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愛情、友情、強情

ドラマ「私たちのブルース」

映像業界に長くいる人たちは、昔の日本のドラマは今よりもずっとよかったと言います。昔とは、1980年代くらいまでの、向田邦子さんや山田太一さんが活躍されていた時代を指すのだと思います。
「私たちのブルース」は現代の韓国・済州を舞台としていますが、スマホが小物になければ「これって、20世紀?」と錯覚してしまうドラマでした。「誰がパンツを何枚持っているかまで知っている」というセリフが村での人間関係の在りようを表しています。

登場人物は高校の同窓で、おそらく50歳前ですが今もつながっていて、街中で毎日、顔を合わせては喧嘩したり、心配したり、協力したり。そこに、親や子ども、同僚、本土から移り住んだ新参者や帰省者が加わって、オムニバス形式で進んでいきます。
第1話がかなり笑えるコメディーなので、ずっとコメディータッチで進むかと思いきや、長い付き合いゆえの愛憎心理を描ききった人間ドラマでした。

このドラマでは、いま日本がわざとらしく汎用しようとしている「多様性」が、ごく当然に描かれています。ダウン症、うつ病、耳の不自由な人が、特別に扱われるのではなくて、家族や友だち、同僚として隣にいる。それは当然なことのはずですが、映像作品において、まだなかなか見られません。
日本では、たとえば、交通事故のシーンがあると車メーカーがスポンサーにつかないから描かないようにと企画の時点で指示が入ったりします。各方面への配慮も大切かもしれませんが、韓国では、ドラマを描くことを最優先に、制作現場が動いていているように感じます。

1話が1時間強、全20話ありますが、見始めたら、あっという間でした。
イ・ジョンウンさん演じるウニに初恋を超える恋はやってくるの?
ハン・ジミンちゃん演じるヨンオクと船長の新婚生活はどんなもの?
高校生カップルのその後は? 家は買ってもらえるの?
船長の弟のコーヒー売りの女性への恋心はどうなるの?
描いてほしい続きがたくさんあって、続編に期待します。

韓国のドラマでは食事のシーンが多く、俳優さんは食べる演技が上手いです。インスタントラーメンをゆがくシーンがあると、こちらも食べたくなってしまいます。「私たちのブルース」でも、味噌チゲやジャージャー麺、腸詰など、食べ物が重要なキーワードになっていました。
見出し画像はたまに食べにいく赤坂のソルロンタン
おいしいうえに、わたしのような長年放置された乾燥肌でも、食べたあと数日間はすべすべにしてくれます。