【中世欧州料理試作】(7)ブリータルト
このコラムでは、過去試作してご紹介した中世ヨーロッパのアレンジ料理についてちまちまご紹介します。
全部実試作つき&単純に自分の感想や所感なども書きなぐってます。基本的に全部美味しいんですけど、一部「?!!?(なんともいえない味)」ってものもありますので、そのあたりも正直に書いときます。
中世イングランド版少しあっさりなチーズケーキ
ブリータルト(Tart of Bry)は14世紀末のイングランドで編纂された料理指南書「The forme of cury」に収録されているチーズケーキのようなスイーツです。
この料理指南集には他にもいくつかチーズを使った甘味がありまして、意外にもスイーツレシピが多くあるのが特徴です。以前記事にしました「サンボケード」もこの料理指南集にばっちり入っています。
ブリータルトとサンボケードの違いは使っているチーズの種類。前者は白カビタイプのブリーチーズ、後者はホエイ(乳清)を固めて作るリコッタチーズが主な材料となります。
ブリーチーズを召し上がったことのある方もいらっしゃるかと思いますが、現在ではそのまま切り分けてワインのお供にできる、少し塩気が効いている味となります(美味しいっすよネ)。
そのブリーチーズですが、1000年以上の歴史をもつふるーい種類でして、現在でもチーズ専門店や輸入食品屋さんにいけばだいたい取り扱っています。当然、中世ヨーロッパでも使われていたので、タルトの他の料理にも用いていたのかもしれません(あんまり見たことないけど)。
タルト自体の味的には、どちらかというとあっさり風味な感じです。少し柔らかいので扱いやすいですが価格はそれなりにします。
作り方は現代とあんまし変わりません
肝心の作り方ですが、拙作「小さな歴史の菓子小箱(同人誌)」にレシピを収録しているので以下ざっくりコピペします(雑扱い(*ノωノ))。
クリームチーズを併用して使っているんですが、これはアレンジで新たに加えた食材です。ブリーチーズ単体だけだと焼いた時に多少ゆるくなったことがあるので、現代でも食べやすいクリームチーズを一緒に練り込んでいます。
砂糖と卵黄を加えてまぜまぜ、金色のサフラン水を加えて色をなんとなーく色をつけて比較的低い温度でじっくりゆっくり焼き上げます。同じチーズケーキである「サンボケード」も、だいたい作り方は同じです。
現代の一般的なベイクドチーズケーキと比較しても、作り方は使っている食材はそう大きく変わっていないです。小麦粉や生クリームを使っているのは現代版ならではですが…(生クリームはいつでも偉大)。
カフェコラボ企画で出して頂きました
某流行り病の前に某書店さんとのコラボ企画で、その書店さんの隣にあるカフェで中世スイーツ出しませんか?という話がありまして、期間限定で出して頂いたことがあります。
さすがにカフェの方で最初から焼き上げるというわけにはいかなかったので、自分で仕込んで納品しました。腱鞘炎になるんじゃないかレベルでめっちゃ作りましたが(今や遠い思い出)。
料理イベントなどでスイーツの一品としてお出しする機会はあったんですが、現代のおっしゃれー♪なカフェコラボで不特定多数の方にお出しすること自体は初めてだったので、ヤヴァイ感想しかないんじゃないかと日々ガクブルだったんですが、後から聞いたカフェのご担当者様いわく「リピートされる方が多かったです」とのことで、それを聞いて安心しました。
もー、中世ヨーロッパのお料理って得体のしれない料理という印象がけっこう強いのでネガティブな思い込みしかなかったんですが、予想外に受け入れて頂いた方が多かったのが嬉しかったです。
今回はクリームチーズも入っていたから食べやすかったのかもしれませんが、もしブリーチーズだけだったら、もしかしたら味の印象が変わっていたのかもしれないですね。
料理指南書に記されているガチな味で召し上がりたい方も一定数おられるのは承知しているんですが、お出しする場所によって現代寄りにアレンジするのも、歴史料理に携わる者としては大事な要素じゃないかなと考えています。西洋人と日本人はそもそも味の好みが昔から違いますし、その辺りも柔軟に対応しないといけないと思います。せっかくなんでまた頃合いを見て作ってみたいっすね(・∀・)。
最後までご一読頂き、有難うございました(^-^)。
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