【社会福祉法人】計算書類等の決算チェックリスト
こんにちは。社会福祉法人の会計サイト「もう仕訳ない」と申します。
==更新履歴==
2019.08.01 初版
2023.09.02 表紙画像を設定
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はじめに
社会福祉法人の計算書類で決算時にチェックするべきポイントをまとめました。
決算業務のさいに活用・参考になるようにしてあります。
財務三表に加え、注記と附属明細書について記載しました。
【資金収支計算書】
資金収支計算書は、「支払資金の増減の明細を明らかにする」ものとされています。
ざっくりと「お金の出入りが集計されたもの」とみても大丈夫です。
法人にお金が入ってきたとき、お金が出ていったとき、「資金収支計算書」に反映されます。
逆に言うと、お金の動きがないときは「資金収支計算書」も反映されません。
たとえば車の寄附を受けたとか、古いパソコンを廃棄したとか、リース契約を結んだときとか。
無理やりにつなげると、企業会計における「キャッシュフロー計算書」に近い計算書です。
各区分の見方は下記の通りです。
□事業活動による収支
本業による収入と支出が記録されています。
介護施設は介護施設の、就労支援は就労支援の、社協は社協の、メインの収支が見られます。
□施設整備による収支
施設整備関係の収支が記録されています。
収入面では、「建物や器具備品を取得するための」借入金や補助金です。
固定資産を売った場合の収入もここに計算されます。
なお、経常経費の補助金などはここではなく上の「事業活動による収支」に記載されています。
支出面では、「建物や器具備品を取得するための」借入金の利息の支払いや元金償還が集計されています。
□その他の活動による収支
上の区分に当てはまらない収支が記載されます。
運営のための借入金の収入と返済のための支出や積立資産の積立と取崩などが代表例です。
【事業活動計算書】
事業活動計算書は、「純資産の増減の内容を明らかにする」計算書とされています。
おおまかに「利益がわかる」ものととらえて大丈夫です。
最初は「黒字か赤字かがわかる」くらいの認識でけっこうです。
「一定期間内の経営成績を表示する」点で、企業会計における「損益計算書」が近いです。
□サービス活動増減の部
本業から生じる収益と費用が載ってきます。
介護施設だったら介護施設の、就労支援だったら就労支援の、社協だったら社協の、メインの損益が見られます。
□サービス活動外増減の部
「本業以外の収益・費用」かつ「経常的に発生する収益・費用」が表示されています。
預金の受取利息や、借入金の支払利息などが代表例です。
□特別増減の部
「本業以外の収益・費用」かつ「臨時に発生するもの」が計上されます。
施設整備のための補助金収益や、固定資産の売却損益などが計算されます。
「毎期あるわけではないだろう」とか「今期だけ発生する特別な費用」などが該当します。
【貸借対照表】
貸借対照表は「資産、負債、純資産の状態を明らかにする」計算書とされています。
ざっくりと「法人の財産などがわかる」ものととらえて大丈夫です。
左側が(借方と呼ばれる)「資産の部」。
右上が「負債の部」で、右下が「純資産の部」です(合わせて貸方と呼ばれます)。
正しく仕訳を起こす限り、左右(貸借)それぞれの合計が同じ金額になる(バランスする)ように作られています。
イメージとしては、左に「法人の資産」があり、右に「法人の資産の取得財源」が記載されている感じです。
□資産の部-流動資産
1年以内に現金にできるような資産が載っています。
例:預金、事業未収金、前払費用
□資産の部-固定資産
1年を超えて長期で保有するような資産が載っています。
継続的に事業に活用していく資産と考えることもできます。
例:土地、建物、構築物、器具備品、積立資産
□負債の部-流動負債
1年以内に支払期限が到来する(法人からお金が出ていく)ような負債が載っています。
例:事業未払金、職員預り金、賞与引当金
□負債の部-固定負債
1年を超えた支払期限の負債などが載っています。
例:長期借入金、退職給付引当金
□純資産の部
基本金(事業開始時の寄附など)や法人の活動により得た利益(損失)などが計上されています。
【三表の整合性】
計算書類はそれぞれ共有する数値を持っています。
それらが一致することで計算書類の信頼性が上がります。
共通する数字が一致していることを「三表の整合性がとれている」と表現したりします。
□貸借バランス(BSとBS)
貸借対照表「資産の部」と貸借対照表「負債・純資産の部」は一致します。
「貸借対照表の右と左が一致する」と覚えていればよいでしょう。
□貸借と事活(BSとPL)
貸借対照表「次期繰越活動増減差額」と事業活動計算書「次期繰越活動増減差額」は一致します。
「貸借対照表の右下あたりと事業活動計算書の一番下は一致する」と覚えていればよいでしょう。
□貸借と資金収支(BSとCF)
貸借対照表から算出される「支払資金」と資金収支計算書「当期末支払資金残高」は一致します。
「貸借対照表から計算される数値と資金収支計算書の一番下は一致する」と覚えていればよいでしょう。
「ところで、”支払資金”ってどうやって計算すればいいの?」
答えは下に書きます。
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