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陰キャが陽キャを駆逐する。村ホラー映画「黄龍の村」

公  開:2021年
監  督: 坂元裕吾
上映時間:66分
ジャンル:ホラー/サスペンス/コメディ

大予算で設定もばっちり決めている作品も見ごたえがあっていいものですが、工夫と勢いでさくっと見れる作品もいいものです。

様々な方向性で楽しむことができるのが映画の面白いところです。

さて、ミステリーとかでは特に多いですが、山奥の村になんらかの理由で迷い込んでしまうと、そこでは村の古いしきたりがあって・・・、なんていうのは、定番と言えば定番の設定です。

そんな設定を使って、爽快感たっぷりのスラッシャー映画として作られた「黄龍の村」が、66分という短さで見ることができます。

監督を務めるのは、「べいびーわるきゅーれ」や「ある用務員」の坂元裕吾監督となっておりまして、村ホラーに見せかけた別のもの、という雰囲気を感じるところではないでしょうか。

坂元監督ですので、アクション、バイオレンスがユーモアたっぷりに描かれています。

若者たちが、山にキャンプに行って、その帰りに車がパンク

たまたま訪れた村に泊めてもらったところ、村の儀式に巻き込まれて、という、まさに典型的な村ホラーといえるでしょうか。

違うのは、本作品の冒頭と後半で、感情移入するべきキャラクターが変わっていく、というところです。

陽キャのドキュメンタリー風

映画「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」は、手持ちカメラによって、モキュメンタリー映画として、まるで本物の魔女の森に迷い込んでしまったかのように撮影しているところが、面白い作品です。

「黄龍の村」は、手持ちカメラなどではなく、スマートフォンで自分達を撮影しているのですが、この陽キャっぷりが、たまりません。

このノリについていけそうにない、と思ってしまうのですが、本作品が、坂元裕吾監督ということを考えると、何かが起きるのだろうと期待しながら、じっと耐えることになります。

男女混合のリア充グループかと思いきや、なんか、様子がおかしいのです。

明らかにグループのノリに合わない、陰キャな登場人物が、男女問わず混じっているのです、

なんともいえない格差。なんで、この人たちは一緒にキャンプにきているんだ、という疑問は、村の異常が発動するとそのうち忘れてしまうかもしれません。

村のおきて

「村の掟だから」と言って、無茶苦茶なことがはじまるのですが、雰囲気としては「勇者ヨシヒコ」シリーズみたいなものです。

滑稽で面白いのですが、しっかり、人は死ぬ。

何を見せられているんだ、と思っているうちに、陽キャたちの反撃。突然の選手交代となるのです。

後半は、ひたすらスラッシャー映画となり、次々と敵が倒されていきます。

ちなみに、本作品に、村の掟の禍々しさなどを求めてはいけません。
そちらの方向で楽しみたい方については、是非、柳楽優弥が主演し、吉岡里穂が奥さん役を務めているドラマ「ガンニバル」をみてもらえればと思います。

村ホラーには違いありませんが、本作品は、66分という中に、陰キャが陽キャを駆逐するような、でも、結局、やっていることは陰キャも陽キャも同じじゃないか、と壮大なツッコミを入れるのが楽しい作品になっているのです。

村のご神体のような、生きた秘密となっている「おびんたわら」様という存在がいるのですが、それを演じているのが、一ノ瀬ワタルというのが面白かったりします。

一ノ瀬ワタルといえば、元プロ格闘家であり、Netflixドラマ「サンクチュアリ ー聖域ー」で名前が一気に知られるようになった俳優です。
力士を演じる為に1年間にもおよぶ肉体改造を行い、怖い顔と同時に、人懐っこい表情を見せる個性派です。

そんな一ノ瀬ワタルが、おびんたわら様なる不思議存在として出てくるのも、まぁ、「黄龍の村」の面白いところだったりします。

リア充爆発しろ、とは昔よく言われていたスラングではありますが、「黄龍の村」は、そんな陽キャを温かい目でみることができるので、別の意味で、オススメかもしれません。


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