◯新文芸坐 「追悼・田中邦衛 優しさとユーモアと」
ご無沙汰しています。
田中邦衛さんの追悼特集上映をやっていたので観に行ってきましたが、
ほぼ「テンション高めの菅原文太が大暴れまつり」でした…笑
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1、『人斬り与太 狂犬三兄弟』(1972)
本篇:https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B07JJMSDC7/ref=atv_dp_share_cu_r
監督・深作欣二、主演・菅原文太。
邦衛さんは文太さんの弟分という設定で、『仁義なき戦い』シリーズのプロトタイプ的ヤクザ映画。東映のヤクザモノ、道徳の「ど」の字もありはしません。
開幕10秒、対立する組の幹部を殺ろうと、グラサンかけて金物屋で凶器となる包丁を物色する文太・邦衛コンビ。見るっからにワルそうで、もうここでおもしろい。
『仁義なき〜』に比べテンション高めな文太さん。
こういうのを痛快というのでしょう。
兄貴思いで情に厚い邦衛さん。同時に、相談者をユスって50万巻き上げるワルイ邦衛さん。この二面性を演じるのは、なかなか難しそうです。
そしてもう一人、これまた名脇役の三谷昇。
ヘビなんか持って、妖怪蛇骨婆のような出で立ちです。
映画全体を貫通するアングラ性。たまりません。
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2、『トラック野郎 爆走一番星』(1975)
本篇:https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00RDTJ1HY/ref=atv_dp_share_cu_r
監督・鈴木則文。主人公はこれまた菅原文太演じる星桃次郎。ただしこちらは寅さんみたいな性格です。+、元警官にして現・桃次郎の相棒・ジョナサン(愛川欽也)。そしてジョナサンに昔パクられた恨みを持ち、リベンジを申し込むボルサリーノ2。邦衛さんは、このボルサリーノ2を演じています。
こちらの邦衛さんは超クール!超かっこいい!でも現実にいたら超ダサい!
「浪花節は性に合わねえ・・・」と捨て台詞。
ラストはピンチの桃次郎の近くに、なぜか都合よく待機していて共闘。
カッコよさをギュッと固めた邦衛さんを拝めました。
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3、『浪人街 RONINGAI』(1990)
本篇:https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00FCBBS0I/ref=atv_dp_share_cu_r
監督・黒木和雄、主演・原田芳雄、共演に石橋蓮司や外羽山文明と、
スケールアップした『竜馬暗殺』(1974年)といった塩梅。
(所謂セックスワークの人々が役人から無下に扱われるあたり、昨今の世情と重なりますね…)
邦衛さんは食い詰めた武士・孫八郎役で、
妹のおぶん(杉田かおる)に対する不甲斐なさ、
そして発奮して荒牧源内(原田芳雄)に加勢するその変化を見事に表現しています。
勝新太郎は喋り方が独特すぎて何いってるか半分くらいしか分かりません笑
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4、『ダイナマイトどんどん』(1978)
本篇:https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B015AMGQ28/ref=atv_dp_share_cu_r
監督・岡本喜八。
製作は大映で配給が東映、東宝出身の岡本を起用するという変則的な背景を持ち、大映的な品の良さ×東映的なダイナミズム×喜八節と、色んな味がします。
邦衛さんは、凄腕の元プロ野球選手・芦刈の作蔵という配役で、
野球は素人の主人公・遠賀川の加助(文太さん)の前に立ちはだかります。
出番もセリフも少ないですが、作蔵を挑発する仕草は名演です。
ほかに仁義を切る岸田森(!)や、科特隊のイデ隊員こと二瓶正也さんの姿も拝めます。
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とかく、お題目や夢や希望や愛やエモやレガシーでお茶を濁す作品に飽きたら、このあたりの作品群から元気をもらえます。オススメです。