社会人10年で5回も転職した話#2 ~歩く”東京カレンダー”編①~
タイトルに「東京カレンダー」とありますが、どういう意味かと言いますと、その雑誌に載るような素敵なレストランに詳しくなった、ということです。
前のブログでも少し記載しましたが、私の大学の専攻はフランス語学科でした。
語学としては面白いですが、残念ながらフランス語を使用できる就職先はかなり限られています。
ましてや、文法的なものは得意だけど、コミュニケーション系は弱いですよの私にとっては、新卒の時もこの辺りを活かす仕事は考えませんでした。
でも、不思議なことにこの経歴が役に立つときがあるんです。
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それは「リクナビ転職」で偶然引っかかった求人だった。
営業事務の仕事の募集で、業界は「フランス・イタリアの食材専門卸商社」。
学歴は専門・短大・大卒以上で、フランス語がわかれば便利ですね、くらいのゆるい募集。
事務経験は特に問わない、というなんとも当時の私にはハードルが低そう(に見えた)なもの。
私はまだ大学を卒業し、2年経っていなかったのでフランス語をまだ覚えており、必要最低限の会話くらいはできたというのが功を奏した感じだったと思う。
今の学力では到底無理ですが。
①面接~入社まで(ドキドキ期)
その会社は創業した社長のワンマン経営で、その界隈ではとても有名な専門卸商社だった。
(これは後から知ったことだったが、かなり有名で驚いた)
全国のフレンチとイタリアンの高級レストランに、現地の食材を届ける、一見お洒落な業界だ。
面接を担当したのは、元シェフという経歴を持つ50代くらいの男性で、物腰柔らかな雰囲気を纏っていた。
もはや面接内容は全く覚えていないけれど、フランス語について触れられたことはもちろん、接客としての強みや、外国人とのやり取りも評価してもらえた(?)ようで面接から1週間後くらいに合格した。
念願の事務ではあったけど、週休2日制で完全ではなかったので、土曜日出社の日もありそれはちょっと計算外だったことをよく覚えている。
でも前回の空港で土日も祝日も関係のない私にとっては天国のように思えたし、夏休みは社員同士の調整で取れたし、年末は基本お休みで仕事始めはかなり遅かったことを覚えている。
というのも、新年早々レストランは稼働していないから当たり前ではあるのでだけれど。
ところで営業事務ってExcelとかWord使うの普通じゃない?マクロとか。と思った人も多くいると思う。
私も基本的なWindowsのものを使用することはできるが、正直Vlookupとかマクロとかはさっぱりである。
そんな事務の基礎ほぼないやん、という私でもつとまったのにはちゃんと理由がある。
その会社は良くも悪くも「昭和」を生きてきていたのである。
仕事内容はとても繊細でおしゃれなのだが、その中身はかなりの時代遅れ。
パソコンはとても古くてWindowsは最新版ではないし、ノートPCでもない。
これはいつの時代のかしら・・・と不安になる古いモデル(ただし、めちゃしっかり動く)
私はそれまで接客業で、事務作業はしてこなかったから当時はあんまり疑問に思わなかった。
それに加え、使っているシステムはその業界にしか使えない独自のもので
これは結局1から覚えなければならないし、最初の方はPCすら使わせてもらえず、ひたすら注文の電話を取ったり、FAXがきていないか確認したりしかしなかったので、このシステムをフルに使うのは入社してから半年後くらいだった。
②入社~半年(新人の耐えどき期)
では、具体的にどんな仕事をしていたのか?
主に下記のようなステップがある。
<基本ステップ>
1.注文(電話、FAX、担当営業への直接注文、途中からネットも取り入れた)
2.内容と数量をメモって、地下にある倉庫に連絡したり、今回は入ってきているかどうかのチェック
3.OKであればそのまま注文を受け、倉庫に連絡する
4.数量が入ったメモを倉庫の人がくれるので、それを持って伝票を打つ
5.配送であれば担当ドライバーへ連絡、出荷であれば送付伝票を作成する
新人の私のミッションはとにかく商品を覚えることが重要。
フランス語をやっていたので頭には入りやすかった商品もあるが、イタリア語は学んでいなかったので全ての食材を覚えるのはとても大変だったし、似たような食材の場合は違いも頭に叩き込まなければならなかった。
その次に、「電話をとる」という作業が入ってきた。前職で電話を取ったことのない私は、ひたすら先輩の話術を覚え、なんとか敬語を形にし、嫌だな・・・と思いながらも電話を取り続けた。
今でも忘れられないのが、初めて取った電話でシェフが短気だったのか、新人でもたついている私にイライラして注文してきたことがあった。
めちゃめちゃ勢いがあるし、声も低いし、聞き取りにくくて本当に怖くてたまらなかったことを覚えている。
半泣きになりながらどうにか電話をとり、先輩とメモと過去の注文履歴を照らし合わせ間違いがないか確認して注文書を作成したのである。
ちなみにその怖いシェフは、私が慣れてきた半年後くらいには息子にレストランを譲り、かなり丸くなっており、めちゃめちゃ優しいおじさんになってたし、なんなら当時住んでいた最寄駅の隣にレストランを構えて「縁があるな~~~」と思っていた。
女子の園になりがちな営業事務だけれど当時は私と入れ替わって辞めた妊婦の人がいて、その人には当時かなりいびられた。
パワハラまではいかないものの、陰口を言われたり、強い言葉で怒ってきたりして本当嫌だったんだけど、
当時の私はここよりも女の園である空港で働いてきたので、そこにくれべれば全然マシだった。(笑)
仕事のことしか言われないから、男関係で揉めたり、人格否定気味な言葉を投げかけてきたりする集団よりもよっぽどまともに見えたので、あんまり気にしなかった。(それも逆に面白くなかったんかな~と今なら思うけど)
慣れてくると、倉庫まで走って目方を取って請求書作成担当に渡したり、時には倉庫に電話をかけて「早く目かたください!!」とキレたり、営業からくる突発的な注文に文句を言ったり・・・とここで働くにはそれなりに肝っ玉が座っていないと厳しかったことが印象的。
私よりも全然年上のおじさん営業に対してこれをいうんだから、ある程度気が強くないとやってられないのである。
③半年以降~辞めるまで(それなりに立場出てきた期)
半年も経過をすると、私にも後輩的な同僚が入ってきた。
その子は私よりもよっぽどフランス語が得意で、綺麗で、明るい美人だったので、最初は仲良くなれるかマジでわからな過ぎて怖かった。(笑)
(その子とは、今でも付き合いがあり、旅行にも一緒に行ける大切な友人にまでなったのは、ここでの1番の財産かもしれないです。)
でも、その友人が入社してきた時も先輩からの圧というかいびりは多少あって、少し肩を落とした姿を見たときがあった。
私はなんだかいたたまれなくなって、彼女に「まあ気にするな、私も言われてきたが華麗にスルーした」みたいなことを話して、それからその友人がよく話しかけてくれるようになって仲良くなったのである。
ここからの私と友人の立場の確立感のスピードはすごかった。
ここはとても小さい会社なので、営業の人といかにうまくやれるか、と営業一人一人に「お気に入りの事務」というものがいるのである。
私は性格上、女っぽいというよりは男っぽくて早く帰りたいがために、仕事を全部覚えて、効率よくこなし、あらゆるところに気を回して動いていたので、当時イタリアの輸入を担当していた営業(しかもNo2みたいな人だった)に気に入られて安泰。
さらに優しい菩薩みたいなおじいちゃん営業(歴が長過ぎて誰も逆らえない)にも面倒を見てもらえたので結構会社内の立ち位置は安定していた。
もっとすごいのはこの友人で、友人はその愛嬌と明るさで、とにかく営業のファンが多かった(苦笑)
若い人から、ベテランまでとにかく大体のことは彼女に頼めば、苦手な営業がいてもうまくいったし、この「苦手な営業対策」というのは私とその友人の中では暗黙の了解があった。
お互いに仲良くしていて、信頼されていそうな営業に何か頼みたい時は、相談する、というような。
これが一番生かされたエピソードがある。
こんなに明るくて気のいい友人だけど、唯一苦手な営業がいて、その人はパワハラ気味で態度が大きく(体も大きい)、怖い印象をかなり保たれている上になぜか友人だけ嫌っていた。
そこで私の登場。
実はその営業の不倫現場を見たことがあったのである。
これはマジな話で、たまたま時間が空いたので少し遠くにランチに行った日のこと。
ちょうど入り口に向けて座っていた私は、女性を連れている見覚えのあるおじさんを見かける。
なんと・・・!そのおじさんはパワハラ気味営業であった!
私はしたり顔で「ああ・・・なるほどね・・・」と言った表情をして会社に戻ると、その営業が「さっきの・・そのなんだ見たことは・・うん」「ああ、お知り合いの方のことですか?特に言うつもりはないですけど・・・ひとまずここのレストランの商品の目方出してくれます?」「・・・はい、すぐに・・」
となってからは、私の方が優位な立場になったので、友人にパワハラすることも無くなったというエピソードがあるのもいい思い出(笑)
この友人とのタッグは、その後も続いていく。
友人が請求書発行、私が発送伝票の作成と言う役割を担ってからは、作業が早くて会社の人にも関心された。
どちらも密に連携を取らなければならないものだったので、ツーと言えばカーみたいな連携プレーはお互いを褒め称えてもいいくらいの功績だったと思っているし、今でもこの友人としかできないことかもしれないと思っている。
この話は今でも友人と話すけれど(彼女も退職した)、あの時の私たちはすごかった・・・!と同じ熱量感で盛り上がれるくらいには印象的。
その友人が入社して来てくれてからは、本当にやりやすくなったし。お互い先輩にいびられて育ったから、次に入る後輩には絶対やりたくなくて、社内の雰囲気も変えた。
私が先に辞めてからも、その良い雰囲気は続いていたと聞いてとても安心した。
と、ざっくりと2社めの仕事内容と、辞めるまでのちょっとしたエピソードを書きました。
次回は「なぜ歩く”東京カレンダー”なのか?」、この会社ならではのメリット・デメリット、
数々の個性的なエピソードを紹介してまいります!
それでは、また。