日本は「放置』国家?―その4-劣悪な日本の入管制度
2021年3月、スリランカからの留学生、ウィシュマ・サンダマリさんが名古屋の入管施設で亡くなりました。とても痛ましいことです。体調が悪かったにもかかわらず医師に診てもらえず、放置されたあげくに亡くなったのです。
そもそも日本の入管行政には重大な問題があります。
2007年以降、全国の入管施設で、少なくとも16人もの方が収容中に亡くなっています。
2019年6月には、長崎県の大村入国管理センターで、ナイジェリア国籍の40代男性がハンガーストライキの末に餓死しました。
この男性は、一時的に拘束を解かれる仮放免を4回申請しましたが却下され、収容期間はなんと3年7ヵ月に及んでいました。
このように2~3年にわたり長期間収容される外国人は後を絶たず、その抗議のためにハンガーストライキが行われています。
私たちが、犯罪を疑われて逮捕、勾留など身体拘束される場合は必ず裁判所の許可が必要です。そしてその後は裁判を受ける権利を認められ、有罪判決となっても刑期は明確に決められています。
ところが、入管の収容期間については明確な規定もなく、収容所の裁量にまかされています。
そのため収容者は、いつ出られるのかわからない状態なのです。
そして、国外に強制送還もせず仮放免もせず延々と収容しているのです。
また医療体制においても問題があります。
2014年11月にはスリランカ国籍の50代男性が急性心筋梗塞で死亡。
2017年3月には頭痛などを訴えていたベトナム国籍の40代男性がくも膜下出血で死亡。
いずれも十分な治療を受けられず亡くなりました。
入管施設には常勤の医師はおらず、外部の医療機関との連携もないのです。
法務省には収容者の医療費をまかなう予算も少なく、収容者は医者に診てもらうことが難しいと思われます。
ウィシュマさんの遺族が開示を請求した名古屋入管の行政文書は、ほとんど黒塗り状態でした。入管行政の中身はまったくのブラックボックスです。
日本の子どもたちに英語を教えたいと希望にあふれて日本に来たウィシュマさん。そんな彼女を、日本の国は死なせてしまった。
この日本は法治国家と言えるのでしょうか?
自由で平和な国と言えるのでしょうか?
人権を尊重している国と言えるのでしょうか?
執筆者、ゆこりん