『くちびるに歌を』の渡辺大知
健常者が障碍者を演じることの難しさは、少しでも誇張したような芝居は、障碍者を見下したように見えてしまうし、ドラマの世界を壊してしまうから、いかに違和感を感じさせずに演じきれるかだと思う。
まだディカプリオという役者を知らなくて『ギルバート・グレイプ』で障害を持つ弟役(兄は、ジョニーデップ)を見た時、演技に見えず本当の障碍者の男の子をキャスティングしたんじゃないかと思ってしまったけど、『くちびるに歌を』で自閉症の兄を演じた渡辺大知も芝居に見えなかった。
彼は、ミュージシャン(黒猫チェルシーのボーカル、2018年10月に休止)でもあるけど、素人っぽい感じの演技が他の役者では出せない独特の雰囲気をまとっている。
田口トモロヲ監督の『色即ぜねれいしょん』でキャスティングされた理由もそうだと思うが、彼の普通の男の子っぽさというか、上手い役者には演じられない「素」の感じがはまった時は、たまらない芝居をする。
一方で、頑張って演技してるときは、「演じてる感」が強くなってあまりぐっとこない。。。
『くちびるに歌を』で障害を持つ兄を演じるにあたっては、実際に施設などで障碍者の方たちと接して、感覚的なところで、何かつかんだろう。
彼は、演技力を求められる作品よりは、感覚的に物語の空気を掴んでいく作品の方が、真価が発揮できるタイプだと思う。『べしゃり暮らし』の漫才コンビの相方役もよかった。関西弁の地でできたことも大きいと思うが、彼の素の魅力を演出の劇団ひとりもよく見抜いていたと思う。
『Dele』は大好きな連続ドラマだったけど、橋本愛が出演した回にゲストとして少しだけ出演していたけど、これは普通に芝居を求めれたら作品だったから、彼の良さが全く出ていなくて、彼には、もっと素に近い芝居での役をやって欲しいなあ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?