【#126】長野県・千曲市議会議員選挙レポート(2024 7.7)
世間が東京都知事選で盛り上がっている中で行われた千曲市議選。 この選挙 “単体” で見ると正直見どころは乏しいかもしれませんが、市の現状や今後の展開を見据えると、結構味わい深い結果が出ています。
今の段階で読んでおけば、今後(秋ごろ?)面白くなる、かもしれないので、宜しければご覧いただきたく。
◆千曲(ちくま)市・概要
面積:119.79㎢(長野県 第35位 / 77市町村)
人口:57,614人(第9位)※2024年7月1日現在
人口密度:480.95人/㎢(第3位)※2024年7月1日現在
平均年齢:50.32歳(若い順 第25位)※2020年10月1日現在
市長:小川修一(1期)
◆立候補者(定数20/23名)
定数20名に対し現職15名、元職1名、新人7名が立候補。 政党別では公明と共産が2名ずつ立て、女性候補が4名です。
◆前回の選挙(定数20/25名)
2020年に行われた前回は定数20に対し現職15名新人10名の25名が立候補。 政党別では共産が3名、公明が2名、維新が1名立てて4名の女性候補が出た結果、現職2名、新人3名が落選。 女性候補は3名当選しました。
共産は1議席失ったコトで千曲市議会の会派結成要件である「3名以上」を満たさなくなり会派解消となりました。 今回は2名の立候補なので高望みせず現有議席確保を優先したようです。
また、維新が候補を擁立。 2020年7月時点では(私が覚えている限り)長野県内に維新の議員はいなかったため、いよいよ維新が議員選挙に手を出してきた! と少し話題になりましたが箸にも棒にも掛からず落選。 今回は維新の出馬は有りません。 現在は県内に6人の維新市議がいますが、議員選挙は(維新長野の場合)党が候補を探すというより候補が維新に公認を依頼する形で候補が誕生するコトが多く、来たるべき衆院選に初めて2候補立てようとしている現状では議員選挙の優先度は低いと思われます。
◆POINT やりたい(建てたい)コトいっぱいな千曲市
昨年9月、市内を走る上信越自動車道に「屋代スマートインターチェンジ」(以下、スマートIC)を作る計画が国土交通省から新規事業化の決定が出て、実現に向けて動き出しました。
千曲市内には上信越道と長野道が合流する交通の要所、更埴ジャンクショん及び更埴ICが有りますが、それは市内の北端に位置し、そこから次のICは隣の坂城町に有る坂城ICまで行かなければならないため高速道路のアクセスは必ずしも良好とはいえません。
そのため念願の事業化といえるのでしょうが屋代地区も市の北側で有るため私としては市の南側にある戸倉上山田温泉近くに作った方が良いかと思いましたが、IC周辺の工業団地へのアクセス向上が最大の目的である(スマートIC設立が企業誘致の条件であるケースは多い)のと、何より戸倉上山田に近い上信越道は現状、山の中を突っ切るのためICなんて作れるワケが無いため、それならば屋代地区で作るのがベターでしょう。
確かに日本の高速道路は乗り降り場(=IC)が少ないと言われているのでこの計画は進めれば宜しいと思いますが、取材を進めると長野道の姨捨(おばすて)サービスエリア内のスマートICをフル規格化(※PDF)する計画が有ったり(あんな山の中で道もほっそいICへのアクセスをどうやって改善するんだろう・・・)、
また、戸倉地区に体育館や野球場などを備えた「総合運動公園」の計画が有ったり(市役所隣に「ことぶきアリーナ千曲」という立派な体育館が有るのに・・・)、更に防災拠点を主な目的とした「道の駅」を建設する計画(PDF)が有ったりと、大型計画が盛りだくさんです。
それらは全て有るなら有った方が良いものですが、お金ナンボ有ったら足りんねん! という話で。 10月下旬には市長選も予定されている中、どういう主張を候補がしていて、どういう主張をしている候補が落選するのかが気になります。
それでは立候補紹介に移ります。 無料部分では「コレをやったらダメですよ」という例を見ていただきましょうか。
◆それで当選するなら苦労せんわ・・・
合津 貴志(ごうづ たかし)候補は御代田町出身で日本電子専門学校卒。 現在パソコンやネットのトラブル対応をする会社を営んでいます。 今回「子育て世代の声を市政に」と掲げ初当選を目指しました。
ポスターの下部を見ていただきたいのですが、「お金をかける政治と選挙にNO!」というコトで、
と宣言しています。まぁこういった候補は議員選挙にひとりは出てくるものです。 住宅街にマイクで声を響かせるコトが子育て世帯などに迷惑をかけているのは事実で、それを嫌う候補がこのような戦術に出るコトを否定はしません。
そういった候補はその代わりに自転車で市内を走り回って訴えたり駅など人が多く集まる場所に立ち続けて選挙ビラを配ったりするものですが、この候補の斬新なトコロはそういったコトもせず、「選挙事務所設置」「ボランティア募集」もしないとし、ほぼ何もしないとしている点。
自身の訴えは選挙ポスターと選挙公報に加え、HPとYouTubeで表すという戦術です。
選挙に出る人は基本的に議員になってその自治体を変えたい、貢献したいと思う人であり、選挙はあくまで議員を選ぶための「手段」にすぎないハズなのですが、たまに選挙運動に異を唱えて議員になる「目的」とその為に市民に問う「手段」がごっちゃになっている人を見ますが、正直言ってウンザリです。
この方だって最も訴えているコトは子育て支援の拡充のハズで、それを実現するために議員になろうと志したならば、当選しなければ何の意味もありません。 選挙は「議員」というレースのスタートラインに立つ選手を選ぶもので、そこに立とうとする前に「このレースはやり方がどーだこーだ」とイチャモンつけるような人は「じゃあアンタは出るなや!」で終わりです。
動画内で「今の選挙のやり方は本末転倒だ」と言っていますが、自分が誰よりも本末転倒な言動をしているコトに気づかないかなぁ・・・
結果、当然ながら最下位で落選しました。 そりゃそうでしょ、選挙活動しないからどういう人か分からない上にポスターや選挙公報が全く魅力を感じないものに投票する理由が有るワケないのですから。 なんか本人は「また4年後」とか言っているらしいですが、それならば「目的」と「手段」をもう一度整理するコトをお勧めします。 もし選挙に出るコトを目的にしたいならば、
コレでも読んでいただいて、自分のやり方が如何に愚かかを理解して、決してこうならないように気をつけて下さいな。
それでは有料部分に移りますが、そこで私がこの選挙を取材した “真の目的” を書いていたりするので、気になる方は御購読いただけると嬉しいです。
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