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映画「ありふれた教室」学校で一体何が起こっている?教育現場のリアル

現在、全国で公開中のドイツ映画、「ありふれた教室」を観てきました。
学校内でおこるある事件をきっかけに教師と教師、教師と生徒、教師と保護者の間に生まれる緊張関係を描いた作品です。



Story

ドイツのある中学校に赴任してきたポーランド系ドイツ人のカーラ・ノヴァクは、仕事熱心で責任感も強く生徒からも好かれています。担任を受け持っている1年生のクラスは学力レベルも人種的なルーツも多様です。

この学校の悩みは窃盗事件が多発していることです。
校長は「不寛容方式」を採用していると何度も主張しますが、これは校則や法律などに対するいかなる違反も許さないで徹底的に調査するという方針のことです。
そのため窃盗に対する調査も厳しく行われ、カーラのクラスは授業中に抜き打ち検査をされます。
その結果移民の生徒が疑われます。
両親を呼んで事情聴取した結果嫌疑は晴れますが、疑われた生徒や親は学校やカーラに対する不信感を募らせます。

校長のやり方に反発を覚えるカーラは独自に犯人を捜そうとします。
カメラを仕掛けて自分の上着から財布の金を抜き取る犯人を盗撮することに成功します。そこに映っていたのはベテランの事務員クーンでした。
しかも彼女の息子オスカーは彼女のクラスで最も成績優秀な生徒でした。
カーラは直接クーンに疑惑をぶつけますが、クーンは犯行を強く否定し学校に来なくなってしまいます。

カーラは対応のまずさを校長に指摘され、同僚の教師からは動画を勝手に撮影したことが「人格権の侵害にあたる」と言われます。

さらに、クラスの保護者会でも盗難事件に対する学校の対応への批判が噴出。
そこへオスカーの母親としてクーンがあらわれ、自分を疑ったカーラを激しく非難します。
母親の無実を信じるオスカーは、クラスメートに働きかけて授業をボイコットします。
何とか生徒との信頼関係を回復しようと奮闘するカーラですが、うわさはさらに学校新聞を通じて全校に広まってしまいます。
状況はますます悪化し、カーラは孤立無援の窮地に追い詰められていくのです・・・



校内の窃盗事件の犯人捜しで教師や学校への不信が高まるのは日本でもよくあることです。
学校内の事件では、警察にも相談できず結局うやむやに終わるというのが通常でしょう。
その結果疑われた生徒にはいやな思い出として心の傷だけが残ってしまいます。



この映画には教室、職員室、運動場など学校の中の出来事しかでてきません。
日本と違うドイツの学校の様子がよくわかります。

ドイツには「議論文化」というのがあるようで授業でも生徒が積極的に意見を述べあいます。一方的に先生が教えるというスタイルではありません。


また、ジャーナリズムが大切にされていて、映画でも学校新聞が重要な役割を占めています。
驚いたことに、学校新聞では生徒たちが堂々と教師や学校を批判しています。
それを堂々と公式に学校内で配ります。

事前に学校が内容をチェックすることもなく発行されるのです。
常に学校の許可の必要な日本とは大違いです。


また、生徒の自主性が重んじられているようです。
映画の後半で、暴力事件を起こしたオスカーの処分が話し合われるのですが、その会議に教師だけでなくオスカーのクラスの生徒が加わっていたのにも驚きました。
常に子どもの権利としての意見表明権が保障されているようです。

このように日本より民主主義が大切にされているドイツですが、学校で起こる事件は日本と変わりなく、教師が生徒や保護者の信頼を勝ち取ることの難しさは同じようです。

教師のなり手が少ないのも共通のようで教師という仕事の大変さは洋の東西を問わないということのようです。



参考資料
映画公式パンフレット



執筆者、ゆこりん

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