「参謀の教科書」伊藤俊幸(著) ~最強の部下になるという戦略~
リーダーシップに対して、
フォロワーシップという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
今日の話は、最強の部下になる、という視点ですが、
フォロワーシップは経営者にも必要な視点だな、と思うところもあり、
戦略に取り入れるべき1つの視点として、この本をご紹介します
著者は、元・海上自衛隊海将の人です
自衛隊組織は、優秀な部下を育てる仕組みを持っている
自衛隊といっても、要するに軍隊なので、
戦略は超重要です
そもそも、「戦略」とは、軍事目的で開発された知識体系
テクノロジーもそうですが、
軍事目的で開発され、その後、民間転用された技術、知見は数多くあります
組織開発においても、軍隊の考え方は、参考になりそうです
トップダウン型から、自律型組織へ
軍事作戦でも、中央で考えた戦略を、末端まで細かく指示するタイプから、
大枠を伝えて、細部は現場で判断させるタイプへ
進化しているそうでです
部下育成のスタイルも、指示型から、コーチ、支援型へシフト
最後は委任(任せること)が大事、
部下に考える機会を与え、あえて答えを言わない
というアプローチは企業でも同じですね
天才はいらない
参謀は誰でもなれる、と断言しているところが心強い!
優秀な部下は「参謀」役
経営において「参謀」とは、社長のNo.2を指すことが多いのですが、
自衛隊では、優秀な部下を参謀として育てる、とか
かなりレベル高いですね
こんな会社が増えたら、いい意味で凄いことになりそうです
さらに、参謀を量産できる組織は、これからの時代、最強になる!
と思います
優秀な参謀役の3つの要素とは、
1.積極的に、上司の意図を理解する
上司の言いなりになる、指示待ち型ではなく、
積極的に、上司の意図、目指す方向性の意味を理解しようとする
ここで重要なことは、
正しく疑う力を持つ
上司に意見を述べる
上司に働きかける、補佐する
上司の判断の精度を上げる補佐役として振る舞い
組織として、より大きな目標を達成する
こんな部下がいてくれたら、さぞかし頼もしいでしょうね
しかし、一番最初の「正しく疑う力」ここが鬼門
上司や経営者が、部下の意見や疑問を受け止められるか、どうか
上司の度量が試される瞬間です
上司の役割と、部下の役割を、共通認識として相互に理解し、
組織文化になるまで浸透させることが、企業では課題になりそうです
2.ロジカル思考
考え方は、あくまでもロジカルに
感情を一旦ヨコに置いて、ロジカルに考える…
ファクトベースで、事実を正確に捉える
ファクトとロジックの両方にこだわる
一旦疑う (これは本当か?)
仮説思考 (ということは?)
情報収集と情報整理 (必要かつ重要な情報は何か?)
いらない情報を捨てる
相手起点で、目的に合う情報を選別
役に立つ情報を提供する
さらに上位目的から体系的に考える思考力、俯瞰力が求められる
上位目的から考える
上流の考え方から外れていないか常にチェックする
ものごとの本質に迫る
具体と抽象、演繹と帰納、アブダクション
本のタイトル通り、教科書的ですが、
これらが全てできれば、言うことなし
まさに、経営者にも求められる、ロジカル思考です
3.礼節
礼儀を超えた、礼節
簡単に言えば、相手を立てる配慮
が大切、ということ
相手とは、まず、上司
上司の判断が間違っていると思ったら、直接指摘するのではなく、
間違いに気づくように、情報提供したり、提案する
手柄は、相手に渡す
小さいところで、戦っても仕方ないw
優秀な参謀がリーダーになったときに、やりがちなNGパターン
これは、私も耳が痛いw
自分と同じレベルで、部下に要求してしまう(部下が疲弊)
部下を育てる意識が低い(育成にムラが出る)
合理的に考えすぎ、人の感情を軽視しがち(組織の中で孤立する)
部下は、当然未経験のことが多いわけで、
全部できるわけではない
温かく見守り、どのペースで育てるか、戦略が必要
成果だけでなく、プロセスや途中の感情にも配慮したいもの
特に、成長途上の部下には、感情面で寄り添うことが大切です
内容はちょっと硬派ですが、
最新の組織論にも取り入れるべき観点が多い
こんな本も読んで、視点を広げられたらいいなぁ、と思います
この記事を書いたのは、
収益の柱を増やす「未来実現パートナー」 川原茂樹
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