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「憎しみを愛に。敵意を友情に。戦争を平和にかえて」イスラエル、徴兵を拒否する若者たち!

みなさんおつかれさまです。

ついに一段と寒くなりましたが、パレスティナでは相変わらず戦闘が続いています。


パレスチナへの虐殺を止めないイスラエルは国民皆兵で徴兵制があり、高校卒業後に男性は3年間、女性は2年間兵役に就きます。退役後も45歳まで予備役が続きます。


しかし、イスラエルにも兵役を拒否する若者がいます。良心的兵役拒否をする人々です。
徴兵を拒否することを決心した女性を描いたドキュメンタリーを紹介したいです!


「兵役拒否(Objector)」イスラエル(2019年)


エルサレムに住む女子高生アタルヤは徴兵を6ヶ月後にひかえています。
家族全員が軍務を経験していて母親も将校だったという軍人一家に育ったアタルヤですが、徴兵を拒否するかどうか迷っています。
長らく軍人だった祖父は、軍事力で防御するのは当然で徴兵拒否など臆病者のすることだといい、母は社会経験になると入隊を勧めます。

兵役拒否を考えたきっかけは兄からもあります。
兄のアミタイは繊細な性格で、精神衛生面で不安を理由にされ、軍務を免除されました。
そのことで家族が世間から白い目で見られ、社会的に恥ずかしいことだといいますが、既存の男らしさに苦しめられていた兄にとっては免除を申し出たことを後悔していないといいます。

アタルヤはパレスティナの住民の生活の様子を知るためにヨルダン川西岸のパレスティナ自治区に出かけていき、パレスティナの人々とも交流します。

「占領行為に反対なので徴兵を拒否する」
兵役拒否者の若者の集会にも参加します。

父親は占領行為を止めたいのなら軍隊に行くことだと言います。
軍隊を内側から理解することが大事だというのです。


そして徴兵当日。その日入隊予定の人と一緒に陸軍基地に行きますが、アタルヤは兵役を拒否し、軍事刑務所に移送されます。

良心的兵役拒否者と認められ解放されるためには軍の良心委員会の審査を受けなければなりません。
アタルヤは良心委員会の聴聞を受けます。
なぜ兵役を拒否したか聞かれアタルヤは答えます

「私は人々が平等であることを心から信じています。
ある民族が他を支配することは人種差別であり残酷で搾取的な行為であると考えています。
そういう誤った行為には加担したくありません。」
委員会はアタルヤを良心的兵役拒否者とは認めませんでしたが、「態度の悪さ」を理由に兵役には不適当だと判断されました。
アタルヤは110日間の拘留を経て釈放されます。

釈放後、アタルヤはボランティア活動をしながらイスラエルによる軍事占領に反対して兵役拒否する若者を支援する活動を始めます。


イスラエルで良心的兵役拒否が少しずつ広がっているようです。
パレスティナの地を占領している行為に疑問をもつ若者や市民が増えているようです。
実際アルタヤの母も、兵役拒否も認めるようになり、イスラエルの軍事行動を批判的に考えるようになります。


映画の中のアタルヤたちはイスラエルによって拘束されたパレスティナの17歳の女性の釈放を求める声を上げ始めます。
イスラエルの若者とパレスティナの若者が自由と平和と平等を求めて連帯することができれば未来の社会は大きく変わる可能性があります。

ユダヤ人とパレスティナ人が共生するイスラエル国家を作ることも夢ではなくなるでしょう。

ささやかな抵抗が共感を生みやがて社会の変革につながっていくことを予感させるようなドキュメンタリー映画でした。


イスラエルにも政府を批判している市民、軍事力に逆らっている市民はいるのです!


執筆者、ゆこりん

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