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『まだ前半18分』2024 ルヴァン杯8強 1stレグ アルビレックス新潟×FC町田ゼルビア

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スタメン

町田は代表活動で空いたポジションには現状の控え選手を当て嵌めつつ、初期配置から3バックシステムを組む形で臨んできました。これは対新潟仕様というか、前節浦和戦の後半から3バックに変化したことにより状況が好転したそうで、そうした良い状態の継続性を意識した形なのかなと思います。

一方の新潟は代表活動で離脱中のトーマス、負傷中の小見,松田を除けば殆どベストメンバーに近い布陣。五輪による中断明けのリーグ戦では18人のメンバー枠を殆ど固定、その中でスタメンとリザーブを入れ替えていく起用法に落ち着いているので、ベンチ枠が拡大したルヴァンカップでもこれといったサプライズは無かったのかなと思います。そして今夏に徳島から加わった橋本健人が満を持してビッグスワンデビュー。改めて新潟へようこそ。

そういえば久々に公式HPの試合ページを覗いたら視認性も情報量も格段にアップしてました。スタメンの欄はこのスクショを撮って載せるだけで完成しそう。一応共有しておきます。


戦前


元々aikoや宇多田ヒカル,氷室京介などを好んでいることもありますが、焼肉屋を訪れたら『ラブリー(小沢健二)』が流れていたり、CHAGE and ASKAがサブスクリプションを開始したりと、一昔前の曲に対する個人的ブームが最近また再燃しています。

別にアーティスト産業を評論,考察できるほどの知識を持ち合わせている訳ではありませんが、彼らに共通するのはそれぞれの「色」を備えている面だと思っています。当然現代の歌手にもそういった特色はきっとあることでしょう。ただ個人的には一昔前の歌手の方により強い色を感じますし、実際そのように感情に訴えるような名曲が世の中に数多く輩出されています。

歌手の色が明確だと、それに伴って聴く側が彼らに期待する価値もくっきりと形を表します。例えば気分を上げて会社に向かう足を少しでもモチベートしたいなら『NO.NEW YORK(氷室京介)』を頭に流し込んだり、物思いに耽る夜を過ごしたいなら『Stay Gold(宇多田ヒカル)』を家に染み込ませたり。どんな曲なのかを知っているからこそ、用途に応じてプレイリストから迷いなく一つを選ぶことができる訳ですね。

そして、コンテンツが内包する特徴的な価値に期待してお客さんがそれを体感するという流れはサッカーにも共通する物があります。特に該当チーム以外のサポーターすらもその特徴を捉えて言語化できる位に明確な強みを持つのがアルビレックス新潟とFC町田ゼルビアというチームです。

前回対戦となるビッグスワンのリーグ戦では基本的にホームチームが得意なボール保持で試合を支配しながら、こちらも得意のセットプレーを軸にワンチャンスを窺うアウェイチームという互いに期待された色を示しあう90分間が繰り広げられました。結果としてはスコアレスドロー。捉え方によっては昇格組のアウェイチームが貴重な勝ち点1を手に入れた、町田にとってポジティブに映るゲームだったと言えるでしょう。

ただ、勝ち点3の可能性を殆ど見出せないような一方的な展開を強いられた内容面を振り返ると、現在進行形で首位争いを繰り広げる町田にとって目標達成に向けて大きく課題が残る試合だったとも評価できます。方法論,精神論共に勝負に拘りを見せる黒田監督のチームが8月25日に対してどちら側に捉えたのか、敢えてここで言うまでもないでしょう。

そんな先々週を経て、今回は代表ウィークで主力を5人も欠くという「普段通り」が出しづらい状況もあったのか、ルヴァン杯ラウンド4進出を目指す為に町田は打って変わって積極的に新潟から時間を奪いに行く狙いがありました。

--退場者を出すまでは、リーグ前節・浦和戦の後半のような可変する形で臨んだように見えました。その意図を聞かせてください。

(黒田監督)
強気でいきたかったですし、リスクはあるかもしれませんが、今回の試合の反省をもとに、次のホームゲームでも手を打てるだろうと整理して試合に入りました。普段とは違う形でしたが、その中でディフェンスラインで連係の乱れがありましたし、もう少し時間が経てば、ハメられる展開を作れたかもしれません。

オレンジブルーのお家芸となるボール保持に対して、デフォルトよりも若干の前傾姿勢で主導権を奪いにきた町田。その力学を如何に自分達の戦略性に作用できるかどうか、改めて新潟の対応力も問われてくるルヴァン杯プライムラウンドが開幕しました。

前半

スタメンでも取り上げた通り、町田は3バック・3-4-1-2/3-1-4-2をベースとした布陣を敷いてきました。2つのパターンを記した理由ですが、町田の前線3枚+1が新潟の2CB+2CHの立ち位置によって対応を変えてくるところに起因しています。

基本的に稲村-舞行龍には桑山とエリキ、アンカーを務める秋山には藤尾がアンカー番として徹底マーク。ここに宮本が加わるなら「(ビルドアップに関係する奴は)誰もフリーにさせんわい!」と言わんばかりにCHの片割れがスライドして対応してきます。こうして中央の出所を抑えつつ、サイドに球を誘導したらナサンホ-鈴木のWBがスライドして圧をかけに出ていける仕組みを用意してきました。

町田の狙い@非保持

町田は2020~21,22年までそれぞれ在籍していた栗本,赤野氏をトップチームスタッフに引き入れていることもあり、新潟目線でこうされると嫌だなという非保持の対応を理解していたのかもしれません。思い返すと今季も8月のホーム京都戦では自分達のビルドアップに人基準で激しく来る相手に対して、半ば不本意にボールを捨てるゲームプランを強いられたことがありました。実際に今日に関しても開始数分はリスク回避で長いボールを選択するシーンが目立ちます。ただ、今回の新潟は屈するだけではなくしっかりと解を示して見せました。

6月のアウェイ町田戦では相手の隙を分析して首位攻略に一仕事を果たした池澤波空テクニカルコーチですが、完全に5-3-2主体で来ることまでは流石に想定していなかったんじゃないかと思います。そんな"サプライズ"を喰らった新潟ですが、ピッチ上において保持局面の指揮系統を握る秋山が2分頃、お馴染みである「最終ラインに降りて相手の挙動を確認するプレー」を早速披露します。

2CB+1アンカーは必ず前線3枚のマークに遭う、そして降りる中盤の選手にも相手CHがついてくる。ならばスペースが生まれやすい箇所はどこになる?ということを考えると、新潟SB・相手のMF-DF間は町田にとって明確な泣き所になり得ます。

ここ。

8:30~では宮本に白崎が対処した事で生まれる彼の背中側を小野が察知。FPの最後尾として、ボールホルダーとなった際に「まずは遠くを見る」という稲村が奥行きを察知して縦パス一貫。この辺りの時間帯から新潟は町田の対応策を逆手にとって効果的な前進を繰り返していきます。

8:30~

また、プレスに出ていく相手CHの背中側を上手く活用できたのも宮本の存在があってこそだと思います。観ているこちら側にも分かりやすく伝わってくる宮本の首振りですが、ビルドアップの際には自身が降りると同時に大体ライン間の状況を首を振って確認するシーン(13:50~)がありました。最初からそこに居るよりも、高い位置から降りることで相手を動かせますし瞬間的にスペースを生み出すことができます。例に挙げた所はそうした宮本の知性をダニーロが感じ取って楔を引き出した良いシーンでした。

もう一つ活用できるエリアが新潟SBのところ。基本的にはナサンホ-鈴木と両WBのスライドで嚙み合わせの齟齬を埋める町田ですが、そのWBが谷口-ダニーロと新潟WGにいわゆる"ピン留め"されるようになると状況が一転。WBは徐々に押し下げられ、かつ彼らの矢印が届かない低い位置でビルドアップの起点を務める橋本-藤原の知性もあり、新潟はSB経由でハイプレスを回避して相手コートまでボールを進める機会が増えていきます。

プレスをハメようとしても秋山を経由してワンタッチで橋本-藤原に逃がされてしまうし、中央ではプレスに向かった背中側を使われてしまう。次第にジリ貧に陥っていく町田とみるみる元気になる新潟。開始数分の印象はすっかり逆転して、支配するホームチームと受けるアウェイチームという構図が徐々に成立していくようになります。

正直、完全なマンツーマンで来られる方が嫌だったかも。

25分頃には自分の背中側を使われ続けることを気にしたのか、白崎は降りる宮本を放置してDF-MF間のスペースを管理する姿勢を優先します。ならば「新潟:2CB+2CH vs 町田:2CF+1ST」と手前から数的優位(4vs3、何ならGK阿部も含めた5vs3)を活かして容易に前進できる状況が新潟に生まれます。こうした駆け引きの末に町田のプレスラインは下がっていき、新潟は11vs11の状況から既にノンストレスでボールを保持できていたかなと思います。

町田の保持は初期配置から大きくは動かさない3-2-4-1気味。後方3枚で長倉-小野からなる新潟1stラインを超えて、大外に張るWBを使ったり、或いは中央で上手く受け手となるSTを経由しながらフィニッシュへの道筋を探ります。ただ、左右を横断するサイドチェンジであったり(最終ラインが4枚なので必然的にボールサイドとは逆側は狙い目)、HVの持ち運びでハーフスペース/大外と分岐を作ったり(俗にいう位置的優位)など、新潟がされて嫌だなと思う形は殆ど無かったのではないかと思います。

3バックの中央を務める昌子から縦パスを引き出した藤尾→落としを受けた白崎からワイドで時間を授かったナサンホ..というシーンは唯一怖さを感じましたが、今の町田はオセフン/デュークのハイタワーを代表活動で失った状態。クロスを上げるにも低いボールがメインなのであっさり新潟の壁に跳ね返されてしまいます。

前回対戦で見せた中山→望月のような再現性を感じさせるロングボールの活用もそうですが、普段のようにサイズ差で優位性を築き上げられないので、保持すればするだけ上手くいかない状況を許容せざるを得ない、言ってしまえば「気持ちの悪い時間」を町田は過ごすこととなります。

そんなアウェイチームを横目に楽々ボールを持ってフィニッシュの機会を伺っていく新潟。ダニーロの枠外シュートという安心感という観点では直江津-日本海の夕日を彷彿とさせるトピックスを幾つかやり過ごした後、15分に長倉による先制弾を叩き出します。

このゴールでは左↔右のやり取りを1ラリーずつ交わしたことで、町田の目線を左に右と確実に揺さぶれた点が大きかったかなと思います。恐らくBox内ではマンツーマンで対応することが求められている町田守備陣ですが、目を動かす展開が続いた結果、明確な担当を決める間も受け渡す余裕も得られずにあっさりと長倉をフリーにしてしまいました。

そんなエラーの数々を新潟は見逃さなかった新潟はもちろんお見事。対面の背中をとったフィニッシャーと、そこに確実に届けたクロッサーはそれぞれしっかりと質を発揮してくれました。試合後コメントでは「どちらかがニアで、どちらかがファーに動き出したらいいんですけど、言葉じゃなくてお互いが感じ取れたのかなと思います」という長倉のコメント通り、ニア寄りで駆け引きすることで潰れ役を演じてくれた小野にも0.5アシストを寄与してあげたいくらいです。

また、サイドで詰まったらレーンを跨いで手薄な中央,或いは逆側まで解放してくれる選手(ダニーロ)が居ることで、これまでの同サイドでやり切るアタッキングからまた毛色が変わってきたここ最近の新潟です。ここに狭いスペースでも絶えず周囲の味方と関係性を構築してくれる奥村が加わると、同サイドアタックも同じようにまた日の目を見るようになるのでしょうか。

1点を奪ってその後もホームチームの押し込む展開が続きますが31分、試合の形勢を凡そ決める事となったシーンが訪れます。

流れの中で長倉と入れ替わり1stラインとして組織守備を形成していたダニーロ。トラップミスでボールを離した藤尾の隙を突いてボールをモノにしたところ、遅れて入った藤尾の足が完全にブラジリアンの足にヒット。それを間近で見ていた池内主審は迷わず赤色のカードを提示。VARのチェックが入るも結果は変わらず、一点ビハインドのアウェイチームは追い打ちをかけられるようにエースを退場により失ってしまいます。

判定自体への意見は様々あるかと思います。ただ、開始から2度もアフターを入れたエリキに厳重注意があるなど(藤尾のプレーが赤色だという基準なら稲村へのアフターは黄色相当だと思う)、再三アラートを出した中での目の前でのレイトタックルは流石に印象論としてよろしくはなかったですね。映像で見ても足裏が入っているかよりも、被ファール側の見た目的なダメージが焦点になったのかなと思います。そういう意味では限りなく危険なアフターでした。

さて、11vs10を強いられた上にアンカー番を担っていたエースを失った町田。退場直後~飲水タイムでは黒田監督と金明輝ヘッドコーチが何やら熱心に話し込む姿が中継カメラに捉えられます。その際の金HCの指の動きをみると、その話題は非保持のリデザインにあったようです。

飲水明けから町田は前線の枚数を減らした5-3-1を非保持の手段として選択します。新潟CBへのプレスを諦めつつ、センバからの供給先となる秋山宮本を抑えながら新潟を外へ外へ誘導する構えを見せてきます。それでも完全に引く姿勢は見せまいとWBは気持ち高めでボールサイドの新潟SBを牽制する姿勢を見せるように。

新潟は最終ライン裏へのロングパスを織り込みつつ、外回しのボール保持から大外で受けたダニーロがレーンを跨いで谷口と合体。少し溜めた谷口が選択したのは外側で待っていた小野。41分、新潟に追加点が生まれます。

コンパクトな足の振りで冷静にコースを突く。鳥栖時代のゴール集を観ていて新潟でも期待したその姿が今日ここで生まれました。このゴールで我々が思っている以上に反転攻勢に向かう町田の足にブレーキをかけたのではないでしょうか。

前半終了間際には桑山によるレイト気味の接触を受けて舞行龍が負傷退場。若干の不安要素を残しつつ遠藤に後半を託します。


後半

HT明けに町田が一気に3枚替え。

後半開始からの町田@非保持-プレス編ですが、基本はCFが新潟CBを限定するように追いかけて、状況に応じて新潟CBに対してボールサイドのCHが・新潟SBに対してWBが飛び出してくる仕組みに変更します。

しかし、HTを経て明確となった町田の対応策を早速逆手にとる試合巧者の新潟。48分にはバイロンが橋本への矢印を出したことで大きく開いたドレシェヴィッチとの間のスペースに小野がフリーラン。その動きに合わせて橋本が精度の高い縦パスを送り込み、小野のエンジェルパスから最後は長倉。

何か同じような形で綺麗に枠外に転がした坂井大将の姿を思い出しました。ラストパサーはターレス。向こうでも元気にサッカーしてるかな。因みに今回のコメンテーターは2018年当時に在籍していた安田理大でした。ダニーロのコロ芸に真面目にツッコんでいたのが面白かった。

54:35~にも稲村→小野で似た形からHV-WB間を攻略して楽々と進む新潟。町田としてはトータルスコアを考えると0-3のまま終わるのは決して好ましくありません。だけど一人欠けた状態で前傾姿勢をとると、一気に自陣深くまで運ばれてしまう展開。次第にハイプレスは限定的になり、基本は5-3-1を維持するミドル~ローブロックを選択するようになります。

新潟は稲村-遠藤-秋山と攻撃の開始地点に対して、町田が藤本+ボールサイドのCHを押し出して稲村遠藤をロックされたり、秋山には適宜監視役をつけられたりと押し込む中でも中央経由の前進に少し苦労気味。

それでも町田の圧が緩み相手陣内に押し込めた際には、特に新潟の左(町田の右)でバイロンを縦に引き出して、空いたWB-HV間に人を走らせてドレシェヴィッチ周辺を攻略する構えを見せます。63分には谷口がドレシェさん(打つのめんどい)(予測変換でてこい)の脇に飛び出して最終ラインを押し下げて、空いた手前側から橋本のクロスに長倉。これは惜しくもバーを叩きます。

バイロンの背中側、ドレシェの脇を攻略しがちだった後半の新潟

完全に押し込む状況が出来上がったこともありますが、この試合では橋本はインサイドを好んだポジショニング-プレーが目立ちました。クロスもそうですし、クロスを匂わせて逆サイドに振ったりBOX内に刺したり、複数の選択肢を匂わせて高精度のパスを各所に出せるのはやっぱり良いですね。

そんなこんなで互いに交代策を交えて70分時点で以下の感じに。

70分時点

新潟はサイドの運動量を補填しつつ怪我明けの高木を試用運転。町田は前線のアップダウンを強化すべく、特に際立ったのが大ベテラン中島裕希の投入。精力的に新潟CBを追いかけながら、CH兼STな藤本が縦への矢印を見せてそこに追従、カウンターの起点も2人で務めます。

新潟としては78分のハイプレスが空転したところから始まった被決定機は良くなかったですね。リスクを負ってまでリターンを得る展開ではないですし、高木によるプレスのトリガーは恐らく後ろの状況を確認した所に起因していると思いますが、映像を観る限りだと中盤も最終ラインもディレイの構えを見せています。今季は特に1点に泣く試合が多いので、こうした自ら招いてしまうピンチに対してはより警戒を強めて欲しいですね。

中島の脇を超えるように持ち運び、ライン間に漂うポジショニングでDFラインから昌子を釣りだした元希-その裏側に走る長倉へフィニッシュワークを保証するパスを送り込んだ80分の稲村など好シーンもありつつ、87分に長倉がプロ初となる👒👒👒を達成。

--1試合4ゴールは、プロになってから初です。
(長倉)複数得点も初です。こういうのが続く選手が得点王になるんだなって感じたので、こういう経験ができたことを、これからに生かしていけたらなと思います。


完全には糸が切れていなかった町田ですが、この失点は流石に無視できない者だったのではないかと思います。何より形も形ですし。

ロスタイムにはダメ押しもダメ押しとなる長倉の今日4点目が飛び出します。中央の監視が甘くなったところを見逃さずに突いて、最後は空いているところに振って良い状態のフィニッシャーに足を振らせる形です。まさに松橋流ここにありという5得点目。

VARの介入もありゴールチェックと共に、そして林幸太郎の悔し顔を反芻する形で試合終了。ビッグスワンで行われた1stレグは2ndレグに向けて精神的にも見かけ的にもアウェイチームに大きくダメージを与える結果となりました。

あとがき

この試合は勿論ですし、中断明け初陣となった磐田戦以降の戦いぶりを見ると、90分の中で発生するあらゆる球際の部分でモメンタムを握れていることが8月以降の公式戦負け無しに繋がっているのかなと一つ思いました。特に松橋アルビの課題でもあったトランジションのコントロールではサマーブレイク中に鍛え上げた成果が着実に現れています

ボールロスト時に最も近い選手がプレスをかけること、それも闇雲に行くのではなく前方方向を塞ぎにいってホルダーが向きを変えた所を別の味方が連携して奪いに行く/完全に遅らせる体形をチームとして作り出せています。

新潟さんのほうが自分たちのチームスタイルを尊重しながら球際も厳しく、チームでの調和も含めて、とても良いサッカーをしていました。新潟さんに比べると、自分たちの意図する形を作れなかったことは、反省すべき点です」と、球際でも後手を踏んだという趣旨のコメントが青森山田-町田ゼルビアを歴任してきた敵将から生まれているのが何よりの事実です。また、9月シリーズでは湘南-名古屋-神戸と、デュエルに強みを持つチームとの対戦が続くので改めて真価が問われていく事でしょう。

さて、話をルヴァン杯に戻すとしましょう。ホームでの1stレグで相手エースは退場。そんな圧倒的優位な状況をモノにする5-0。2ndレグまで意識しながらトータルスコアを利用して勝ちに行く姿勢がちゃんと感じられて良かったですね。

そうなると2015年のナビスコ杯ラウンド8浦和戦が頭に浮かんでくる方も多いことでしょう。あの時も5-0という4強進出を確定したもほぼ同然な、ある種の確定切符を携えて埼玉スタジアムに乗り込みましたが、あわやその切符の資格停止処分を喰らうところでした。浦和の反撃があと10分早かったら恐らく0-3では済んでいなかったと思います。

今季も然り、松橋監督も「おそらく町田さんに相当な火をつけたと思っている」と試合後会見で警戒を強めた通り、やるべきことがはっきりした町田は間違いなく1stレグとは違う顔を見せることでしょう。ホームという地の利も活かして、セットプレーを多用しながらあの手この手で終始殴り込むファイティングポーズを示してくるはずです。

選手スタッフ達が緩む姿勢を見せず勝ち抜く為に努力することに対しては今までの松橋アルビの歩みを振り返ると全く疑いの余地がありません。

ならば(既に決勝の光景を想像して感極まっている筆者も含めて)少々浮かれがちなサポーター、特に野津田のアウェイスタンドを埋める方々は一戦必勝の空気を創り出せるとベスト4進出の確率をグッと高められるのかなと思います。イケイケな第一戦の状況下でもスタンドから「蹴散らせ」が発動されなかった(だよね?)ことが全てですね。

プライムラウンド全体を考えたらまだ"前半18分"が終わったばかり。まずは今週日曜日に36分までやり切って、タイトル獲得への道のりをまた一歩進んでいきたいところです。

それでは今回はこの辺で。最後まで目を通していただきありがとうございました。良いなと思ったら何かしらのリアクションを頂けると嬉しいです。またご意見ご感想など何かあれば匿名でもメッセージをお待ちしております!

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