アスリートのための感覚統合トレーニング
感覚とはなんだろう?
スポーツのあらゆるシーンで「感覚」と言う言葉が使われている。
「あの選手は感覚でプレーしている」とか、「感覚的に優れている」等はよく耳にする事があるし、「あの選手は勘が良い」や、「当て勘」等の言葉も実際は「勘」ではなく「感」という意味合いで使っているのではないかと思う。
トレーナーやストレングスコーチも、「感覚の部分は分からない」とか、「選手の感覚には踏み込めない」等の会話を交わす事がある。これだけ馴染み深い言葉であるにも関わらず、私達は実際に「感覚」という言葉の意味を明確には掴んでいないのではないだろう。
言葉では説明できない部分を全て「感覚」という言葉に押し込めて不可侵なものにして、挙上重量や関節可動域等のメジャラブルな部分にばかり人間のトレーナビリティを見出すと、「関節可動域が拡大して、筋力が増加すればスポーツパフォーマンスは向上する。」といった要素還元的な思考に陥ってしまうだろう。
動作における「感覚」とは、①嗅覚、②味覚、③触覚、④聴覚、⑤視覚の5つで構成される「五感」と、身体の揺れや回転、地球の重力を感知する「平衡感覚」、筋肉や関節に存在する感覚器によって姿勢や空間における位置を知覚する「固有覚」の7つの感覚に心理状況や記憶等が統合されて発現するものだと考えられる。
特にダイナミックな身体運動においては触覚と視覚、そして平衡感覚と固有覚の統合が重要になる。
中でも触覚は見落とされる事が多い感覚だが、触覚情報の適切な入力が固有覚の適切な働きの土台となるため、円滑な運動遂行には不可欠となる。
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