ぽぽら春日部モヤモヤカフェ(2021年5月)
5月22日(土)に、春日部市市民活動センター(ぽぽら春日部)でモヤモヤカフェを開催しました!
連日報道されるコロナ関連のニュースにモヤモヤすることが多い今日このごろ、『前向きにチャレンジしようとする話』が私たちの日常にちょっとした勇気を与えてくれます。新しいことを始めるときはいつだって期待と不安が入り混じるもの。自分を奮い立たせるための物語は、いつのまにか周りの人を勇気づけていたりします。今月のモヤモヤカフェは、そんな期待と不安が入り混じった未来に向けての物語をお届けします!
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『自分らしさを取り戻す、若者のための場所づくり』
1.新しい春日部モヤモヤ
【モヤとも】野田歩伸さん(国際基督教大学)
私は春日部に生まれ育ち、地元春日部についてはあまり興味を持てずにいましたが、高校生の時に春日部市国際交流協会(KIFA)に入ったのをきっかけに興味を持ち始めるようになりました。今は、「自分らしく生きられるまち」をどうやって作っていくかを考えています。
いちばん大きな活動としては、若者の「居場所づくり」を考えていて、中学生、高校生、大学生を中心として、お互いを高め合えるような環境があったらいいのかなと思っています。その場で勉強してもいいし、遊んでもいいし、おしゃべりしてもいい自由な環境で、定期的に春日部について知る勉強会や、いままで触れたことのない違う背景を持った人たちとの交流会、ちょっとした職業体験等を行うことによって、自分の価値観や視野を広げていけるような場所がつくれたらいいと思っています。それが自分の道を進むための入口だと思っています。
こういうことを考えるようになったきっかけは、私自身が社会や大人が考えるレールに乗っていたと実感しているからです。それが正しいとか間違いとかではなく、自分が進む道は自分で考えていくのがいいと思っています。自分の道を考えるために必要なのはまず自己理解で、自分が持っている価値観や考え方は周りのいろいろなものから作られていることに気付き、それを一回自由にできる場所が必要だと思います。今まで見ていた視点から、もっと色々と異なった視点で見ることによって自分の中の固定観念が少しずつ崩されていって、もう少し広い目で物事を見られるようになるのではないかと思いました。そこで自分らしい価値観や新たな経験を取り入れることによって、少しずつ自分らしさが生まれていくと思います。
自己理解ができた後にすべての自分を受け入れる、いろいろな生き方を自分で肯定して認めていくことによって自己選択、自己決定ができるようになり、自分はこの道を進んでいくということが少しずつ明確になっていくと思います。
ですので、若者たちが集う環境の中で知識を蓄えたり、自分がこういうことをやってみたいなということを実現できる場を作ることができれば、若者がもう少し自由に、多様な自分の道を生きていけるのかなと思います。
その具体例として、山梨県の韮崎市にある「ミアキス」というところが若者の拠点づくりをしていて、なにをしてもよい自由な空間で、たまに大学生や大人が入って勉強を教えたり相談に乗ってあげたりもしています。地域で働く大人たちの働き方や生き方を学べる環境になっているので、そこで自分たちが何かやってみたいなと思ったときは、周りに集まっている仲間もいるし、その場所を使ってイベントを行えるようにもなっています。
こういった環境を作って、若者が自分らしく生きられるまちづくりができたらいいなと思っています。そのためにまずは、こういった場所に興味を持ってくれる学生を増やしていきたいこともあるので、中学校や高校に直接出向いて、「新しい生き方」や「自分らしさ」について話し合いのような場が開けたらいいなと思っています。
『チャンスをつかめ!いいことあるかもスパイスクッキー』
2.新しいことにチャレンジしたいモヤモヤ
【モヤとも】臼井紀子さん(調理師・食育インストラクター)
おいしいものを「作ること」と「食べること」、それから動物が大好きで、家でたくさんの動物を育てながらのんびり過ごしています。
高校は杉戸農業高校の生活技術科に通っていて、調理と被服と保育を学んでいました。その後調理師学校に入学し、調理師免許と食育インストラクターの資格を取りました。現在はフリーで仕事をしたり動物の世話をしたりしているのですが、何か始めたい、チャレンジしたいけどできないというのが私のモヤモヤです。
19歳の時に飲食店に就職して、キッチンを転々としながら働いていました。いつか自分の作ったものを自分の名前で食べてほしいという気持ちがありましたが、初期投資もかかるし、自分の作ったものでお金が取れるのか不安がありました。
人生の中で手を差し伸べてもらえるチャンスはたくさんあって、私の場合は就職が決まったとき、シンガポールにいた親戚の方に、就職先を断ってもいいから一度海外のキッチンに入ってみなよと言われたり、就職先のホテルで部署異動の話が出た時に、私が専攻していたのは西洋料理で、異動先は中華だったのですが、自分が作りたいものではなかったのでやめたりとか、言ってもらったのに掴めなかったチャンスがたくさんあって、なんでやらなかったんだろうっていうモヤモヤがずっとあり今に至ります。
20歳の時に仲良くしてもらっている春日部のヨガのインストラクターの先生がいて、春日部のスタジオでアロマの癒しヨガやいろんな方とのコラボでヨガをやっている方で、その方からインドの医学「アーユルヴェーダ」という、病気になる前に自分の体調を整えようというワークショップを一緒にやらないかというお誘いを受けました。その時もモヤモヤして、自分の作ったものに価値があるのか、ご飯を作って先生のワークショップでお金を取るので、そこまでの自信はない、できないというのが続いて今ここまできています。
ずっとモヤモヤしてきたのですが、今年の春に新しいチャンスが飛び込んできて、ヨガの先生の知り合いの方が自宅の厨房にキッチンを構えることになり、そこのキッチンを借りれば営業許可証がついているので販売が可能になるという話をいただきました。やってみたいけどどうしようという気持ちでモヤモヤしましたが、せっかくなので始めてみることにしました。
それでいま『kikoのいい事あるかも!クセになるスパイスクッキー』という商品を開発中です。好き嫌いが半分半分で別れるような味なのですが、癖になるスパイスクッキーです。
使っているスパイスは奇跡のスパイスと言われるターメリックと、シナモンと、ブラックペッパーも使っています。ヨガの先生のもとで勉強中のアーユルヴェーダの考え方で作ったクッキーです。病気になる前に体の不調を改善することがとてもいいことだと学んだのですが、なかなか日常的な料理の中でスパイスを使うのは難しいので、日頃から手軽に食べられるものをと考えた時に、日持ちもするのでとりあえずクッキーから始めてみることにしました。
初めは黄色がかわいいので、ターメリックとブラックペッパーだけで作ったのですが、最初は自分でも辛くて食べられませんでした。(作り始めて)3日目から急においしく感じられ、パクチーみたいなものだと思いました。でもこのままおいしさが3枚目くらいにならないと伝わらないのではだめだなと思い、シナモンを入れてみました。
いま、ターメリックが奇跡のスパイスと言われていて注目されています。フルクミンの中に抗酸化作用と抗炎症作用があり、それがアンチエイジング、シミ・しわ・くすみの改善、消化不良の改善、肝機能改善、月経調整に効果があると言われているので、日ごろから少ない量で摂取するといいと言われています。
シナモンは抗酸化作用、抗炎症作用、血行改善、血糖コレステロール効果があるので相性がいいのかなと思います。味を引き締めるために塩を入れたかったのですが、塩を入れると塩分量が上がってしまうので、自分がブラックペッパーが好きなことを思い出し、ブラックペッパーを入れました。ブラックペッパーは、他の栄養素の吸収を促進してくれる作用があり、お肉にブラックペッパーを振るのも同じ理由です。そういったことを試しながら開発をしています。
今、商品化に向けてロゴやパッケージを作ったり、保健所の許可を取ったり、原価計算をしたりしています。インド医学のアーユルヴェーダでは日常的にターメリック、シナモン、ブラックペッパー等のスパイスを食事に取り入れて体調を整えるそうで、このクッキーを「日常にスパイスを取る」きっかけにして欲しいです。できたら早く商品化したいと思っていますが、厨房を借りる費用をクッキーに上乗せしないといけないので、クッキーの形・大きさを変えるのか、価格を上げるのかで悩んでいます。また、販売する場所についても決まっておらず、販売方法も含め、いろいろと考えているところです。二十歳のときは自信がなくてチャレンジできませんでしたが、今回は実現に向けてがんばっていきたいと思っています。
『人を育て、野菜を育てる生きがいづくり』
3.野菜づくりモヤモヤ
【モヤとも】今井康容さん
私は生まれも育ちも豊春です。元中学校の教員で数学を教えていました。60歳で定年退職をして、第2の人生をどうしていくのかをいろいろと考えていたところ、自宅周辺に住む農家の先輩に「畑が空いているから茄子や胡瓜を植えてみたらどうか?」と誘われたことがきっかけで野菜づくりを始めました。
近所のホームセンターに苗を買いに行き、植え方から肥料のあげ方、水やりの方法まで先輩が手とり足とり教えてくれました。だんだんと(野菜の)成長が楽しくなり、自分でシシトウやインゲンの苗も買ってきて一人で植えるようになりました。9月は秋野菜や冬野菜の種まきの季節なのですが、そんなことも知らなかったので慌てて畑を耕し、大根、ほうれん草、小松菜等を10月に蒔きました。冬になってからはエンドウ、2月はじゃがいも、と(野菜づくりを始めてから)あっという間に1年が過ぎました。
4年目になると、同じところに作付けしてはよく育たないという「連作障害※」について教わり、徐々に(苗を)引っ越しました。すると(あまり育っていなかった野菜の)でき具合が正常に戻り、作付け計画が大事なんだということを学びました。
野菜づくりでもう一つ学んだことは、種まきの時期を逃さないということです。大根やほうれん草、小松菜等の9月に蒔くべき種を10月に蒔いたのでは発芽の状況も悪いし、発芽しても成長があまりよくない。種まきの時期をずらしてはだめだということを学びました。
5年目ぐらいから、(安定して野菜が)採れるようになったのですが、いっぺんに採れるものですから、最初は喜んでいた妻にもだんだんと喜んでもらえなくなりました(苦笑)。「こんなにどうするの?」ということが増えてきて、近所にあげたりもしていたのですが、季節が同じなので周り(で採れる野菜)もけっこうダブっています。そんな時に行きつけの居酒屋で話をしたところ「喜んで使わせてもらいますよ」と言ってくださいました。シシトウ等はその場で天ぷらにしてお客さんに出してもらいとても喜ばれました。
そのお店が閉店になった後、2年前に『居酒屋美月』(先月のモヤタマカフェの記事参照)さんを知りました。同じように野菜の話をしたら喜んで使ってもらえるようになりました。冬場のおでんによいとのことで、特に大根が喜ばれました。(美月さんも)コロナ禍で休業もしていますし、そういったことを乗り越えて営業されているので、私も野菜づくりで一生懸命がんばろうと勇気をいただいた気がします。
昨年はタマムシカフェのお二人と出会い、それがきっかけで今日もこういった場をいただきました。野菜がとりもつ交流ができて、第2の人生として一つの生き方になったのかなと思っています。野菜づくりはとても奥が深く、難しいです。でも、新鮮な野菜が採れて、それをいただくことはとても楽しいことです。野菜を通じて地域の居酒屋さんとの交流につながりましたし、今後は子ども食堂さん等との交流も視野に入れながらこれからも野菜づくりを生きがいとしてがんばっていきたいです。
「野菜づくり」と「人を育てる」ことは似ているとよく言われます。でも、やはり人を育てることは難しい。手間暇をかけないといけないということは同じですが、人は皆それぞれ違いますし、ある程度パターンがある野菜づくりのようにはいきません。人はそれぞれの能力を持っているので、それを見極め、できたことを褒めるということを私は心がけてきました。人を育てることも野菜づくりもタイミングを逃さないということなんでしょうね。
※連作障害:毎年続けて、同じ畑で同じ(課の)作物を植えていると生育不良が起こること
『ITを使いこなして地域とつながれ!』
4.ITとオンラインモヤモヤ
【モヤとも】吉田徳志さん(宇都宮大学)
私はIT系の情報や知識を得るのに恵まれた環境で育ちまして、同年代の人より知識があると自負しています。だからか、自分が使っているパソコンやスマホ、タブレット等の簡単な仕組みさえも知らない人が多いということに昔からモヤモヤしていました。
大学の授業で自己紹介等もするのですが、みんな「パソコンについて勉強します」と言います。ニュアンスは伝わるけどちょっと変です。パソコンといっても、中に使っているソフトやアプリの話なのか、パソコン本体の話なのか分かりません。例えるなら「最近僕はニュースの勉強をしています」というようなものです。何かおかしいぞ?とモヤモヤしていました。
いろいろ考えていくうちに、「パソコンやIT機器を使いこなす」ということをみんなができていないんじゃないか?と考え始めました。みんな(IT機器を)使っているけど、使いこなせていない。本当の機能等の細かいことを知らないで、表面的なところで何かやっている。これではいけないんじゃないかと僕は考えています。人工知能やロボットに人間が支配されてしまうようなSF映画もありますが、自分たちの使っているIT機器がどういうものか分からないまま使っているということは、その一歩を踏み出しているような気がします。自分たちが使っているものを正しく理解することで、例えばインターネットからの脅威も回避することができるし、ITを使ったより豊かな生活ができるんじゃないかと考えています。
最近よく使われている言葉で「DX(デジタルトランスフォメーション)」というものがありますけど、これもみんな正しい意味で使っていなくて、なんでもかんでも「デジタルにすればいいよね」という意味で使ってしまっている気がします。SDGsの「9」(産業と技術革新の基盤をつくろう)にも「みんながインターネットを使えるようにしようね」というのがあるんですが、インターネットを使えるようにしても、使いこなせる人が増えないと意味がなくて、その一歩踏み込んだところをどうするか。これは、コロナ禍でとても重要視されているオンラインにもつながってくることだと思っています。
今「GIGA(ギガ)スクール※」という言葉が流行り始めていますが、ギガスクールでIT機器をただ導入すればいいという話ではなく、ITがどういうものかをちゃんと学んでいかなければいけない。自分たちが学校や授業で使っているモノについての授業もしていかなくちゃいけないと思います。
ITの苦手な人たちが「ここに聞けば分かる」というところがあった方がいいんじゃないかと考えていて、今構想を練っているところです。大学生にITを使いこなすことがどういうことかを理解してもらい、その知識を持った若者たちがITに抵抗のある世代の方々の手助けをし、地域内の交流ができたらいいと僕は考えています。
(具体的には)学生の団体を一つ立ち上げ、学生や若者の集まれる場所を作り、そこでITの知識や技術、ノウハウを共有します。その上で「コロナ禍で集まるのが危ないからオンライン会議がしたい」というような市民活動団体の方々のお手伝いができればいいのかなと思っています。ただ、単に学生に知識や技術を覚えてもらうのも難しいので、ITの事業をしている地域の企業の人たちと協力できないか考えています。学生の団体と企業がつながることで、企業は自分たちの仕事が宣伝できたり、人材を育成しそのまま確保したりすることができる。学生は知識やノウハウを得ることができたり、企業や社会と直接関わることで社会の常識やマナーを学べる機会になったりします。学生の団体で知識を蓄えた若者が市民活動団体とつながることで、地域とつながる学生が生まれます。市民活動センターには自分たちみたいな若者がいないので、若い世代が(施設に)入ってくるきっかけになればいいなと思っています。
※GIGA(ギガ)スクール:児童一人に一台の端末と高速大容量の通信ネットワーク等のICT環境を学校に整備した上で個別最適化された創造性を育む教育を目指すという構想。
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モヤモヤカフェは、暮らしのなかで感じるちょっとした疑問や悩み、ワクワクするアイデアを、コーヒーなどの飲み物を片手におしゃべりをする場所です。これからも春日部で活動する個人個人の思いを紡いでいきたいと思います。
次回2021年最初のモヤモヤカフェは6月26日(土)を予定しています。次回もモヤ友の皆さんからお友達を紹介してもらう予定です。次回のゲストは後日ご案内しますので、ぜひ楽しみにしていてください。ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
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