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PFAS汚染に関して。
PFAS汚染のニュースについて新しい動きがありました。
米軍横田基地(東京都福生市など)から、有機フッ素化合物(総称PFAS)を含む水が敷地外に漏出した疑いがある問題で、国(防衛省、外務省、環境省)や東京都、基地の周辺6市町村(福生市、立川市、昭島市、武蔵村山市、羽村市、瑞穂町)が12月20日同基地への立ち入り調査を実施しました。
防衛省によると、漏出があったとされる消火訓練エリア周辺を調べ、米軍側から説明を受けました。
国側は今後、日米地位協定の環境補足協定に基づき、同エリアにある貯水池の水の調査を検討します。
防衛省は、10月に米軍から「8月30日の豪雨で、横田基地の消火訓練エリアからPFASを含む約4万8千リットルの水がアスファルトにあふれ、雨水排水溝を通って敷地外に出た可能性型が高い」と連絡を受けていました。
健康への影響が懸念される有機フッ素化合物(総称PFAS)について、環境省と国土交通省は12月24日、社宅や療養所などで使う自家用の小規模な「専用水道」についての全国調査を公表しました。
約8000の専用水道のうち回答があった1929件のうち、対象とした2020年4月以降の約4年半に国の「暫定目標値」を超えたのは自衛隊の施設など10都府県42件でした。(対象期間後にも2件の超過報告があり計11都府県44件)
※国の暫定目標値はPFOSとPFOAという代表的なPFASの合計で1リットルあたり50ナノグラム(ナノは10億分の1)
国の暫定目標値を上回るPFASが検出された国設専用水道
陸上自衛隊東立川駐屯地 343ng/ℓ
陸上自衛隊小平駐屯地 200ng/ℓ
航空自衛隊府中基地 245ng/ℓ
府中刑務所 204ng/ℓ
航空自衛隊岐阜基地 86ng/ℓ
航空自衛隊芦屋基地 1500ng/ℓ(国の暫定目標値の30倍の濃度)
基地の周辺で高濃度のPFASが検出されています。
米軍は2023年7月、10年から12年に3回、横田基地でPFAS漏出事案があったと明らかにしています。
保管容器やドラム缶から漏れましたが漏出量などの詳細も明らかにしていません。
神奈川県の横須賀基地では22年6月、排水からPFASが検出され在日米海軍司令官が横須賀市長に謝罪しました。
厚木基地でも22年9月、PFASを含む泡消火薬剤が基地内を流れる川に流出しました。
沖縄の米軍基地周辺でも汚染が確認されていますが立ち入り調査は認められていません。
このような全国的なPFAS汚染の広がりを受けて、環境省は規制を強化し、現在の管理の目安「暫定目標値」を水道法上の「水質基準」に引き上げる方針を固めました。
2026年4月からの実施を目指します。
「水質基準」に引き上げられると自治体などには水質検査の実施や、基準を超えた場合の対応が義務づけられます。
これまでは検査を実施していない水道事業者がかなりあり、上水道の約14%にあたる178,簡易水道の約50%にあたる1185の事業がこれまでに検査を実施していませんでした。
専用水道については2割強でしか検査実施を確認できませんでした。
アメリカでは昨年4月にPFOSとPFOAの規制値がそれぞれ1リットルあたり4ナノグラムに強化されました。
日本も「水質基準」に格上げするのなら「基準値」も厳しくするべきでしょう。
参考文献
朝日新聞
執筆者、ゆこりん