青紅葉と秋桜-京都毘沙門堂門跡へ-
入院する母の退院前カンファレンスが開かれるとのことで、お世話になっている病院スタッフへのご挨拶かねて京都を訪れた。
カンファレンスは11:30から。朝一番の新幹線に乗れば、2時間ほど時間がある。
今回は開門一番を狙い、山科の毘沙門堂門跡を訪れた。
毘沙門堂は紅葉で有名なお寺で、最寄り駅から徒歩20分の山際にある。
シーズンオフの今は予想通り誰もいない。
受付でお寺の方から「庭園では樹齢260年の百日紅がまだ満開ですよ」とお声かけいただく。
秋に訪れた時に百日紅があるなんて気づかなかったなあ。
260年間、場所を変えず咲き続ける百日紅。
あなたから見る景色はどう変わったのだろう。
あなたに比べたら私たちの命はちっぽけなもんだ。
そんなことを考えながら庭園を眺め、のんびり過ごす。
シジュウカラが3羽、シュシュッと目の前をかすめ飛ぶ。
遠くには夏の終わりを告げるツクツクホウシの声が聞こえる。
庭園を後に、本堂に戻る。
紅葉はもちろん見ごたえがあるが、朱色の本堂には青紅葉の方が似合う。
地元では紅葉狩りの穴場だった毘沙門堂。
2011年に「そうだ 京都行こう」に取り上げられるまでは静かに紅葉を楽しめた。
それが今では混雑しゆっくり楽しめない。
地元民からすると、少し淋しい。
誰もいない毘沙門堂で1時間近くを過ごし、後にする。
寺への道沿いに並ぶ家の庭や、道と交差するように流れる琵琶湖疏水の川縁にオレンジ色の花が咲いている。
青紅葉と秋桜に癒された後は、母が待つ病院へ。
帰宅願望の強い母は帰りたい一心でリハビリに取り組み、歩けるようになっていた。話し合いの結果、今月末の退院が決定した。
母よ、よくリハビリを頑張ったね。
退院したらお祝いだ。