「月○冊読書するだけで上位〇%」問題について考えた
どーも、織田牛奈(noteのすがた)(@butakichi3hide)です☆三(ゝω・)vキャピ
私は普段Twitterで活動しております。
皆さんご存知の通り、TwitterとはSNSにおける魑魅魍魎の坩堝です。多種多様な化け物たちが一同に介するSNSはTwitterくらいではないでしょうか。私もその一人ですし、Twitterをしてるならアナタもその一人です。逃がしゃしないよ…!
そのため「全世界が感動する話」や「青春ラブストーリー」と同時に「詐欺紛いの宣伝」や「デマや誹謗中傷された!と声高らかに叫ぶ被害者?」なんかも観測されます。この混沌ぶりがTwitterの醍醐味ですよね。
まあ感動ストーリーも嘘松だったりするんですけどね、初見さん。
そんなSNSのスラム街ことTwitterで皆さんも一度は目にしたことがあるであろうコチラ。
「日本人は読書をしない!月〇冊読書をするだけで日本人の上位〇%に入る事が出来ます!!オススメはこの自己啓発本「金持ち父さ…」以下略」
上記について少し考えていきたいと思います。
日本人は本当に読書しないのか?
まずは「日本人は読書をしない」のソースを探しましょう。
Google先生に「読書 上位」で検索して出てきたブログを10件ほど回った結果、文部科学省の「国語に関する世論調査」から引っ張ってきてることが分かりました。(ブログによってはソース元すらなく「日本人の〇%は読書しないみたいです」って噂レベルの話で進行してるところもありました。アレ見て信じる人いるのだろうか…)
こちらの資料、「姑息」や「煮詰まる」などの誤用しやすい慣用句を本来の意味で使用してる人の割合とかも集計してて興味深い資料です。一度読まれてみてはいかがでしょうか?
ちなみに「姑息」は「一時しのぎ」、「煮詰まる」は「議論が充分に行われて、結論が出る」って意味です。博識な皆様には釈迦に説法だったかもしれません。
はてさて肝心の読書についての調査ですが、恐らくこちらのグラフです。
平成30年度「国語に関する世論調査」より抜粋
今回の調査では「読まない」47.3%「1・2冊」37.6%「5・6冊」「7冊以上」がそれぞれ3.2%とのこと。確かにほぼ過半数は本を読まないことがデータから読み取れますので、確かに「日本人は読書しない」ってのはあながち間違いではなさそうです。
しかし1ケタ%になるには少なくとも5冊以上を読むことが必要です。ちなみに私が検索した限りでは「1カ月に7冊以上読めば上位3%に!」って売り文句が一番多いように感じました。まあ「5冊以上読めば上位6%」よりもより上位感醸し出せるからな。
…ここで勘のいい皆さんならなんとなく違和感をお持ちになったと思います。コレ、上位じゃなくね?と。
「上位」と「少数」の違い
ここで「上位」の定義を見ておきましょう。
順位・地位・位置が上であること。「上位の入賞者」⇔下位。
当たり前ですが、「上位」と定義するからにはそこには順位が必要となります。下が無ければ上もありませんからね。
例えばですが「中間テストで500点中495点以上取った者は全体の5%」であれは「上位5%」と言えると思います。成績は競い合うものなので上下が発生しますもの。
同様に「個人売上が1,000万円突破したのは全社員のうち5%」も上位5%と言えるでしょう。自分で書いといて何ですが、個人売上が1,000万を突破するってどんな業種なんでしょうかね…。不動産売買とかかしら?
さて本題の「1ヶ月に読んだ本の冊数」ですが、読書とは読んだ冊数や量を競い合うものではありませんよね。勿論そういった楽しみ方をされてる方がいることは否定しませんが、なんだか悲しいマウントの取り方するなぁと思ってしまいます。
上記の理由で文化庁のデータをもって「月に7冊以上読む人」の3%は「上位」とは呼べないと思うんですよ。ただ少数派である事は間違いないとは思います。
本人が「月に7冊以上読んだから俺は「上位3%」の人間だァー!!」って自己満足する分には問題無いのですが、傍から見ると良くて「少数派」悪けりゃ「ただ本を大量に読む人」なの流石に草ww…ではなくちょっと気の毒な気がしますけど。
「上位」と表現される方は私の知ってる「読書」とは随分かけ離れた世界線にいらっしゃるなと思ってしまうのです。私が知らないだけで実は「全日本天下一読書量武道会」みたいな大会に全国民が強制エントリーさせられてたりするのでしょうか?
ガバガバアンケート
そして「月7冊読めば~」という冊数に関しても疑問符が付きます。コレはアンケートにも言える事なのですが「本によってページ数や1ページ辺りの文字数が異なる」って視点が完全に抜けて落ちてるんですよね。
例えば下記の画像ですが私の部屋にあった文庫を比較してみましたが、どうでしょうか?
左から順に786ページ・542ページ・315ページです。本によって全く厚さが違いますよね。
我が家にはありませんでしたが、京極夏彦の本になると上下巻に分けて1248ページもあるそうです。武器かな?
アンケートのカウント的には全て「一冊」ですよね?こうなってくるとアンケートの「月に何冊読むか」の意図が曖昧になってしまうんですよ。
確かに読書する習慣がある人が読む冊数が多くなる傾向があることは事実なのですが、逆に読む冊数が少ない人は読書をする習慣が無いとは言い切れないのですから。1248ページ級を一か月に7冊読める奴いないだろ。1冊…いけるかどうかの瀬戸際かなと。
まあ一番の問題点はアンケートで「読書の定義」を定めてないことが一番の問題だと思います。本なら何でもOKページ数は問わない場合極論ページ数が少ない「絵本」を選択したらいいのですから。
「月7冊読んだから上位3%!」って人に何読んだのか?って聞いて絵本の名前が出てきたらそれはそれで興味が湧きますけども。
どこまで読めば「読了」なのか
私は「自己啓発本」を読む場合、「読書」にカウントしないようにしてるんですよね。
理由は簡単で「大抵全部読まないから」なんです。
昔「本を早く読む方法!」みたいな本を書店で見かけまして飛びつきました。これで小説をもっと効率よく読めるぞ!と。早く積読を消化しないと実家の床が抜ける。
ええ、皆さんが今思った通りこの本は正確に表記すると「自己啓発本を早く読む本!」でした。
その中で紹介されていた方法の一つが「自己啓発本は目次を眺めて興味をそそられたところだけ読みましょう。興味をそそられない=今読んでも役に立たない可能性が高いのでそれで読了にして構いません」でした。
いや読了にしたらアカンやろ!何考えてんねん!!
…しかしですねこの読書方法、意外と役に立つんですよ。確かに自己啓発本は玉石混交なので興味をそそられない箇所を読んでも本当に面白くないですし役に立てようと思えないんですよ。内容の1/3が筆者の体験談と言うか自慢話だった本とか割と遭遇しますからね…。
そのため私も面白そうな自己啓発本を購入したら読みたいとこだけ読んでそれで終わりにしてます。しかしこの行為を「1冊読んだ!」とは私は言えないと思うんです。逆に自己啓発本でも最初から最後まで読み切るのであればそれは完全に「1冊読んだ!」と言えると思いますよ。
小説も同様で興味のある個所だけつまんで読了!とかあとがきと解説だけ読んで読了ってのは流石に無いなと思うんですよね。ただ小説は性質上最初から続けて読まないと内容が理解出来ない仕様なので大体全て読まざるを得ないだけなんですけども。
一日35分読書すれば上位5%?
この記事を書くために各ブログを回った訳ですが「〇冊読めば上位〇%!オススメはこのビジネス本で!」とどれも判を押したように同じことを書いてて途中で発狂するかと思ったのですが、とあるブログではちょっと違う書き方となってました。
「一日35分読書すれば上位5%になれます!」
今までは「とにかく沢山読めオススメはこのビジネス本だ!あと俺、サロン経営してるから入ってね♡」みたいな記事ばかり見ておりましたのでコレは興味深いと思い確認しました。
「文科省調べで日本人の多くは本を読まない」
「一週間に2冊読めれば上位5%に入れる」
ここまでは他のブログと主張は同じですね。若干%の数字が違う辺りに嫌な予感が漂いますが。
あと何回も書くけどそれ「上位」じゃないからな。
「一般的なビジネス本は200ページ程度で2~3時間で読み切れる」
ハイ、解散。
ちなみに私の手元にあるビジネス書(自己啓発本)調べましたが本当に263ページしか無くて笑いました。ちなみに厚さは先ほどの542ページの文庫と同じくらいの厚みです。比較するって大事ですねぇ。
「ビジネス本を2冊読み切るには約4時間必要=一週間で割ると一日35分で済む」
いやまあ計算上はそうなんですけども…。だから冊数追い求めるなら極論絵本にしろよ効率いいだろ。
結局「一日〇分読めば上位〇%」も本質は同じですね。
読書を楽しもう
上でも書きましたが「読書量を競い合う楽しみ」自体を否定する気はありません。実際問題「月7冊読めば日本人の上位3%に入れる」って謳い文句は読書へのきっかけとして非常に魅力的なキャッチコピーだと思います。「ギターを上手く弾ければ女にモテる!!」ってギター練習し始めるようなものかと。動機はともあれ行動する点は文句言われる筋合いは無いでしょう。
ただ読書の目的が「ひたすら冊数を稼いで上位3%に入る事」なのはとても勿体なく、そして寂しいことだと思います。そしてそこまで頑張った結果、傍から見た時「上位」じゃなくて「少数派」「ただ本を大量に読む人」になっちゃうのは中々キツいな。
折角時間を割いて読書してるんですから、冊数よりも本の内容を楽しまないの損してないかな?と思うのですよ。
「上位〇%」提唱の方々は「本を読むと頭がよくなる」とか「勉強になる」とか書いてるけど、読書量に追われてする読書がどこまで勉強になるのかは甚だ疑問なんですよね…。ちゃんと学ぼうとしたらどうしても読むペースは落ちるわけですし。
大量に読むこと・冊数を稼ぐことに重きを置くよりも、本を読んで「ここが面白かった」「ここがつまらなかった」などの感想や「役に立った」「感銘を受けた」なんかの意見が出る事の方が大事なんじゃないかなとつい思っちゃうんですよね。
最後に私が書いた漫画でお茶を濁して終わろうと思います。
それではまた('ω')ノシ
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