あひるのトト 第2話
新しい朝、トトは池を後にして新しい場所へと向かいました。
新しい出会いがあると期待して、トトは興奮と緊張で胸がいっぱいでした。
やがて、トトは別の小さな池にたどり着きました。
池には他のアヒルたちではなく、カエル、亀、金魚が泳いでいました。
最初にカエルに出会ったトトは、その飛び跳ねる動きに驚きました。
「なんでそんなに高く飛ぶの?」
トトは尋ねました。
「これが僕たちカエルの得意技さ」
カエルは得意げに答えました。
次にトトは亀に出会いました。
亀はとてもゆっくりとしていましたが、一歩一歩しっかりと進んでいました。
「なぜそんなにゆっくり進むの?」
トトはまた尋ねました。
「急いで何になる。大切なのは、確実に前に進むことだよ」
亀はゆっくりと答えました。
最後に、金魚と出会いました。
金魚は池の中を美しい泳ぎで駆け抜けていました。
「あんなに綺麗に泳ぐ方法を教えてくれる?」
トトは羨望のまなざしで尋ねました。
「それは生まれつきのもの。君もきっと何か得意なことがあるさ」
金魚は優雅に答えました。
この出会いからトトは、自分とは異なる特性や生き方に困惑しました。
カエルは高く跳べ、亀はゆっくりでも確実に進め、金魚は美しく泳げる。
それに比べ、自分には一体何ができるのだろうと、トトは自分自身に疑問を感じました。
その夜、トトは池のほとりで考え込んでいました。
何か自分も他の動物たちと同じように特別な能力や才能があればいいのにと思いました。
しかし、そんな答えはすぐには見つかりません。
「出会いとは、時には困惑と疑問をもたらすものなんだ」
と、トトは小さくつぶやきました。
だが、その困惑と疑問が、次に繋がる新たな一歩となることに、まだトトは気づいていなかったのです。
~つづく~