Vtuber〈花譜〉が今いちばん勢いがあるっていう話
「かふです。
にほんのどこかにいる14さい。
うたをうたいます。」
誰かにじぶんのおすすめを教えるのってすごく難しいと思います。とりあえず、私が急にこんな文章読まされたら「おめーだれだよ! なんで上から目線でおすすめ教えられなきゃいけいないんだよ!」って気持ちになって、最悪、おすすめされたコンテンツに触れられずに終わる可能性もあります。おすすめする、されるって、結構難しいことです。
でも、これだけははっきりと言わないといけないと思います。
〈花譜〉の歌は誰もが一度聴いてみる価値があります。
特に、「歌手系Vtuberってたくさんいすぎてもういいかな」って思ってる人にこそ、聴いてほしいのです。
歌唱力の高いVtuberといえば誰を思い浮かべるでしょうか。
富士葵、かしこまり、ヒメヒナ、蒼月エリ、KMNZ、YuNi、燦鳥ノム……あげればきりがないほどに、歌手系Vtuberは今、歌うまの宝庫です。
「かわいい子が自分の好きな歌を超絶うまうまで歌ってくれてたらいいのにな…」という願いを持つ人は、Vtuberを漁れば必ず幸せになれます。
むしろ歌唱力の飽和状態といえるこの状況に、花譜は現れました。
2018年10月31日、Youtubeに一本の動画が投稿されます。
【歌ってみた】猛独が襲う covered by 花譜
(とにかく聴いてみてほしいです)
私は最初、おすすめ欄に上がってきたこの動画をスルーしました。
正直なところ、期待感がまるでなかったのです。
Vtuberの歌ってみた界隈は十分に私を満足させてくれていました。これ以上は望むべくもない、飽和状態だったのです。
でも、しつこくおすすめしてくるし、時々TwitterのTLで「いい…」って語彙力限界オタクみたいなひとたちが増えてきてるし、まあ見てみるか…と動画を開き、他のVtuberの歌を初めて聴いた時と同じ衝撃が奔りました。
花譜の歌声は、彼女だけの歌声でした。
(これはすごく説明が難しいことです。なぜなら、比べる対象がいないからです。Vtuberの話からとびだしてしまえば、たとえば声優さん。たぶん、若本規夫さんとか悠木碧さんとかって、もうその声だけですばらしいくらい職業向きの人だと思うんです。その声だけで、もう仕事になるのだと)
花譜の歌には、人を惹きつける一種の魔力があります。
外見と年齢通りの幼い声。けれど、そこに確かな歌唱力が加わることで、歌そのものにこめられた切実さがにじみ出てくるのです。
また、選曲も独特です。
はやりのアニソンやボカロ曲ではなく、一曲目に選んだのは「猛独が襲う」(一二三 作詞・作曲)。恥ずかしい話、ニコニコ動画から長らく離れていた自分は、この歌を知りませんでした。だから、花譜の歌いあげるこの歌を聴いたとき、新しい扉が開かれたように感じました。ほかの曲もそうです。
もっともっと有名な曲(歌手系Vtuberがよく選ぶ曲、という意味)も選べるはずですが、花譜は毎回動画の説明文でこう述べます。
「わたしがすきなうたをうたうよ」
個人がひとつのコンテンツになるためには、「この人のところにいけば、この人しか生み出せないものに出会える」独自性が重要だと思います。
花譜はその歌声と選曲、そしてビジュアルで、またたくまにひとつのコンテンツとなりました。これは狙ってやったことではないし、狙ってできることでもないと思います。あるがままの彼女が、飽和状態にあった歌手系Vtuberの世界に、ある種〈異端児〉、別の言い方をすれば隙間を埋める形で今、その存在を確立しつつあるのです。
長文にお付き合いいただき誠にありがとうございました。
最後に。
そんな花譜が、つい先日初のオリジナル曲をYoutubeに投稿しました。
花譜 #06 「糸」 【オリジナルMV】
歌手系Vtuberって良いVtuberがいっぱいで、もうこれ以上いないよな……って思ってる人にこそ、彼女の歌を聴いてほしいです。