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小咄「ルイ辞書」

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「小さな口から出まかせ」 本文は140字以内に収める努力をしています。
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2017年3月の記事一覧

小咄「ルイ辞書」

小咄「ルイ辞書」

【病苦】【ジョーク】冗談ではない。死に直面して先にあるのは身体的な苦しみだけ。それなのにどうして生きねばならぬ。その先を生きることで何が得られるというのか。その重みが心の苦しみとなり二重苦となる。しかし人は生きる。必死で生き様と死に様を見せて世を去る。それが残される者の心に残る。そこに価値はあるか。

小さな口から出まかせ「ルイ辞書」

小咄「ルイ辞書」

小咄「ルイ辞書」

【献身】【賢人】人は元来、自分のために動くもの。成したことの果実を当てにし、それが原動力となりことを為す。これが社会への貢献の形である。しかしその果実を当てにしない貢献というのがある。己の欲を捨てことを為し名を残さず歴史にも現れない。実はこのような人物によって今が支えられているのかもしれない。

ルイ辞書

ルイ辞書

【東尋坊】【用心棒】東尋坊は自殺の名所として知られる景勝地である。最期は美しい所でという心理の表れだろう。一方、自らを守るために警護を雇う者もある。自分が思う己とはかくも様々である。側にいて思う。どうして悪どい奴が警護を付け、美しい人が自ら命を断つのか。いや精神は自由なのだ。自分の命は自分で決める。

ルイ辞書

ルイ辞書

【天神】【エンジン】東風吹かば匂い起こせよ梅の花主なしとて春を忘るな

菅原道真の歌である。天神さんは各地にあって合格祈願のため信仰を集める。しかし彼自身は才溢れるが故に都を追われ、都を夢見て亡くなっている。突出すると生きにくい。そこそこがいいのである。受験生に火を付けるにはそこそこの設定が必要である。

小咄「ルイ辞書」

小咄「ルイ辞書」

【信条】【真薯】日本料理のひとつ、真薯(しんじょ)は蟹や海老、白身魚などをよくあたり、山芋と卵白を混ぜて丸(がん)にし、蒸して椀物の種にし、炊いたり揚げたりして一品として供される。よくあたることでその口当たりは滑らかで喉越しもよくなる。しかし食材の風味も損なわないようにしなければならない。そこに料理人の矜持があるのである。