【レポート #67】長野県・塩尻市長選挙レポート(2022 9.25)
塩尻市は松本市の南隣の市。 長野県南部に住む私が松本市及びその北に行く際には必ず通行する街ですが、一方で塩尻市自体に用があるコトは滅多に無いので、いつも素通りしてしまう街でもあります。
そんな塩尻市に訪れた、20年ぶりの市長交代。 この機会に市民が選択したのは “継続” か、“刷新” か。 レポートしていきます。
◆概要
面積:289.98㎢(長野県 第11/77位) 2005年に木曽郡楢川村を編入合併
人口:66,257人(長野県 第8位)※2022年9月1日現在
人口密度:231.9人/㎢(長野県 第22位)※2020年現在
平均年齢:47.60歳(長野県 第6位)※2020年現在
衆議院は長野4区に属し、
◆立候補者
◆POINT
・5期務めた現職市長が引退
塩尻市長を5期20年務めた小口利幸(おぐち としゆき)市長が引退を表明し不出馬。 そのため今回の市長選は新人同士による争いとなりました。
現在70歳になる小口市長は気力・体力の低下を感じ、「塩尻の未来の創造を若い人に託したい」と道を譲る決意をしたそうです。
この5期の間に、楢川村との合併、JR塩尻駅を中心とした市街地活性化計画の策定、その一環として市街地中心部に5階建ての市民交流センター「えんぱーく」を新築するなどを実現しており、過去5回の市長選はいずれも対立候補との選挙戦を制し続けてきた市長です。
◆前回(2018年)の市長選
前回は、今回も立候補している平間候補との一騎打ちを379票差で振り切り4選を果たしています。 平間候補はそのリベンジで今回二度目の市長選に挑んでいます。
それでは、各候補を見ていきましょう。
◆金子 勝寿(かねこ かつとし)候補
金子候補は塩尻市出身。 拓殖大学卒業後、日本内航海運組合総連合会に入社。 2007年の塩尻市議選に立候補し初当選。 4期連続当選し任期途中の今年7月末に市議を辞職。 「市政は今、変革の時!!」と訴え、今回初の市長選に挑みます。
金子候補は前回の選挙で小口市長を支援していましたが、今回は他候補を支援する小口市長(後述)とは距離を置き、自ら立候補しました。 また、出陣式には羽田家の支援組織「千曲会」の代表である寺島義幸元衆院議員が駆けつけるなど立憲系の繋がりを持つ一方、「全国若手市議会議員の会」の事務局次長を務めている流れから、保守系の議員との繋がりも持っている人物です。
寺の駐車場に選挙カーを停めて演説を行った金子候補。 この場所は国道と平行に走る片道一車線の県道沿いにあり交通量が多く、運転手に向けて顔と名前を覚えてもらうためのものだったように見えました。 その証拠に演説予定を事前に新聞で告知していたにもかかわらず観衆はゼロ。 選挙戦中盤にもなって首長選で朝でもないのに「お手振り」同然の運動をしている様子を見て、「これは厳しいな」と思わざるを得ませんでした。
候補者の中で唯一、給食の無償化(他候補は「減額」「負担軽減」)を訴え、行政に民間の手法をと訴えていましたが、演説も5分弱でおわり、何だか熱量が感じられない。 45歳と最も若い候補ながら市議を4期15年務めた経験のせいか政策を淡々と訴えるコトに終始し、肝心の「若さ」を表現できていなかったのは残念でなりません。
確認団体の選挙カーには「若い力!」とデカデカ書いていたのですがね。
演説後に何故今回は小口市長と距離を置いて自ら立候補したのか? と聞いたところ「支持者から後押しされて、出てみた」と回答した金子候補。 おそらく本人も当選は難しいと分かっていたのでしょう。 支持者からの押し上げと既に市議を4期務めていて次のステップを考えざるを得ない状況だったのかもしれませんが、果たしてそれが今回だったのかというと、疑問に感じます。
選挙公報はコチラ。 政策自体は真っ当なものが書かれていますし、子育て政策は他候補よりも充実した内容でしたが、それを前面に押している感じも強く感じられなかったのが正直なトコロ。
例えば「市政再起動!」「バージョンアップ!」なる幟を掲げていますが、そういった抽象的な表現ではなく「給食費無償化」などの政策を書いて掲げた方が良かった気がします。 まぁ、それをやっちゃうと共産党と同じ戦略になっちゃうのが痛し痒しですが・・・
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