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生命と大地
越後妻有トリエンナーレ、今年2回目の訪問。
前回は1人だった、今回は友人と向かう。
2024/10/25
てんき 心地よい秋晴れ
以前高速道路から滑り落ちる夢を見てから80km/H遵守で運転。途中赤城のSAに寄り道をしておやつを買った。
レモン牛乳シリーズの羊羹をいただく。
塩沢石打ICで降り、目的地へ向かおうとすると目を引く黄金の日の丸に出会う。引き返してみると、FARM FRONTという南魚沼産コシヒカリを栽培する関農園のおにぎり屋さんだった。
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こんなに慎重にお米を味わうのは初めて
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味噌を挟んでもぐもぐ
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お店の方もとても親切
おにぎりを食べながら、行き先を再考案。
まずは森の学校 キョロロへ向かう。
思いのほか”虫”すぎて、苦手な私は虫たちと目を合わせず、逃げるように観覧。あまりにもリアルな虫の写真がドドンと。きびしい。
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特殊な耐候性銅板でできているそう
冬には雪に埋もれてしまうけど、その重みにも耐えられる
まるで里山の潜水艇
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とても天気が良くて、心地よい秋を感じる。
私の大好きな、最後の教室へと車を走らせる。
廃校となった小学校を用いて「人間の不在」をテーマにした作品。
誰もいなくなった世界にひっそりと閉じこもる記憶を感じる、神秘の場所。
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棺桶に入る人間も、いない
亡霊の部屋のよう
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学校の机や椅子が、白い布に覆われている
閉じ込められているような、それとも、
閉じこもっているのか
学校の備品たちが幽霊となって意思を持って
身を寄せ合っているようにも見えた
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廊下には肖像画のようにアクリル板が並ぶ
覗き込むと何も写っておらず、自分だけが見える
雪山に取り残されてしまった気分になる
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なのに不思議と、帰り道は安心感を覚える
まるで私も幽霊になって、この学校の一部になってしまったような浮遊感
目も慣れて、いろいろなものが自然に見えてくる
ここにいたわけではないし、ここにいた人も知らない
だけどなぜか、人々の思い出の記憶を肌で感じる
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藁の匂いなんて馴染みはないのに
どうして懐かしいんだろうと思う香り
無数の電球とふわりと漂う風が、
ここにいた人たちの思い出で遊ぶ幽霊みたいだった
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豊島で見た、海と対比しているように感じた
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この窓を通して、二つの土地がつながっている
私にとって聖地とも感じるクリスチャン・ボルタンスキーの作品。
何度来ても怖いし、何度来ても帰りには馴染んで、心がリフレッシュされる。
越後妻有の大地も、瀬戸内海に浮かぶ豊島も、どちらもひっそりとした大自然の中にずっしりと佇む貫禄がある。
日々感じる人間特有の悩み。悩みに翻弄されてしまうことが多いけれど、ボルタンスキーの作品を前にすると、自分もこの無数の電球のうちの一つの魂であると感じる。
圧倒的にちっぽけである。
ちっぽけだけど、ピカっと輝いている。
今日も大地に生かしていただいているのだな、と。