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PFASとはどのような物質か?⑤米軍基地とPFAS汚染―調査を阻む日米地位協定の壁
PFASはなんと米軍基地周辺でも検出されています。😡
市街地の真ん中にある米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の近くの畑では、県の調査で環境省の暫定目標値を上回るPFASが継続して検出されています。
沖縄県で問題が表面化したのは、県が米軍嘉手納基地周辺の河川や浄水場の調査結果を公表した2016年1月。
代表的物質のPFOSは、約44万人に水を供給する北谷浄水場から1リットルあたり最大80ナノグラム、嘉手納基地内を通る河川では最大1300ナノグラムを検出しています。
県は16年以降、汚染源を調査するため、複数の米軍基地への立ち入り調査を計6件申請してきました。
20年に普天間飛行場からPFASを含む泡消火剤がドラム缶700本分以上(14万リットル超)住宅街に漏れたケースなど2件は米軍が自ら「事故」と認め、立ち入り調査が認められました。
残る4件は日米地位協定によって基地の管理権をもつ米側が応じていません。
今年度までの8年間、県がPFASに汚染された水質の分析や原因物質を吸着する活性炭の取り替えなどに要した予算は計32億円。
県は今後10年間で80億円以上のPFAS対策費が必要とみています。
沖縄県の水道料は値上げが予定されていますが値上げ分にはPFAS対策費が含まれています。玉城沖縄県知事は、基地が原因のPFAS汚染への対策費は施設提供者である国が負担すべきと主張し、基地内への立ち入り調査の実現なども求めています。
沖縄以外でも米軍基地周辺のPFAS汚染は広がっています。
米軍は昨年7月、10年から12年に3回、東京都の横田基地でPFAS漏出事案があったと明らかにしています。
保管容器やドラム缶から漏れましたが漏出量などの詳細を明らかにしていません。
神奈川県の横須賀基地では22年6月、排水からPFASが検出され、在日米海軍司令官が横須賀市長に謝罪しました。
厚木基地でも22年9月、PFASを含む泡消火薬剤が基地内を流れる川に流出しました。
米軍基地が汚染源であるとみる市民団体は住民の血液検査を進めています。
22年に沖縄県内の基地周辺住民ら387人を検査すると、国が調査した全国平均の最大3倍の値がでました。
地下水の上流域に横田基地がある多摩地区でも調査し、昨年9月までの検査で全国平均の2倍を超えていました。
基地周辺の汚染は米国内でも深刻な問題になっています。
ハワイ州ホノルル市の米海軍レッドヒル地下燃料貯蔵施設では2022年11月PFASを含む濃縮消火剤約4900リットルが流出しました。
施設の真下には周辺住民の水源があります。
施設ではこの1年前にも7万リットル超のジェット燃料が漏れ、9万3千人分の飲料水を汚染しました。
そのため米国防総省は24年までに燃料の撤去を終え、27年までに施設を閉鎖する計画を決めました。
基地周辺の汚染が深刻になっている原因は、軍が長年、速やかな火災鎮火に有効なPFASを含む泡消火剤を使ってきたためです。
米国防総省によると、24年3月時点で717の米軍施設の敷地でPFASが使われたり放出されたりした可能性があります。
各地の基地周辺でも多くの訴訟が起きています。
米環境保護局(EPA)は昨年3月、初めて飲み水の規制値案を発表しました。
代表的な物質PFOSとPFOAの合計で、1リットルあたり70ナノグラムだった規制値を各4ナノグラムと大幅に厳格化しました。
採用されればモニタリングが義務づけられます。
規制値を超えた場合は汚染の低減策をとらなければなりません。
PFASなどの環境汚染対策に米政府は5年間で90億ドル(1兆3千億円超)の予算を投じる方針です。
飲料水に含まれるPFASや他の汚染物質を減らす地域を支援するほか、PFASが人体に取り込まれた量を調べる血中濃度検査や家畜や魚、野菜などの測定も部分的に始めています。
国防総省報道官は
「PFASを含む泡消火剤の代替品の開発など多くの対策に取り組んでいる。軍人や家族、議会、軍事施設周辺の住民らと透明で開かれた対話を続ける」
と述べていて、国防総省は土壌中のPFASが多く含まれる部分を除去したり、汚染された地下水を抜き取ったりしています。
日本の政府関係者によると、ドイツの米軍基地では米軍負担でPFAS汚染の調査を実施し、浄化作業も実施しています。
ベルギーや韓国などの米軍基地でも米軍はPFASを確認し、水質検査などの対応をしています。
日本の米軍基地でも水質調査すべきでは?
米国本土並みの対応を米軍に要求すべきではないでしょうか?!
参考資料
朝日新聞
執筆者、ゆこりん