映画『ソウルの春』、韓国現代史の闇を切り裂くポリティカルサスペンスの傑作登場
韓国からポリティカルサスペンス映画が届けられました。
タイトルは『ソウルの春』。
主演はファン・ジョンミンとチョウ・ウソン。
監督はキム・ソンス監督。
現在、日本でも公開中です。
これが傑作でしたので、ぜひ多くの方に観ていただきたいとの思いで、ご紹介します。
本作『ソウルの春』は、史実に基づきフィクションとして描いた、と冒頭に説明テロップが出ますが、かなり現実の事件に基づいているはずです。
舞台となっている時代は1979年、わたしが生まれた年です。この年、韓国ではひとりの大統領が暗殺されました。
パク・チョンヒという人で、民主化運動を大々的に弾圧して「独裁者」と評された大統領です。
この人が死んで、やっと「ソウルの春」がきたかと国民が思ったら、残念ながら違った、というのが本作『ソウルの春』で描かれる物語です。
アイロニカルなタイトルですね。
わたしは韓国現代史を少しかじった程度の知識しかありませんが(韓国ロケをした映画『聖地X』を撮った時に勉強しました)、本作が描く歴史を順番に見ていきましょう。
本作で名優ファン・ジョンミンが演じるのが、実在の「チョン・ドゥファン」という軍人。
(映画ではチョン・ドゥ「グァ」ンと名前をわずかに変えています)。
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