太賀が仲野太賀に芸名を改めたこと。について
昨年、太賀が芸名を仲野太賀にあらためた。
普通の高校生、普通の若者をある意味「自己主張」せずに、主役たちの演技を食うことなく、それでいて、この役者いい存在感だしてるなあ、って太賀を見てた。
一番好きな作品は、バレー部の桐島の補欠役を演じた『桐島、部活止めるってよ』だ。桐島の出演陣は、みんないい芝居してるんだけど、松岡茉優と太賀の二人の芝居が本当によかった。
彼が、中野英雄の息子だということは、ウィキペディアで知ったけど、たぶん、今の若い人たちには、太賀のお父さんって、あの『アウトレイジ』に出てる役者さんなんだって。みたいな感じなんだろうなあ。
中野英雄は、Vシネの人(やくざ役)のイメージが定着してしまって、もはや普通の芝居を見た記憶がない。(彼の出世作の『愛という名のもとに』は見てないし)
山田孝之に憧れて役者の道を選んだという太賀だが、中野英雄との親子関係は良好だそうだが、彼が役者を目指すにあたっては、自分自身の演技で勝負したくて、父の存在がマイナスに働くことを事務所も本人も恐れ、中野姓を避け、二世俳優であることも隠して活動をスタートさせたと思われる。
そして、もう父の存在を気にする必要がなくなった(仕事の質量ともに、父を追い越していると思う)ので、満を持して仲野太賀に改名したのだろう。(本人も、苗字が欲しいと思っていたらしいし)しかし、そこで中野ではなく仲野姓を選んだところに、彼の役者としての矜持と父への思いの葛藤がみてとれるのではないか。
太賀の演じた役で一番好きなのは、『桐島、部活やめるってよ』だが、『孤高のメス』で脳死状態になる近所の高校生役もよかった。最近では、テレビドラマの『あにいもうと』で宮崎あおいの恋人役もこれまでにない役どころをうまく演じていた。彼は、市井の若者の悲哀や葛藤をリアルに演じ慣れる稀有な役者だと思うので、もっとそんな役柄の芝居をもっと見たい。
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