ルヴァン杯#3 アルビレックス新潟×柏レイソル 『その船は沈むのか?』
見事に快勝、ルヴァンカップ2連勝。そして首位浮上。そんな快勝劇を簡単に振り返る。19戦未勝利となった柏だが、そんな彼等側からの視点も織り交ぜながら。
やりたい放題 明日の事なんか気にしない!
今回は図少なめ。柏は4-4-2で人と人の間を狭めて新潟の使いたいエリアを消す守り方。のはずが、組織で連動するのではなく個々の判断で動く(ように見えた)のでボールに行く選手をカバーする意識が希薄でスペースが生まれ放題。例えば熊澤-椎橋の両CHが自分の脇にいる選手の対応にそれぞれ回るので、彼らの間が空いてCFシマブクが降りて引き出すなど。
先制点でもハーフスペースへの対応がはっきりしておらず、人と人の間でパスを受けた小見に割られてあっさりと松田へラストパスを通されてしまった。間を狭めたり予め見る相手を決めるべきだとは思ったが、そもそもファーストプレスがハマってなかった。
柏は2CBには2トップが背中を消すようにアプローチ、2トップが限定した方向にSHが詰めていく…という形を(山田康太は)描いていたように見えた。が、そのSHの周辺に新潟ボランチ・SBがいて出ていきづらい。何故なら自分が出ていくことでそのエリアが空いてしまうから。空いたところを突いてボールを運べるのが新潟なので、わざわざ得意な事をさせる訳にはいかない。
柏は『味方の斜め後ろにカバーする選手がいる』というゾーンの原則がなされていないように見えた。もしSHが出ていってもCHが連続してカバーに行けるならそれで良い、ただそうじゃないので出ていく事で相手にスペースを与えてしまう。そういう攻防もあって再三山田康太に「来いよ!」と促されていたSH落合はプレスに行けなかったと推測する。
んで1stプレスがハマらず、ボールが出た先ではボランチやCBは人を守るしかない。けど、その分自分のエリアを空けてしまう。それをカバーする選手がいない。そんなこんなでシマブクや小見,吉田陣平はやりたい放題。早々と2点目をGET。
ちょっと変えてきた。けど…
前半途中からネルシーニョが椎橋に個別に指示を出すなど少し変えてきた。2トップを縦関係にして、CBに対して持たせるけど片側に寄せるように限定→そのサイドしか無いので明確となる出所にCH・SHがアタックできるようにしてきた。
でも新潟はGK阿部を使ってやり直せるので片側に詰まったら逆サイドへ展開できる。相手の出方に応じながらビルドアップを選択できるのだ。その中で、⬇のように、山田康太周辺でボランチが数的有利を作ったら相手CHが人を当てるように出てくる。しかし、柏は動いた分のスペースを埋めるような事がないためにライン間で人が浮く。ここに顔を出せるのがシマブクだった。
上記のようにシマブクはMVPの輝き。出し手が準備できたら空いた所に顔を出してボールを引き出せるので、ボール運びがスムーズに。チームの前進に寄与出来る上に、ストライカーのようなオフザボールで背後を突く→シュートまで繋げるなど得点の匂いも感じさせた。凄く良かった、次も見たい選手の一人だ。
柏としては少しプレスを修正してもフットボールの基本的な守り方にクエスチョンマークが付いてしまうので、根本は変わらずに新潟は基本ボールを持ちながら容易に前進してシュートシーンまで繋げていった。前半で3-0にするべきゲームだった。
後半はまさかの4枚替え。祥郎含めてフロート・仙頭・マテウスサヴィオを投入。個々が強化された事で圧力も強まりいくつかチャンスシーンが増えたけど、方法論は変わらず。
2トップが2CBにハイにプレッシャーを仕掛けるも、GK阿部を使って2トップの間にいる秋山.星からボールを進めたり、柏CHがそこについて来れば、彼らが空けたスペースに陣平やシマブクが顔を出して引き出して前進。要は前半と特に代わり映えは無かった(ように思える)。
その後は特に何も起きず、新潟CHが疲れてきてスライドが遅れた所からピンチに…なんてのもあったり、逆に柏の隙をついてチャンスシーンを作り出したりと淡々と試合を進めて2-0。見事に快勝劇を演じた。シマブクはもちろん、泰基も阿部も好パフォーマンスを示すなどチーム全体の底上げを示す一戦となった。次の人選が楽しみである。
ネルシーニョについて
正直やってるサッカーはポジティブな点を見つけるのが難しく、ビハインドにも関わらず選手達は淡々と試合をこなすなど全く覇気が感じられなかった柏。試合後のアレコレを見てもそこにネルシーニョ監督が大きく絡んでいるのは一目瞭然である。
正直もう潮時だよな…と強く思うけど、かつての名将かつチームをタイトル.黄金期に導いたレジェンドの最後(?)がこんな互いに不幸な形で終わるのは他所から見ていても良い気分では無い。新潟とも数々の熱線を繰り広げてきたネルシーニョ、果たしてその船を沈めたまま終わるのか、持ち直して次に繋ぐのか。彼のプライドには陰ながら注目していきたい。