見出し画像

千と千尋の神隠し 【自我の消滅】

私は今までジブリ作品を見たことがありませんでした。    

しかし、あの名作と言われているジブリ作品を1つも見ていないのは勿体ないような気がして、1番興行収入の高い「千と千尋の神隠し」を見ることにしました。見る前はただのファンタジー作品だと思っていましたが、とてもメッセージ性のあるもので感動しました。作画も素晴らしい。なので、ここに「千と千尋の神隠し」の感想を書きたいと思います。

「バブル時代」                  

この作品はバブル時代の影響によってもたらされたもの、バブル後の変容した社会を描いていると感じた。                 

「環境」                                 トンネルを通った後、千尋の父が

「間違いないな、テーマパークの残骸だよ。90年頃にあっちこっちでたくさん計画されてさ、バブルがはじけてみんな潰れちゃったんだ。これもその1つだよ。」

というセリフがある。千尋の家族達が迷い込んだ場所はバブル時代に建設され、はじけたことで不要になってしまったものである。また、油屋に異臭のする泥だらけの神様が訪れる。その神様は湯につかることで無事その汚れを落とすことが出来るのだが、その汚れは自転車などの人間の世界の廃棄物だったのである。これは、バブル時代の都市開発によって人間が生み出した汚染物と捉えていいと考えた。                 そして、「ハク」の本名は「ニギハヤミ・コハクヌシ」という名前で川の神様だった。しかし、琥珀川が人間に埋め立てられたことで居場所がなくなり油屋にたどり着いたと想像できる。これもバブル期の都市開発によるものと考えれる。あちらの世界はこちら側の世界のバブルの影響を受けているといえる。


「自我」

「名前を忘れたら元の世界に帰ることができない。」という設定がある。しかし、あちらの世界では名前を取られ、覚えようと意識していないと本当の名前を忘れてしまう。また、名前を忘れている事自体気づかなくなってしまう。千尋もハクに言われるまではそうだった。強い意志を持っていないと本当の自分を見失ってしまうのだ。                       また、「カオナシ」は自我がない象徴として描かれている。カオナシは他の生物を食べることで言葉をしっかり発することができる。バブルの後、人がそれぞれ持っているはずの個性が薄くなった。同一化され始めたのだ。このように社会の中で人は周りの人間に影響されやく、流されやすい。自我を強く持とうと考えずになんとなく生きていたら自分を見失ってしまうというメッセージを公開された当時の人々に伝えたかったのではないかと感じた。

私は、「千と千尋の神隠し」から伝わるこのメッセージを今の時代の人々こそ真摯に受け取らねばならないと思う。2020年に生きている私たちこそこの作品を見るべきなのではないか。SNSなどが発達した今、皆が同じようなものを好み、同じような服を着て、皆が食べているものを食べ、周りから「いいね!」と評価されるためにおしゃれな場所に行き写真を撮り、皆同じような写真投稿をする。多くの人が流行りに流されまくっている。流されていることに気づかないまま、自分が自分の意志で選び好きになったと錯覚してしまう。そして、結局自分が持っていたオリジナルの個性はいつのまにか消えてしまう。そのことにも気づかずに、、、、。  


千尋はあちら側の世界での経験によって強く自我を持つ少女に成長しました。私も「千と千尋の神隠し」を見ることで今の社会強く自分の意志を強く持たなければすぐに流されてしまうことを再確認することが出来ました。とてもメッセージ性のある作品だったと思います。今まで見てなかったことがとても悔やまれます。金曜ロードショーでよく放送してたのに.....                                    次は興行収入2位の「ハウルの動く城」を見ようと思います。






     



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?