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Review-#002-A 『ファイナルファンタジーXV』の12年間を受けて (前編)

 12年間の彼らの旅路を辿る


 今更ですがクリアしました。んでもってトロコンもしました。おお、遅い遅い。思えば買ったのが2016年の12月。それからクリアするまで1年と3ヶ月。でもプレイ時間は111時間。PS4に触れる期間がそんなに無いクセに寄り道(?)ばっかしていた結果ですね。まぁいい加減に終わりにしないとなぁ、ということでちゃっちゃと進めた。頑張った。クリア時レベルは100。無駄に高い。

 そんでもって今更レビューですよ。もうとっくに皆やっておりますがな、大体知ってますがなと突っ込みたいのも分かるんだけれど、継続的にアップデートが行われたこの1年間を踏まえてレビューすることに価値があるとは思わないか。思わない? 思うよね??「走れメロス」ならセリヌンティウスがとうの昔に処刑されて一周忌やってるぐらいのタイミングですけども。
 ていうか、時間をかけまくっていたうちに『ファイナルファンタジーXV ロイヤルエディション』なんていうのがリリースされちゃったじゃないすか。いつもの完全版。実際は完全版じゃないんだけどね。「インターナショナル」じゃないんだというのはさておき色々拡充されているこのコンテンツ、既存プレイヤーは2,000円で導入が可能だそうで私も余裕があれば追々ダウンロードしてみたいと思う。なので今回の評価には入れない。あー…でもパッケージ絵いいなぁ。天野絵。

 とりあえず、一通りプレイし終えた時の感想。


 (色んな意味で)波乱の旅でしたね。

 

 『ファイナルファンタジーXV』(以下FF15)はもともと2009年に発売された『ファイナルファンタジーXIII』と対を成す作品として、『ファイナルファンタジーXIII Versus(ヴェルサス)』というタイトルで開発されていた。発表は2006年。PVは何本か作られていたが2009年以降もプレイ映像は一向に現れず、当時のスクウェア・エニックスの体制もあってか2013年にFF15として独立したタイトルになることが公表、それに伴いゲームシステムやらシナリオやらを作り直すことになったのである。

 そして日の目を見ることになったのは2016年11月29日。『ヴェルサス』から実に10年以上の月日が流れたのだった。オフラインのナンバリングタイトルとしては7年ぶりであり、当然ながら国内外から強い注目を浴びることになった本作…、だがその評価は非常に割れたものとなっている。

 海外のレビューまとめサイトであるmetacriticでの総合評価は81点(2017年12月18日現在)。雑把に捉えるなら、「良いところも悪いところもあるけど、トータルで見て良作」という出来であるということを示しているといっていいだろう。が、日本は違う。こういう時にここを見るのもどうかとは思うがamazonのレビューでは3.0という、「なんとも…まぁ」な評価に成り下がってしまっている。アメリカと比較すると1.2点差も付けてるからね。0点という評価が付けられないから3.0点で収まっているとも考えられるけども。

 なぜここまで違いが出るのか、それは単純に価値観の違いなのだとは思う。

 海外ではゲームに対し、特にゲーム性を強く評価する。つまり随所に「んん?」という面があっても、ゲーム本来の面白さがあれば、加点幅は大きいということである。
 一方で大小問わず欠点があると減点対象になり、なかなか得点が上がらないのが日本である。ダメな点があると犯罪レベルに叩き上げて他の要素ははじめからなかったかのようにとことん貶める。…というのは、特に制約が無いamazonレビューだからでしょうね。分からんでもない批判もあるんだけどさぁ、良い点もあるんじゃないの? と。ただただ貶すレビューが先頭に来て、全く参考にならないのよね。

 まぁね、でも本作は私も思った。日本で荒れている最大の原因、シナリオ。ここをどう評価するかで割れてるのよ、本作の全体的な印象が。でもそれを踏まえて私は、FF15はネットで目につくような意見ほどの評価じゃないよと言いたい。特別良いわけじゃない。でもシリーズの汚点ということでもないという風に思う。キツイ言い方をするのが好きじゃないというのもあるんだけれど。
 プレイしていない人はネットの意見ばかりを鵜呑みにせず、買って確かめよう。今ならかなり値下げされてるから。いつものことだけど。

 レビュー第2回でここまで評価することが難しい作品を取り上げるのもどうかとは思うが、とにかく何かの形でまとめておきたいという気持ちがあったのでここで書くことにした。この「旅」を忘れないためにも。

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 と、いうことでやっぱり長くなってしまったので前中後編の3パートになっております。分けてもこんだけ長いんだわ。はぁー…。リンクはこちらから。

 ・前編 (紹介, 前置き, フィールド, 戦闘システム) ←いまここ
 ・中編 (シナリオ)
 ・後編 (総括とあとがき)

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ファイナルファンタジーXV (PS4/XboxOne・2016年11月29日発売)

定価: 通常版・ダウンロード版 8,800円+税
    DELUXE EDITION 12,960円+税
ジャンル: RPG
メーカー:スクウェア・エニックス(第2ディビジョン)

<ゲーム本PV映像>

<☟今から始めるならこちらをおすすめします>
ファイナルファンタジーXV ROYAL EDITION (PS4/XboxOne・2018年3月6日発売)
ファイナルファンタジーXV WINDOWS EDITION (Windows・2018年3月6日発売)

定価: 通常版・ダウンロード版 7,800円+税 (ROYAL EDITION・WINDOWS EDITION共通)
(※価格で二の足を踏んでいる人は値下げされたFF15を購入してロイヤルパック(2,000円+税)をダウンロードすればいいんじゃないかなぁ…ボソボソ)

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※本記事はVer1.21(2018/2/1)時点の内容を基にレビューしています

【フィールド】 ファイナルファンタジーの世界を"旅"する楽しさ

 FFがオープンワールドを取り入れたのは実は本作が初では無かったりする。2013年に発売された『ライトニングリターンズ ファイナルファンタジーXIII』でもオープンワールドではあったのだ。ただ、移動できる場所は本作程ではないし、戦闘もセパレート形式、何より時間制限付きであった。FF15はより自由度を高めたオープンワールドなのである。

☝ キャンプ地の朝。手前のカップヌードル男と奥の魔導兵に突っ込んだら負け(アップデートコンテンツ、しかもちゃんと効果があったりする)。

 先に問題となる点の方を挙げておこう。先程オープンワールドとは言ったが、探索の自由度が高いかというと他のAAAタイトルほどではない。
 FF15のフィールドは移動する際に引っ掛かるポイントが多いのだ。例えば柵やガードレールを飛び越えるなりよじ登るなりして向こう側へ行くという選択肢が無い。いちいち障害物の無いところまで移動しないといけない。
 あと切り立った断崖をクライミングすることもできないから、決まったルートを通らさせる。自由度が売りのはずのオープンワールドにしては制限が結構ある。特に厄介なのが高低差のある場所での戦闘。うっかり落ちちゃって、だけど付近で復帰できる場所がないときノクティスは何とかなるが他のメンバーも一緒に落ちちゃったとなると実質ワンマンで倒す羽目になる。
 シリーズお馴染みのチョコボを使うと多少は改善されるが、残念ながらそれでも越えられない壁はあるし、川や海を泳ぐことは叶わない。向こう岸、水平線を眺めるだけである。
 確かに広いといえば広いのだが、悪く言えば「だだっ広いだけ」。思うように移動できないエリアが多いし、幾つかの拠点から離れるとちらほらある素材とトレジャー以外何もない荒野や草原があるだけ。グラフィックは確かに綺麗だが、もっと良い活かしようはあったと思う。現代が舞台なら尚更…ね。
 スタミナゲージも面倒。戦闘中ならともかく、何故フィールドを走り回るときにも消費されるのかなぁ。一応スタミナゲージが0になる手前でダッシュを止めると全快するという裏技があるけれど、これが結構失敗する。ダッシュは左スティック押し込みあるいは○ボタンでできるんだけれど、左スティックだと裏技がやり辛いし、○ボタンだと時々武器が勝手に出てきちゃってダッシュに時間がかかったり。うーん。
 いくつかのダンジョンについて。ここは大体皆さんの見解通り、「面白い」というより「面倒くさい」ものが結構ある。でも個人的にはクラストゥルム水道がかなり辛かった。ちょっと移動をミスっただけで上から落下、これが何度も何度も続いて先に進めない問題が発生。雑なコントロールが一段と冴える。普通に敵強かったし。まぁ、特にこだわりが無ければメインシナリオに直接関係しないダンジョンについてはクリア後に行くのが良いでしょうね。良くも悪くもアクション性を高めた結果ですなぁ。

 それまでにオープンワールドのゲームを知らなかった人がこのゲームをプレイしたら、成程どこまでも続くフィールドの広さに驚かされるだろう。が、すでに海外のRPGに慣れ親しんだプレイヤーはおろか、ある程度ゲームを進めたプレイヤーはやきもきさせられるだろう。「ここに行きたいのに直ぐに行けない、行かせてくれない」という歯がゆさが。

☝ 発表当時色々話題になった飛空艇「レガリア TYPE-F」はゲームクリア後に使用可能。ただしこれをもってしても越えられない壁があり、どこでも飛空艇でひとっ飛びできるわけではない。あと結構な確率でゲームオーバーになりやすいので、フライト前にはセーブを忘れずに。

 ただ、それらを差し引いても本作を本作足らしめている要素は「旅」である。4人の王子様御一行による珍道中が、フィールドを駆け巡る楽しさに繋がっている。男性のみのパーティに違和感を覚える人もいるだろうけれど私は気にならんかったね。別に新宿辺りに居そうなホストとも思わんかったし。女の子が混ざってても良かった(途中でちょこっとだけゲスト参加するっちゃあするんだけど)とも思うけれど、まぁここは人によりけりだろうな。
 まずは豊富な会話ボイス。ただそこら中を歩き回っているだけでも、彼らは何気ない会話からストーリーの進行に合わせた話題まで交わし合う。戦闘中でも喋っているので、それを一通り聞いてみようかとストーリーを大して進めることなく色んな場所を奔走してみたりと、移動中の退屈さはそこまで感じられない。

☝ 女っ気が足りないと言えば間違いなくそうだけれど、『FFX-2』は最初から最後まで女子のみパーティだったし、たまにはこういう構成でもいいんじゃないんすかね。…と思うのは私だけだろうか。

 過去作のBGMも、アップデートでレガリア(王子様御一行専用カー)に乗っていなくてもかけられるようになっている。ナンバリングのみならず外伝や映画、スクエニ作品のBGMまで300曲以上。BGMはショップから購入・追加することができるので要チェックだ。アーデンと運転中にFF7の「ルーファウス歓迎式典」を流していた時はもう場違い感が半端なかったけれども。明るい曲調過ぎて緊張感ゼロである。
 最初は道なき道には突っ込めなかったレガリアもアップデートで追加された「TYPE-D」に改造することでオフロード走行が可能となった。私もちょっと使ってみたが、…まぁ、何ていうか普通に車降りて走ればいいんでね? と思っちゃったので元に戻してしまった。便利だとは思うけどね。

☝ 今回の記事を書くにあたってTYPE-Dに再び改造して走ってみたの図。
耐久度が0になってもゲームオーバーにはならないのでご安心を。高い所からジャンプしてハイスコアを狙う要素も。つーか、レガリアボロボロ。

 フィールドと言えば何と言っても4人のスキルが光る。王子様御一行のノクティス・グラディオラス・イグニス・プロンプトはそれぞれ釣り・サバイバル・料理・写真というスキルを持っている。スキルのレベルは10段階あり、レベルを上げていくと色々な恩恵を受けられるのだ。

 ノクティスの釣りは、フィールドに点在する釣り場でフィッシングが行える。魚の種類は結構あり、場所や時間帯・天候・道具で変化する。作り込みはミニゲームなのにかなり高い。魚をルアーに喰いつかせるために動かし方を工夫したり、ラインが切れないようにスティックを倒す、リールを巻くのを止めるなど適切なロッドさばきが求められたりと緊張感もある。
 釣った魚によってはアイテムを獲得したり、食用の魚であれば食材にすることも可能だ。ちなみに釣りの最中にモンスターに襲われる心配はないので、夜明けを待つ間に釣りをするという時間調整もできたりする。もっともアップデートによりキャンプ地での素早い時間調整が可能になったのでその必要性は若干薄れたけれども。

☝ こんなデカい魚も釣ることができる。
男の一本釣りには相当の根性とテクニックと道具が必要だ。

 グラディオラスのサバイバルは戦闘で活かされる。戦闘が終了すると時たまグラディオがアイテムを拾得することがあるのだ。ポーションやエリクサーといった基本的なアイテムから、まれにめずらしいコインやプラチナインゴットといったレアアイテムなどを拾ってくる。レベルを上げるにはフィールドを歩けばいいので、多分一番早くレベル10に到達しやすいスキルだと思う。

 イグニスの料理は「キャンプ」で披露される。本作ではキャンプや宿泊が重要となる。これまでのシリーズは戦闘が終了するとその場で経験値が清算されるのだが、FF15においてはキャンプをするなりホテルなどの宿泊地で一泊するなり、チャプターが完結するなりしてはじめて貯まった経験値が一気に清算される。
 で、料理もまた重要となる。料理を食べることにより、ノクティス達はバフ効果を付けて旅することができる。パラメータの向上や状態異常無効・スタミナが無限になるなど食べた料理によって様々なバフが付くのだが、キャンプにおいてはイグニスが料理を提供するのだ。ちなみに各キャラクターには好物が設定されており、その好物を提供すると戦闘のコマンド攻撃が強化される。
 リソースの無駄遣いとも言われているが、出される料理はどれも中々に美味しそうに見える。夜中にプレイしたら飯テロになりかねない。
 冒頭でクリア時レベルが100と書いたが、これは「獲得経験値2倍の料理 + ボーナスマジック(発動時に経験値を獲得する魔法) + 経験値3倍の宿泊施設」を利用して行ったレベリング作業によるところが大きい。そのレベリングを行う前でレベルが70だったものが、これで経験値を300万稼いで一気に清算しレベルを100にしたのである。本作はレベル上げが他と比べて効率よくできるので、そうした作業を面倒に感じるプレイヤーでもクリアに必要なレベルまでならあまり難しくない。
 勿論クリア前提なら100まで上げる必要はない。確かめてはいないけれど60ぐらいあれば十分だとは思う。ただ寄り道要素の強敵もいるので今後そいつらを倒すことを考えて100にしただけである。むしろ100にしたせいで終盤もサクサクのサクで進められちゃったんだけれどね。

 キャンプで目的の料理を作るには、フィールドにある食材を手に入れる必要がある。食材を手に入れるのが難しいときは、ショップで調達することも可能だ。またイグニスが作る料理のレパートリーも、新しい食材を手に入れる・スキルのレベルを上げる・レシピブックを購入する・人が食べているのを見るなどしてどんどん増えていく。
 食材がすっからかんでも、一応何も食材を消費せずに作れる料理があるのでご安心を。大してバフ効果に期待しないのであればこれでも十分だろう。食材ゼロの料理としては「こんがりチーズピザ」(無料DLC)がおすすめ。スタミナ∞がバフで付くので、スタミナゲージのことを気にせずに走り回れる。
 宿泊と料理の提供が一度に行われるのはキャンプだけ。ホテルで宿泊すると経験値ボーナスが付加されるが、お金はかかるし料理を食べるのにもやっぱりお金がかかる。つまりそれなりにお金が必要となる。そのため、戦闘やサブイベントをこなす前にキャンプをしてバフを付加し、頑張った後はホテルに泊まりレベルを上げるという使い分けができる。DLCで経験値を清算しない「レベルストッパー」が配信されたので、これを使うとより効率のいい経験値稼ぎができるだろう。

☝ いくらCGとはいえ…
うぅむ、腹減ってるときにキャンプするもんじゃないねぇ。

 プロンプトの写真は移動や戦闘でいつの間にか撮っている。キャンプや宿泊時に、撮り溜めた写真データから保存する写真を選択する。TwitterなどのSNSでフレームを付けてシェアすることもできる。
 撮るシーンは様々で、自撮り・風景・戦闘などなど。偶然のタイミングで思いがけないネタ写真が撮れたり、心霊写真(?)が撮れたりと笑いを誘わせることも。アップデートでプレイヤー自身も撮影することができるようになったので、ここぞという場面でエフェクトなどをうまく活用し、格好いい一枚を皆と共有してみてはいかがだろうか。とてもじゃないが最大保存枚数である200枚では収まりきらない。寄り道しまくったせいでもあるだろうが、中盤からパンクして泣く泣くデータを削除するぐらい収めておきたいスナップ写真が多い。うーん、DLCとかで保存容量の増加が可能なメモリーカードみたいなのをショップに追加してくれないかなぁ…。

☝ 意外と狙った写真を撮るのは大変。特に人間が被写体だと。
一瞬を残すなら、PS4のスクリーンショット機能の方が向いてるかも。

 後述するシナリオもあって彼らの旅を眺めているにつれて「お前ら…そんなことしていて大丈夫なのか!?」と突っ込みたくなるだろうが、それはまぁ野暮なのかもしれない。私は旅をしている4人組を見ていて(こういうの良いよなぁ)って思えたし。楽しみ方を見いだせればそれでOKなのです。

 先でちょっと触れたチョコボは基本的に楽しい存在です。ノクティスが走るよりもずっと楽だし、湖を渡ったりちょっと高い所を越えたりと、制限がある中でも行動の幅は間違いなく広がってるからね。本作では拠点にあるレンタル券売機で日数を指定してお金を払うと、その日数分だけチョコボを利用することができる。延長も券売機でできるから、積極的に使っていきたい。そしてキャンプではチョコボも一緒。野菜をあげると翌日スタミナや最大速度、ジャンプ力がアップしたりと、旅の一体感がある。何より可愛い。
 あとはチョコボレースでメダルを獲得して自分のチョコボに付けてみたりとこちらのほうも色々できることがある。チョコボとオープンワールドとの親和性はとても高いはず。だからフィールドに制限があるのが勿体ないんだよね。

☝ チョコボにはレベルがあり、レベルアップするとスタミナやスピードが向上する。戦闘でちょっとだけ手助けしてくれることも。

 サブクエストやモブハント(モンスターの討伐依頼)がてらそれまで知らなかった場所を巡り歩くのも面白かった。ファストトラベルのポイントも埋まるから一石二鳥、ってことでね。殺風景な場所が多かったのは事実なんだけれど、途中レベリングしつつ食材をかき集めるツアーを実行していた私はあまり気にしなかったかな。BGMも自由にかけられるし、キャラクターの会話も聞いていられるし。
  ただサブクエストの特定のアイテム収集系がビミョー。分かりづらいんだよね、どこに落ちているのかが。「延々探し回ってようやく見つかった!」というのは、達成感よりもこれに時間をかけまくったがゆえの虚脱感が先にやってくるというもの。バトルで敵をクラッシュして手に入れるタイプのは何回やっても何回やっても落とさないから辛い。特に討伐依頼を受けて出現する敵の場合、倒してダメだったらまた拠点に戻って受注する…という流れが非常に面倒。かと言ってセーブ&ロードのリセマラも面倒。なんせオープンワールドですからロード時間も長いんですわ。こればっかりはオープンワールド系ゲームの宿命ですが、これからプレイする人はそこんとこ覚悟してくださいね。
 重要な金策や経験値稼ぎだし、それなりにやったっちゃあやったけどね。サブクエストは受ける分には問題ないし無理のない範囲で進めれば良いかと。

 総じて…うーん、何だろう。あまりオープンワールド系RPGのノウハウが蓄えられていない状況の中で、制作スタッフが海外のAAAタイトルに挑もうとしていたのは分かる。
 まだ日本において本格的なオープンワールドを取り入れたゲームはそう多くない(5か月後に『ゼルダの伝説』出たけどね)。海外は前世代の段階で取り入れていたから周回遅れと言えばそうなってしまうけれど、和製ゲームもいよいよこうしたシステムを積極的に採用するようになったということで、FFの最新ナンバリング作にオープンワールドを盛り込んだことは象徴的なことである。
 とは言っても「AAAタイトルが1として、FF15はその1に達しているか」となるとそうではない、練り込み不足だとは思う。じゃあ全部が全部ダメなのかというとそういうことでもなく、オープンワールドとして見ると他のものと比べて見劣りする部分は多いんだけれども「旅」に主眼を置いたシステムが本作ならではの付加価値を生み出している、と言ったところか。既存のゲームの「単なる」後追いを本作でもしなかった点は良いと思ったよ、私は。
 これからのシリーズのゲームデザイン、FF15のフィールドはそのプロトタイプになるんかねぇ。RPGのフィールドはオープンワールドの方が断然良いとは思ってないけれど、これからまたオープンワールドを採用する作品が出るなら本作以上に歩き回れるようになっていればいいね。

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【戦闘システム】 大味だけれど爽快感はあるので○

 FF15の大きな変革としてはアクションRPGに舵を切ったという所もあるだろう。
 FF4で導入された『ATB(アクティブ・タイム・バトル)』は、それまで主流だったターン制とは異なるリアルタイム性が独特の緊張感を生み、以降のシリーズ作品の多くで採用されていた。
 そのFFがコマンド式の戦闘からついにアクションへとジョブチェンジを果たした。リアルタイム性を重視するのであれば納得のいくデザインである。

 ではアクションゲームが苦手な人には不向きなのか、となると案外そうでもなく、戦闘システムは結構単純明快だ。○ボタンで攻撃、×ボタンでジャンプ、□ボタンでガード。押しっぱなしにしていてもターゲットに対して攻撃やガードを行えるようになっている。
 もちろん攻撃もバリエーションがあり、左スティックと組み合わせて技を変えたり、ジャンプからの空中攻撃・コンボも可能だ。ガードも成功するとパリィが発生し、強力なカウンターにつなげられる。

 中でもノクティスが使用できる「シフト」攻撃が強い。ノクティスは武器を投げて武器のある場所に自身をワープさせることができる。戦闘フィールドには岩や鉄塔など、マップシフトが可能なポイントがあり、そこにシフトするとMPが回復する。敵の強力な一撃の回避にも使うことができる。
 シフトは敵に対しても可能だ。この場合「シフトブレイク」という攻撃になり、敵との距離が遠くなるほどその攻撃力が増す。それなりに離れていれば、通常の2倍以上のダメージを叩き出すことも可能だ。これを利用するにはMPが必要だが、そこは先述のマップシフトや安全なところに隠れる「カバー」を使うことで回復するので問題はない。カバー全然使わなかったけれど。

 どうもリアルタイムなアクションは不向きだ、という人にはウェイトモードが使える。無制限というわけではないが、行動時に時間が止まり対象を見極めてから攻撃できる。勿論折角のアクションRPGなのだから入り乱れるバトルを楽しむのが一番だとは思うが、こうした親切な設計もあり他の3DアクションRPGと比較すると割と敷居が低いのではないだろうか。

 敵を攻撃していると、クラッシュと表示されることがある。いわゆる「部位破壊」であり、モンスターの特定の部位のHP(?)が0になるとクラッシュ状態になるのだ。この状態だと、クラッシュした部位からアイテムを獲得したり、ステータスの低下・一時的な戦闘不能に陥らせることができる。サブイベントで必要になる時もあるが、まぁ基本的には攻撃していたらいつの間にかクラッシュしていたということもあるので、そういうこともある程度に私はプレイしていた。ドロップアイテムが低確率過ぎて、何回やっても落ちないときにはイライラしたけれどな。いつまでもサブクエストが達成できねぇって。先述のサブクエストの問題点であります。サニアさん要望がキツいです、ホントに。

 魔法もある。本作ではフィールドにあるエレメントストーンからエレメントを吸収し、これを使って魔法の生成ができる。吸収できるのは炎・冷気・雷の3種であり、それぞれファイア・ブリザド・サンダー系の魔法になる。1回の生成でエレメントを多く使えばラ系やガ系のより強力な魔法へと変化する。
 アイテムを混ぜると、さらに効果が付加される。1回の発動で2~5連続放てる連続魔法だったり、異常状態にさせるポイズン・カーズ効果、放つと経験値を獲得できるボーナスだったりと様々である。戦闘をさっさと終わらせたいのであれば、連続魔法の生成をおすすめしたい。

 仲間との連携も重要だ。戦闘中コマンドゲージなるものがたまり、一定量ゲージを消費して連携ができる。例えばイグニスの「エンハンス」は、ターゲットの敵の弱点となる属性を攻撃に付加させ、有利に戦えるようになる。他にも色んな連携技があるが、私の場合イグニスは決まってエンハンスを使っていた。序盤からかなりお世話になりました。

 昨年12月のアップデートで、ついに仲間の操作が可能になった。戦闘中のみではあるが、任意のタイミングで切り替えることができる。操作方法はDLCのエピソードコンテンツの操作方法に準拠しており、ノクティスとは勝手がまるで違う。今から始めようとする人にはちょっと分かりづらいような気もするが、そこはググれば何となく理解できると思う。でもDLCやってないと操作方法全然分からんよなぁ。プロンプトなんて他と全然違うし。チュートリアル追加するなりして欲しかったのが本音ですが。
 3人の仲間でおすすめしたいのはイグニスだ。近距離ファイターであり、3つの属性を付加したダガーを使い分けて戦う。攻撃を当て続けていくとダメージ倍率がどんどん上がっていき、最終的には4倍になる。途中で攻撃を喰らっても、素早くカウンター攻撃に移れば大きなロスにはならない。初心者でもそれぞれの属性攻撃の動き方を把握さえすれば、モンスターが多数出現したり、シガイの討伐といった状況ではかなり活躍させられる存在になるはずだ。

 が、気になる点もいくつかある。ここら辺はアップデートを通してもあまり変わらなかったところかな。変えるとなるとかなり時間を費やすだろうし、そもそもこれがFF15のスタイルだと言われたらそれまでなのだけれど。
 まず戦闘バランスだが、本作は回復アイテムをがぶ飲みして敵を倒す「ポーションゲー」とも揶揄されるほど易しめだ。
 シフトブレイク時に顕著だが、ノクティスのHPが気付いたらいつの間にか0になっていやすい(私が下手なだけなのかもしれんが)。だがHPが0の時点ではまだゲームオーバーにはならない。この段階はピンチ状態と呼ばれるものであり、この間にポーションなどの回復アイテムを使えば復帰できるのだ。
 だがピンチ状態の時は、体力ではなく最大HPが減っていく。つまり最大HPが0になった時、それがゲームオーバーである。もちろん最大HPが0になった時も少しだけ猶予があるので、「フェニックスの尾」を使えばすぐに回復するのだが。何度もピンチ状態になるということは、それだけ不利になりやすいのでエリクサー系の回復アイテムを使うことになる。
 言ってみれば、アクションが苦手なユーザーでも先へ進めやすいバランスにはなっているのだ。回復アイテムは全体的に安価なので、たくさん買っても懐のダメージは少ない。
 で、先ほどのシフトブレイクを使いまくってるだけでもどうにか勝てる。バックアタックを決めるとか、有利な属性攻撃を決めるとか、武器を変えたりガードをきめたりとかを考えなくても基本シフトブレイク→体力がヤバそうなら回復アイテムを使う→またシフトブレイク祭り…という戦法で大体の敵は倒せてしまう。シビアな戦闘を求めるのであれば、このシステムだと緊張感が削がれてしまうだろう。
 ただ、本作の戦闘には戦闘終了後にリザルトが付く。時間やテクニックなどの判定によって、獲得できる経験値に差異が出てくる。テクニックでS判定を貰うにはパリィカウンターやバックアタックを積極的にきめることが求められるため、ただシフトブレイクを使っているだけではD判定で終わってしまう。ちょっとでも良い判定が欲しいのならばスマートな立ち回りが重要なのだ。
 あとゲームクリア後のお楽しみとしてアイテム使用禁止のエリアもあり、流石にここではゴリ押しが効かない。

 カメラワークやモーションも気になるところだ。カメラワークの方では透過処理の不完全さが目につく。草やら木が透過されず表示されっぱなしで、モンスターとの近距離戦では草木の向こうでどうなっているのかが分からなくなる。あと、どこから攻撃が飛んでくるのか分かりづらい。強力なエネミーである魔導アーマーは破壊力の高い遠距離弾を放ってくるのだが、後ろからやってくるのでガードが間に合わず直撃、あっという間にHP0に~…なんてことも珍しくなかったりする。ついでにターゲットマーカーも移動しているとコロコロ変わるので部位破壊を狙ったりしようとすると、「違う、そっちを狙いたかったんじゃない!!」となることもしばしば。R1ボタンでロックオン中にR3ボタンで固定ができるのだが、まぁやり辛いのであり。
 カメラワークに限らず、敵の攻撃モーションも全体的にどこからどこまでが攻撃判定になっているのかが分かりにくい向きはある。

 魔法も物足りない。マジックボトルを投げて発動するという形式が基本なので、密かに設置して敵がそれを踏んだら発動…とかはできない。こちらの自由度はあまりなく、あるとすれば攻撃力とか追加効果ぐらいである。魔法の種類も過去作に比べると少なく、シリーズお馴染みのスロウやヘイストといった時間の流れを変える魔法もない。まぁここはアクションRPGだから全部入れられるわけじゃないんだろうけれども、例えばスロウを当てると敵のモーションが遅くなってガードやバックアタックを決めやすくなるとか、敵がデスペルとかバ系(属性攻撃無効)魔法を使うとかあっても面白かったんじゃないかなぁ?

 気になる点はいくらかあるけれど、アクションRPGとしては初心者でもプレイしやすいシステム・ゲームバランスということもあって、「難しくないアクションRPGって何かある?」…と思う人はここから入っても、うん、まぁ…良いと思う。後述のシナリオが受け入れられるかにも依るんだけれどね。

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 まだこれで1/3なんだよなぁ…。前編が多分一番長いから、中後編はもうちょっと楽に読めるかと。五十歩百歩かな。

 そんなわけで、問題の中編へと続きます。


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