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『名前のわからない少女たち』を探して歩く(ステッカーアートについて)
4/21 タイトルを変更しました。(名前を持たない少女たち→名前のわからない少女たち)まだまだ考え途中なので、また変わるかもです。
(ステッカー、グラフィティ文化について勉強中なので、間違っている単語の使い方があったら教えてください)
街をぶらぶら〜っと歩いてて、ふと路地裏に入り込むと、壁や電柱にこんなシールが貼られているのを目にして「わぉ!」ってなる。
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見るだけで風紀の乱れを感じて、不快感を覚える…という方もいるしかもしれないのですが、今回はこの街に貼られたステッカーのボム行為(街のあちこちにゲリラ的に貼る行為)によって生まれた景色をどちらかというとアートとして見ていこうという趣旨の記事です。嫌だな…と思う方は申し訳ありません。
また、私個人はこのステッカーやライティングによるタギング(タグ=名前。タギング=名前を書く行為。要するに落書き)はすでにそこに貼られ、描かれた風景の一節として見ているので、行為そのものは否定も肯定もしません。
①なぜ『貼る』のか?
ライティング(グラフィティ)は1970年代のニューヨークで始まった。自分の名(主にあだ名、イニシャルなど)をラッカーとかマーカーで壁や地下鉄の車両に落書きすることで自己表現としたのだそうだ(マーキング行為に似ている)。名前を線で書いただけのものをタグといい、もう少し凝ったものでホロー、スローアップ、さらに完成度が高く、芸術性のあるものをピースというらしい。
(↓詳しくはこちらを参照↓)
【グラフィティーの種類10個を紹介】タグやスローアップだけじゃない! - BOMB mania(ボムマニア) (sasmagazine.jp)
(↓有名なグラフィティアーティストたち↓)
TAKI 183 - Wikipedia
Dondi (graffiti artist) - Wikipedia
Lady Pink - Wikipedia
EKG — The Street Museum of Art
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![](https://assets.st-note.com/img/1713504353903-JNT7K88jei.jpg?width=1200)
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落書き(といってしまうとライティングを生業にする人に失礼なのだけど)をする人達は、これを自己表現としており、そういう意味ではSNS上に作品をアップロードする行為と似ているのかもしれない。
ただ、家の壁や看板は地域住民の私/共有物なので、落書きはもちろんやらない方がいいが、すべての物事を現行の法律や常識、倫理で語ることはできない。
なにを不快に思い、なにを快く思うかという価値観は裏を返せばなにを安定だと信じ、なにを不安定なものだと恐れるているか、という私たちの心理に繋がる。
アートは不快なものでいいと私は思う。
だれかの生きる権利を奪わない限り、不快さは許される。不快なものに触れることで、なにを大切にしているのかが分かることもあるし、それがアートのひとつの力だと私は信じている。
もちろん、怒られたり、嫌がられたら、やめるべきだけど。
(話がそれました)
今回はそれらライティング(グラフィティ)からの発展系である、スラップステッカーについて語ってみたい。街を歩いていると、ライティング同様ステッカーもよく見かける。ライティングでマーカーやラッカーを用いるのと同様、自己表現のメディウムとしてステッカーを使用しているようだ。
しかし、なぜ『書く』のではなく『貼る』のを選んだのだろうか?
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ステッカーを選ぶ理由のひとつには、敷居の低さがあるのではないかと思う。
ステッカーにタグを書き込んで用意しておけば、準備に時間はかかるが街中に貼り付けるのは一瞬で終わる。ラッカーやマーカーを持って行って、周りの目を気にしながらタグを書き込むよりもはるかに簡単だし、見咎められる懸念が少ない。それでいて、自分がそこにいた証をしばらくは残すことができる。
さらにもうひとつ、ステッカーに描くイラストのデザイン性の高さと認知されやすさがあるのだろう。
準備に時間がかかるというのは、裏を返せばいくらでもデザインを凝っていいということだ。
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私はスラップステッカーの歴史については知識を持っていないので、どう発展していったかについては憶測でしかないが、郵便局の伝票を剥がして無地のシールを作り、そこにタグを書き込んで貼り付けるという行為は世界中で共通している「やり方」らしい。
簡易的なタグから始まったステッカーは、時間的制約から逃れることに成功し、やがて独創的なデザインを生み出していったのだろう。
私が興味を惹かれるのは、特にある少女たちを描いたステッカーだ。
②名前のわからない少女たち
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「美少女ステッカー」「萌えステッカー」と呼んでもいいのかもしれないけれど、その呼び方は少しばかり違和感が残る。「美少女」「萌え」ということばは「美少女ゲーム」「萌え系喫茶」などのように、見る人を誘惑し、興奮させる、煽情的な目的を持つものだ。
これらの少女たちのステッカーは「癒し」と同時になぜそこにいるのかという「謎」、伝えようとするメッセージの「不可解さ」、倫理観から外れていることへの「戸惑い」など不安定な感覚を与える。この抽象的な感覚を統合したり線引きしたりすることばは、既存のジャンルからは与えることができないのではないかと思う。
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それに、美少女や萌えということばは平成といっしょに秋葉原の地層に埋もれ、しばらくは発掘されそうにもない。
また、ストリートに散乱するこの少女たちは、名付けられることを構造的に拒んでいるようにも思われるのだ、私には。だから私は、あえてステッカーのなかの1ジャンルとして区分されるものではなく、曖昧な境のなかでの典型例の集合として、これらのステッカーのことを「名前のわからない少女たち」と呼びたい。
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もちろん、生み出された以上は作者なりの名前があるのだろうし、中には名前を持つ少女(「東京風紀委員会」について解説!在波うゆの「ダメよ。ゼッタイ。」ステッカー - BOMB mania(ボムマニア) (sasmagazine.jp))もいるのだが、街中ですれちがう人々と同様、彼女たちの名前を告げられることはない。
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私たちはこの名前のわからない少女たちと、街中でばったりと遭遇し、その独特の様相に後ろ髪を引かれながら、別れるのだ。
一期一会、癒し、困惑、はじらい、驚き、嫌悪、謎。これらの感覚すべてが統合されるのがこの「名前のわからない少女たち」のユニークな現象であり、街の裏側に棲む負の走光性を持つ生きもののような彼女たちを非常にゆるやかなつながりの群れとして繋ぎとめている。
③ステッカー紹介
などと論評気どってぐだぐだ書いてきたけど、つまり私はこういう少女たちの描かれたステッカーが好きなのだ。
今回、神保町~秋葉原を歩きながら彼女たちを探し歩いた。
その途中でいろいろと写真を撮ったので、ステッカーやライティングの紹介をして終わりにしようと思う。
まず、どういったところに彼女たちが生息しているかというと、
①公共の看板、分電盤、電柱など
②大通りではなく、路地裏
③ゴミ箱の周りにはたくさんいる
ので、発見するときの参考にしていただきたい。
ステッカーが貼られる場所はだいたいこういう貼りやすいものが多い。
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ただ一方で、日当たりのいいところには現れないという特徴も持つ。⬆の分電盤?は一見貼りやすそうだが、大通りの中華料理飯店のそばにあり、路上には人通りが絶えなかった。そのためか、ステッカーもタグも見当たらなかった。
当たり前なのかもしれないけれど、自然物には貼られない。
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貼られるのは人工物ばかりだ。
彼女たちは街とともに生きている(ヒューッ!)。
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以上。
見返してみると、タグからイラストへと変遷途中のステッカーが多い(少女のイラスト+タグ)。一方で、タグだけのステッカーもあれば、イラストだけのステッカーもある。この変遷の過程を知っている方がいたら、ぜひご連絡ください。よろしくお願いします。
また佳いステッカーを見つけたら紹介します。
ではでは。