今、「ぴあフィルムフェスティバル」がアツい!! "ぴあフィルムフェスティバル×映画チア部"vol.1
みなさんにとっての「日本映画」とは、何でしょうか??
よくシネコンに足を運ぶ若い人たちであれば、人気マンガの実写版やドラマシリーズの劇場版、はたまた気になる俳優が出演している大作映画を挙げるかもしれませんし、熱心な映画ファンの方なら、黒澤明監督や小津安二郎監督といった巨匠の名前を挙げるかもしれません。
しかし、ここで、そんな皆様には、ぜひ、ぴあフィルムフェスティバル(略称:PFF)の存在を再確認してほしい!
今回は、これまで、約40年以上もの間、日本映画を支えてきた自主映画の祭典・ぴあフィルムフェスティバルについて紹介するとともに、近年、そこから劇場公開が実現した作品と、現在、配信中の作品をご紹介。
ぜひ、この記事を読んで、今のミニシアターを盛り上げる多くのインディーズ映画の魅力に触れてみてください!!
ぴあフィルムフェスティバルとは
ぴあフィルムフェスティバルとは、1977年「第1回ぴあ展〈映像部門〉」からスタートした歴史ある自主映画の祭典。
“映画の新しい才能の発見と育成”をテーマに、これまでプロの映画監督約140名を輩出し、現在の日本映画を支える有名監督の多く*も、ここから誕生。
*歴代の出身監督(敬称略):森田芳光、石井岳龍、犬童一心、中島哲也、黒沢 清、諏訪敦彦、園 子温、成島 出、橋口亮輔、塚本晋也、矢口史靖、中村義洋、佐藤信介、熊切和嘉、李 相日、荻上直子、内田けんじ、石井裕也など。
まさしく、日本映画の登竜門と言える重大イベントです。
特に、近年は、ミニシアターにおける日本映画の上映が増えたこと、撮影機材の技術向上なども関係して、映画祭に選出された作品が数か月後に単独公開されるケースが増加。
現在の日本映画界を語るには避けては通れない、日本を代表する映画祭と言えるのです。
現在公開中の作品
上記の説明でも触れたとおり、近年では、ぴあフィルムフェスティバルに選出後、ミニシアターなどで単独公開される作品が多数。
今回は、現在公開中(もしくは、今後公開予定)の3作品をご紹介します。
『スーパーミキンコリニスタ』
出典:https://eiga.com/movie/93671/photo/
監督:草場尚也
解説:PFFアワード2019でジェムストーン賞とエンタテインメント賞を受賞した作品。映画やテレビ制作に携わる監督が、撮影現場で遭遇したエキストラの方々を参考にして、作り上げたという初長編作品。エキストラ女優として生活する女性の姿を、実際にエキストラの経験を積んできた女優・高山璃子さんを主演に捉えることで、リアルに描き出した一作。
>>現在、ポレポレ東中野にて上映中!!<<
『アボカドの固さ』
出典:https://eiga.com/movie/92760/photo/
監督:城真也
解説: PFFアワード2019でひかりTV賞を受賞した一作。主演を務めた前原瑞樹さんの実体験をもとに制作された「失恋」にまつわる物語。監督は、前作の中編『さようなら、ごくろうさん』でも、ぴあフィルムフェスティバルに入選。初長編となった本作では、PFFのみならず、TAMA NEW WAVE ある視点部門にも入選している。
『おばけ』
出典:https://eiga.com/movie/92749/photo/
監督:中尾広道
解説:PFFアワード2019グランプリ、 第20回 TAMA NEW WAVE 審査員特別賞受賞、2020年7月から、約2か月間、ポレポレ東中野で単独公開もされた一作。『船』、『風船』と過去の短編作品でも、豊かな感性で独特の世界観を紡ぎだしていた監督の初長編作品。お笑い芸人・金属バットが声の出演を果たしているほか、エンディングには、真島昌利(ザ・クロマニヨンズ)さんの楽曲「HAPPY SONG」が起用されている。
>>今秋、シネマ尾道にて上映予定!<<
配信で鑑賞可能な過去作
ここまでは、今年、劇場公開された作品を紹介してきましたが、過去の受賞作品は、配信で鑑賞可能。
ここからは、筆者がオススメする過去作品5作をご紹介。
『散歩する植物』
監督:金子由里奈
解説:PFFアワード2019入選作品。現在、『眠る虫』が絶賛公開中の金子由里奈監督の過去短編。『眠る虫』同様、「植物」や「死」をテーマに描いた独自の世界観。植物になろうとする登場人物たちが迎える、印象的なラストシーンが頭から離れない不思議な作品です。
>>鑑賞はコチラから<<
『オーファンズ・ブルース』
監督:工藤梨穂
解説:PFFアワード2018グランプリ、ひかりTV賞を受賞した作品。まるで、異国で撮影したかのような幻想的な映像と、夢を見ているような曖昧さが残るストーリー。掴もうとすればするほどにすり抜けていく、独特な空気感ゆえに、何度も観たくなるような中毒性を持った作品です。
>>鑑賞はコチラから<<
『からっぽ』
監督:野村奈央
解説:PFFアワード2018でエンタテインメント賞(ホリプロ賞)を受賞、後に各地のミニシアターでも単独上映された一作。監督は、のちに「のむらなお」と改名し、MOOSIC LAB 2019で続く長編第2作『男の優しさは全部下心なんですって』を公開。両作ともに、人間的魅力にあふれた女性主人公が見所で、本作『からっぽ』では、様々なバイトを掛け持ちし、所持品の全てをコンテナのレンタルスペースに預けるぶっ飛んだ主人公の多忙な日々を描いている。
>>鑑賞はコチラから<<
『花に嵐』
監督:岩切一空
PFFアワード2016で、準グランプリ、ジェムストーン賞(日活賞)、日本映画ペンクラブ賞、観客賞(名古屋)、観客賞(福岡)という高評価を収め、各地のミニシアターで単独上映された一作。大学で映画研究部に入部した冴えない青年が、予想外の冒険に巻き込まれてしまう前代未聞のセルフモキュメンタリー映画。ジャンル測定不可能な展開、様々な名作からの影響を感じられる映画的演出の数々、後に齋藤工さんによる実験的オムニバス映画『COMPLY+-ANCE コンプライアンス』でも活躍することになる岩切監督の、未来を切り拓いた記念碑的一作。
>>鑑賞はコチラから<<
『また一緒に寝ようね』
監督:首藤 凜
解説:PFFアワード2016で審査員特別賞、映画ファン賞(ぴあ映画生活賞)、観客賞(神戸)を受賞した中編作品。監督の首藤凜さんは、翌年、初長編作品『なっちゃんはまだ新宿』を制作し、見事、ミニシアターでの単独上映を果たす。本作には『なっちゃん……』を彷彿させる部分も多く、「虚構の存在への渇望」、「現実と理想のギャップ」というテーマは、その原点とも言えます。
>>鑑賞はコチラから<<
以上、今年公開された作品と、配信で鑑賞可能なオススメ作品、全8作品をご紹介しました!!
現在のミニシアターを盛り上げる自主映画の祭典・ぴあフィルムフェスティバル。
その作品の数々には、今後の日本映画を支える豊かな才能が満ち溢れてると言えるのです。
そんな、ぴあフィルムフェスティバルでは、現在、今年の入選作品全17作品を期間限定オンライン配信中!※10月31日まで
この中から、今後、劇場公開が実現される作品もあると考えると、これは、貴重なチャンス!!
というわけで、次回からは、今年の入選作品全17作品について、すでに鑑賞した映画チア部によるコメントと共に、ご紹介!!
こちらも、併せて、お楽しみください!!
参考
PFFの詳細はコチラ
過去作や今年の受賞作品はコチラから鑑賞可能
今年の受賞作品はコチラからも鑑賞可能
※auスマートパスプレミアム会員は見放題鑑賞可能
執筆:映画チア部 神戸本部 大矢 哲紀
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