コミティア146で出張漫画編集部に持ち込んでみたら普通に痛いところを突かれた
先日のコミティア146で出張漫画編集部に持ち込んでみました。
出張漫画編集部には前も持ち込んだことがあって、前回のレポはこちら↓
今回はサークル参加で店番もちゃんとしたいということで、1時間で2社だけ回りました。以下はその備忘録。
(ちなみにサークル参加自体の感想等は↓に書いています)
まず、
私と言うフィルターを通した備忘録なので、編集者ご本人からしたら「そういう意味で言ったんじゃない」「そもそもそんなこと言ってない」「話ちゃんと聞いてた?」と思われるかもしれません。ごめんなさい。自分用の備忘録なのでそのあたりご了承ください。
持ち込んだ漫画
サークルで頒布もしていた以下2作
・『血みどろプラネット』
・『きみとエンゲージメント』
編集部の選び方
今回は以下の2社を選びました。
・幻冬社コミックス「comicブースト」
・Amazia「マンガBANG!」
こちらを選んだ理由としては、以下の通り。
過去に持ち込んだことがない
少女漫画・BL・縦スクといったジャンルが限定されておらず、間口が広そう
長い待ち行列ができていない(時間があまりなかったので、人が溢れているようなところは避けました)
編集者の方からの感想・アドバイス
・幻冬社コミックス「comicブースト」
読んでくれた人:20代くらい?女性
▼感想・アドバイス▼
1ページあたりに情報量が多い。今の読者は情報量が多いと読んでくれない。
4コマ形式(1ページに8コマ)ではなく、普通のコマ割りがよいのでは。見たところ、普通のコマ割りの部分は引き等もできているし、4コマ形式にする必要性を感じない。4コマはゆるふわでガッチリとしたストーリー性がない、日常モノに向いている形式。
普通のコマ割りにするなら背景をちゃんと描いたほうがいい。
(『血みどろ〜』について)背景に宇宙ならではの感じを出せるとよい。→勝手に銀河鉄道999のイメージが浮かんだ。999の宇宙のワクワク感は私もすごく好きだ。自分の漫画には全く反映されてないけど……
(『きみと〜』について)ロボットのキャラは立っているので、女の子の方のキャラも立たせたほうがいい。
(キャラクターの頭身は変えるべきか?という質問に対し)そのままでいいと思う。もっと絵はがんばれ。
・Amazia「マンガBANG!」
読んでくれた人:40〜50代くらい?男性
▼感想・アドバイス▼
人間じゃないキャラ(宇宙生物・ロボット)の方が人間らしく描かれていてよい。
なぜ1ページに8コマ(4×2)なのか?4コマだと読み手は4コマで区切りがつくと思ってしまって気持ちが切れてしまう。読み手と描き手の乖離が生まれる。
ストーリーについて目の付け所が絶妙。「大人の童話」という感じ。
似た方向の漫画として『王様ランキング』が浮かんだ。
WEB漫画はキツい内容(不倫とか復讐とか)がウケる。キツい内容をかわいい絵柄で中和して描くと言うのもあり。
絵柄はかわいい感じでも、ビターな導入や設定で大人の読者を引き込めるといい(再婚した夫婦の子供の話とか。『君たちはどう生きるか』なんてまさしくそう)。大人の読者が「自分だったら……」「自分の子供だったら……」等と考えながら読み始めてくれると、その後のストーリーにも共感してもらいやすくなる。
(たとえば『ぼのぼの』はストーリーのある4コマ形式だが、なぜあれは受け入れられるのだろうか、という質問に対し)時代性もある。あとはあまり書き込みや文字も多くない印象。
(読み切りなら描けるが、連載に繋がるような話を考えるのが苦手。どうしたらよいか、という質問に対し)ページ数を増やしていけばいずれ描けるようになる。たとえば50ページの漫画が描ければ25×2の2話にできる。だんだんキャラクターを深掘りできるようになれば長い話は作れるようになる。千里の道も一歩から。
(余談だが昨今爆発的に流行している『ちいかわ』が編集部に持ち込まれた場合、どういった評価がされるのか、という質問に対し)『ちいかわ』は非常に評価が難しい作品。SNSと絶妙にマッチした漫画で、ああいった作品を拾えないのが漫画賞の限界であるとも言える。
持ち込んでみた感想
持ち込むときはいつも本当に緊張する。怒られたり罵倒されたりしなくてよかった。
前回よりもまとまりのあるアドバイスをもらった印象。前回はまったく違うテイストの漫画を3本持っていったので「何が描きたいのかよくわからない人」になっていた可能性(実際そうだった)。今回はわりと同じテイストの2本だったので、「こういう雰囲気の漫画を描く人」というのを明らかにしてのぞめたのがよかったのかも。
毎回思うのだが、自覚の有無によらず、漫画を描く上であえて避けているようなことは必ず指摘される。普通に痛いところを突かれる。さすが編集者……
今回2社に共通して言われたのは「なんで4コマ形式?」ということ。これは実のところ、ただただ「作画コストの軽減のため」でしかない。描くのが遅いので、コマをコピペしやすく、背景もあんま描かなくてもいい(よくないけど)と考えてこの形式にしていたのだ。これを「このストーリーなら普通のコマ割りがいいですよね」と言われると本当にぐうの音も出ない。全くその通り。
ただ、4コマ形式にしていると確かに楽なところもあるのだが、1ページあたりのコマ数は増えるし、少なくとも8コマ単位では落ちないといけないのでかえってそこに苦労することも多かった。そろそろ4コマ形式も卒業の時なのかも……背景もがんばって描かねば……
「絵柄はかわいい感じでも、ビターな導入や設定で大人の読者を引き込む」というのは今後意識すべきことかと思った。私自身もそういう作品が好きだ(『世界の終わりに柴犬と』とか『少女終末旅行』とか)。
連載になるような漫画を描くにも、まずは読み切りが描けてこそと教えていただいた。現時点では無理に長い話を描こうとせず、読み応えのある読み切りを描けるようになりたい。
漫画の話ができるのはとても嬉しいし、楽しい。
ちいかわはすごい。
今回も学びの多い出張漫画編集部でした。有難いことに内1社の方には名刺をいただいたので、そこの漫画賞に出す出さないの話に進むかもしれません。いずれにしてもいただいたアドバイスを胸に、またぼちぼち漫画を描いていきます。
おわり!