見かけなかった。
ハトの眼って琥珀色と思っていたが、このハトは真っ赤。
ハトの目の色ってどうやって決まるんだろう。
普段ハトを見慣れているだけに、あまり注目することが無かった。
お尻をピコピコ振りながら歩く、可愛い彼らも健在だった。
イソシギと共に、餌探しをしている親子を見つける
親鳥から離れた所で幼鳥が歩き回っている。
ごめんごめん。
だって可愛いんだもん。
少し離れた所にもう一羽、ハクセキレイの幼鳥がいる。
朝焼けに照らされる野鳥たち。
次々に目の前に現れ、見せてくれる豊かな表情に飽きることが無い。
ムクドリの成鳥は白黒交じりで可愛いとは言えないが、幼鳥は愛らしさを残す。
右の幼鳥はアルビノなのか、他の家族より白っぽい。
一瞬コムクドリかと思ったが、全体的に色が薄目なだけのようだ。
幼鳥一羽一羽の出で立ちが異なり、これはこれで面白い。
海岸を歩いているうちにすっかり日が昇ってきた。
最後に下の池に行ってみる。
下の池は海水が流れ込む汽水湖。
以前はシギやチドリがいたが、今日は鳥の姿が無くひっそりと静まり返っている。
代わりに彼らで賑わっていた。
野鳥を知らない人にとってどれも同じ鳥に見えるように、私にはカニが全て同じに見える。
おいでおいでをしていたこのカニ、かわいいなあ。
今度はカニの勉強をしてから来よう。
陽が昇り、園内の気温が上昇し始める。
気が付けば3時間が経過している。
私のお腹はペコペコ。ホテルに戻って朝食を食べよう。
ホテルに戻る途中、茶色い動物が集まっているのを目撃する。
前回タヌキと遭遇した時の様子はこちら。
以前見かけたタヌキは大人一匹。
今日は子タヌキ4匹、餌付けをしている高齢女性に集まっていた。
親ダヌキは見当たらない。
彼女は彼らを振り払いながら「餌をやってもやってもあきらめてくれなくて」と近くの友人に笑って話しておられたが、中途半端なエサやりは彼らのためにならない。
自分で餌を取れなくなった野生動物は、やがて淘汰される。
野生動物への餌付けはやめて欲しいなと思いながら通り過ぎる。
涼しかったとはいえ、3時間も歩いていると体がほてる。
冷たい炭酸水で喉を潤し、部屋のジャグジー・テレビ付きお風呂でオリンピックを見ながら汗を流す。
口コミなどで食事にあまり期待していなかった(失礼!)が、朝の散歩でお腹ペコペコだった私は大満足。
ここで食事をする人が少ないのか、ホテルはレストランにあまり力を入れていないように見えたが、清潔で広々とした店内でゆったりとした時間を楽しむことができた。
今回、自宅から1時間内のホテルでプチ旅行。
野鳥好きにとっては幸せなひと時だった。
ホテルは古めだが建物が立派で清潔。静かに過ごすことができた。
ホテルの皆さんも温かく、心地よい時間にリフレッシュ。
また訪れたいホテルリストに仲間入りだ。
さあ、涼しいうちに自宅に戻り、明日からの仕事に備えよう。
暑さを避け、ホテルを後にする。