【レポート#37】長野県議会議員 松本市・東筑摩郡区補欠選挙レポート(2021 10.31)
衆院選と同日投票となったこの選挙、国政選挙の陰に隠れて地味な印象は否めず、私も当初は取材する予定ではなかったのですが、いざ行ってみて取材してみると予想以上に激しくも面白い選挙が展開されていました。
「返り咲きを狙う元職 vs 唯一の女性候補 vs 31歳の若さを誇る市議 vs 自ら辞した議席を取り戻しに来た男」が2つのイスを争った選挙を、レポートします。
◆概要
松本市と東筑摩郡(生坂村・麻績村・筑北村・山形村・朝日村)を範囲とする選挙区。 長野県内で最も大きい面積を持つ松本市と、その南北に位置する5村が含まれ、候補者にとっては範囲が広くて大変だそうです
有権者数:214,076人 うち約20万人が松本市民である
前回(2019年)の県議選から松本市区(定数6)と東筑摩郡区(定数1)をひとつにまとめた選挙区(定数7)となる
◆立候補者(定数2/4名)
・下沢 順一郎(しもざわ じゅんいちろう)候補
下沢候補は明治大学卒、これまで松本市議を2期、長野県議を3期務めてきました。 県議2期目からは民主党公認で当選していましたが前回の県議選では国民民主党公認で出馬したものの次点落選。 今回の補選で県議返り咲きを目指します。
・小林 文(こばやし あや)候補
小林候補は松本市出身で信州大学卒、2009年の波田町(現 松本市)の町長選に出馬し落選するも翌年、松本市合併後の松本市議増員選挙で初当選。 以後4期11年に渡り松本市議を務め、今回県議への転身を目指します。 また「塾経営」「バイオリン奏者」「心理カウンセラー」「メンタルトレーナー」「薬草ガーデンマスター」の肩書きも持っています。
・青木 崇(あおき たかし)候補
青木候補は松本市出身で高崎経済大学を中退し衆院議員(維新)の公設秘書を務めたあと2015年の松本市議選に25歳で出馬し初当選。「県内初の平成生まれ議員」となります。 今回、2期目途中ですが県議への転身を目指し立候補しました。
・百瀬 智之(ももせ ともゆき)候補
百瀬候補は山形村出身、中央大学卒で上智大学法科大学院修了後、地元に戻り学習塾経営を経て2012年の衆院選に長野2区から日本維新の会公認で出馬し、小選挙区で落選するも比例北信越ブロックで復活当選し1期務めます。 2014年の衆院選で落選後、翌2015年に長野県議に立候補し当選。 2期目途中の2020年に松本市長選に立候補し落選。 今回は自ら辞した県議の議席を取り戻すために立候補しています。
◆POINT① 欠員「2」を補充するための県議補選
今回の補選は昨年3月の松本市長選に今回出馬している百瀬候補が出馬するために県議辞職した分と、中川宏昌氏が同日投開票の衆院選に公明党の比例北信越ブロック候補として出馬するために県議辞職した分の2議席を補充するための選挙となっています。 普段の公明党でしたら空いた議席を維持するために必死になるところですが前述の通り同日に衆院選があり、中川氏の比例当選と小選挙区の自民候補応援に全力を注ぐため、こちらには後継候補を立てず自主投票となっており、公明票の行方が気になるところです。
出馬表明は、まず下沢候補と百瀬候補がいち早く表明し、その後しばらく候補者が現れず無投票の可能性も見えてきましたが選挙が近づくにつれ、青木候補、小林候補の順で立候補を表明し選挙戦に突入。 当初は11月7日投開票予定でしたが衆院選に合わせる形で一週間早まり、短い期間で支持を広げなければならないという候補者には厳しい選挙戦となりました。
10月19日付の信濃毎日新聞によると、下沢候補は民主党や国民民主党に所属していたため(前回落選後に国民民主を離党)、民主党系や社民支持層へ浸透し、小林候補は市議時代に自民党系の会派に所属していましたが野党支持層にも食い込み旧波田町が地盤なので郡部の支持も比較的厚い。 青木候補も政界との関わり始めは維新の衆院議員公設秘書になったことでしたが市議時代は自民党系の最大会派に所属していました。 そして百瀬候補は山形村出身のため郡部からの支持が厚いとのコトです。 尚、公明党支持層は百瀬候補と青木候補、共産党支持層は下沢候補と小林候補へ支持が集まっているようで、衆院選と同日投票という日程の影響で国政政党が総じて様子見の中、情勢としては自民系の支持が割れることが予想される一方、野党系の票は下沢候補により多く集まるように見えます。
◆POINT② 百瀬候補の(必要以上に)華麗な政治遍歴
候補者紹介にも書きましたが、百瀬候補は2012年に日本維新の会から長野2区に立候補し小選挙区は3位で落選したものの比例復活し29歳の若さで初当選しました。 政界デビューがいきなり国政となったワケです。 2014年の衆院選で敗れて1期で終わってしまいますが、ここから次回衆院選や参院選で国政復帰を狙わず「議員」であり続けるために動き続けます。
2015年の県議選で維新の党公認で松本市選挙区から出馬しトップ当選。 2期目も今回衆院選出馬のために辞職した中川宏昌氏に次ぐ2番目の得票で当選し、このまま県議としてのキャリアを重ねるのかと思われましたが、2度の上位当選で自信を深めたか、一度国政という「頂点」を経験したので県議くんだりでは納得できなかったのか、2020年の松本市長選に4期務めた現職が引退すると知るや、2期目途中で県議を辞職し無所属で市長選に出馬してしまいます。
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