帷に喘いで
夜は
いつだってすべてを有耶無耶にしてくれて
そんな冷たさに身を委ねながら
幾度と死にたくなる秒針を飲み込んでいる
静かに佇むかれは
息をすることなく
凛とした姿で
こちらを見ている
真っ黒な影の塊が
そっとこちらへ
細い指のような形を成して伸びてくる
私と同じ体温のようで
その心は鉄のようにい冷えていて
抱きしめるような殺意で
喉の奥へ入ってくる
嗚咽が漏れても
容赦なく
内蔵が犯され深く
安堵に笑みが溢れる
もう少し
もう少しだけ
もう少ししたら
それなのに彼は私を置いていく
また、私を置いていく
この皮をこの爪で
引き剥がしてしまいそう
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