【MARVEL】シーハルクの唯一良い点【感想】
大酷評されていたシーハルクを今更見た。
大酷評されているだけあって、全体として
「これは……面白いとは言えないな」
っていう感想を持ってしまった。
MARVEL映画は、今までの
「ヒーロー映画の王道!」「MCUの世界観最高!」
という大絶賛から、
「なんか最近微妙じゃない?」「ドラマとかも絡んできて何がなんだか分からない」
という不評が目立ってきている。
そんな中でも一際の酷評を集めた『シー・ハルク:ザ・アートニー』
俺はMCU作品は一通り見てライトに楽しんでいる層だ。
そんな自分がシーハルクの良くなかった点と唯一良いかもと思った点があるので書いていく。
良くなかった点
1.カメオ出演以外で他作品との繋がりを感じられない
まずこれ、『シー・ハルク:ザ・アートニー』にはハルク(ブルース・バナー)はもちろん、ウォンやアボミネーション、デアデビルといったキャラクターがカメオ出演していた。
そこで今までの作品と同じMCUの世界であるということは分かるけれど、それ以外で繋がりを感じることができない。
『ファルコン&ウィンターソルジャー』や『ワンダヴィジョン』のように本筋(映画)から話が繋がっているドラマでもなければ『ムーンナイト』のような全く新しいキャラクターの新しい物語でもない。
様々な物語が交錯し、より壮大なストーリーとなるMCUの醍醐味も、そうなりそうな予感すら感じることができなかった。
シーハルク誕生の経緯からドラマ内で起こる出来事の全てがこれからに繋がるようなワクワク感が無かった。
ドラマ全体を通して今後に関わるような敵がいるわけでも事件が起こるわけでもなく、終始「ひょんなことからハルクの力を手に入れてしまった女性の日常」って感じだった。
2.第4の壁を越えているシーンがノイズでしかない
シーハルクのドラマの中では度々、主人公のジェニファーがこちらに語りかけてくるシーンがある。『こちら』というのはドラマを見ている私たちのことで、ジェニファーは自分のいる世界が『ドラマ』であるということを理解し、いわゆる『第4の壁』というものを超えてくる。
『第4の壁を越える』という行為は他のMARVEL映画ではデッドプールが行っている。
デッドプールの場合はこちらに語りかけてくるシーンでいつも笑わせられるし、「自分が映画の主人公だと理解している主人公」というキャラが何ともクールで魅力的だ。
それにデッドプールでは第4の壁を超えているからといってその行為自体が物語に影響を与えることはない。デッドプールにおいて、第4の壁を越えるという行為は映画に笑いを与えてくれている。
でも、シーハルクは違う。第4の壁を超えているシーンがただのノイズでしかない。
物語に関わるわけでもなく、それがコメディ的な面白さに繋がっているわけでもない。
「ただ語りかけてくる」というだけだ。
そのせいで主人公のジェニファーがどんな世界観で生きているのか分かりにくくなるし、「こちらに語りかけてくる」というシーンに何の意味があるのかよく分からない。
ジェニファーは映画の世界で生きているけど、俺たちに向かって語りかけてくる。
ジェニファーはシーハルク? それともただの役者?
そんな混乱が生まれてしまう。
『第4の壁を越える』というある種創作の禁じ手のようなものを使っているにも関わらず、それが面白さに繋がらず物語においてただのノイズになってしまっている。
3.物語の着地点、全体の流れから終わり方までよく分からない
このドラマはヒーロードラマなのだろうか、法廷コメディなのだろうか。よく分からない作品になっていたなという印象だった。
コメディシーンはある。でもコメディ全開というわけでもなくそのコメディが笑えるほど面白いかと言われるとそうでもない。
ドラマの中でいくつかのアクションシーンはある。でも、ジェニファーには明確な敵がいるわけではない。
ジェニファーはひょんなことからハルクの力を手にしてしまったただの女性弁護士だ。
シーハルクには、世界征服を企む秘密結社も鉄のスーツに身を包んだテロ組織の人間も地球に攻めてくるエイリアン軍団も宇宙の生物を半分にしようとする顔デカ宇宙人も登場しないのだ。
結局、何を軸にして何が目的の物語なのか分からないまま、最終回を迎える。
その最終回が1番訳がわからない。
ドラマのキャラクターであるジェニファー自らがドラマの結末を都合のいいように書き換えて、終了。
この結末で一体何を伝えたかったのか分からないけれど、
「映画やアニメのキャラクターが現実世界にいたら、好き放題何でもできるよね」
という小学生が思いつくようなつまらない結末を本当にやってしまった。
ラストでハルクの息子が登場するシーンだけが唯一今後のMCUに関わってきそうなことだったけど、それ以外は今後のMCUにとって何の意味もないような物語だった。
シーハルクもMCUの作品なのだから、恐らく何らかの形で今後の映画に関わってくるだろう。でも、物語を書き換えられる人物をMCUのような様々な映画が交錯するシリーズに登場させるのは最悪だ。
今後のアベンジャーズでどんなに大変なことが起きても
「でも、シーハルクならこの物語を書き換えられるからなぁ」
で済んでしまう。
そんなことを思いながら映画を観たくはない。
良かった点
1.もしかしたらこれが正しいオリジナルドラマの使い方なのかもしれない
俺が思ったシーハルクの唯一良かった点。
良かった点というよりは「もしかしたらこうなんじゃないか」と思った点。
それは、
シーハルクくらいぶっとんでいて他の作品に関わらなさそうなドラマこそが『ディズニープラスオリジナルドラマ』というものの正しい使い方なんじゃないか
ということ。
今のMCU、ひいてはMARVEL映画の問題点として『話が広がりすぎ&観なければいけない作品が多すぎ』というものがある。
MCU作品の一区切りとされる『アベンジャーズ/エンドゲーム』を楽しむためには40作品以上の映画を観なければならない。
そして、エンドゲーム後、フェーズ4に入ってからはマルチバースという新たな概念が取り入れられ、話の規模が一気に広がった。
さらに、ディズニープラスオリジナルドラマの配信。今まではMCUの映画を全て見ていれば話が理解できたけれど、今はわざわざディズニープラスに加入してオリジナルドラマを観なければいけなくなっている。
1つの映画を観るために、50以上の作品と1話40分以上のドラマシリーズを複数観なければいけない。今までMCU作品を観続けてきた自分にとってもこれは辛い。
正直、新規の人が追いつくのは敷居が高すぎて無理だろう。
でも、『全ての作品が繋がっている』というのもMCU作品の魅力の一つ。これを捨て去るわけにはいかないし、捨て去ることもできない。
だから、シーハルクはオリジナルドラマの正しい使い方なんじゃないかなって思った。
オリジナルドラマはMCU世界の話だけどあくまで外伝みたいな位置付けにしといて、
「ドラマは観なくてもこれからの映画を楽しめるよ。でも、ドラマを観れば色んなキャラへの理解度が深まるよ」
っていう立ち位置が正解なんじゃないかと思う。
『ファルコン&ウィンターソルジャー』とか『ロキ』は、確かに面白いけどこれからもMCUを観るための敷居を更に数段上げてしまったのも事実。
シーハルクみたいに全然関係なさそうなドラマの方がこれからのMCUのためにはいいんじゃないかと個人的に思う。
これが俺の思うシーハルクの唯一良い点。シーハルクの物語や設定は褒められるものではないけれど、『ドラマの使い方』としてはこうしていった方がいいんじゃないかと思いました。
以上が、俺のシーハルクへの感想。
今配信されてるアガサのドラマも一応見てるけど、これからの映画に深く関わるものではないことを望む……。
これ以上MARVELの敷居を上げるようなことはしないでくへ〜
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