24/25 EFLカップ v Walsall (A) 分析記事

残留争いのライバルと引き分けた後4部相手とのスコアレスドローでCooperへの逆風は一気に強まることに。ポシティブな点はWardのPK戦での活躍くらいで、サポーターが求める選手を出しても監督の信奉するシステムでは全員が輝くことはできず。次のArsenal戦で立て直し、評価を取り戻すための"輝かしい"チャンスをCooperはものにできるのか。

Steve Cooperが直面するLeicesterの不穏な現状と不満の残るRicardo Pereiraの起用

「こんなの恥だ!」「なんとかしろ!」というチャントが就任7試合目で聞かれるのは普通なら急を要するまずい状況だ。しかしEverton戦後に示されたように、ここ1,2ヶ月のLeicesterファンの心情を知っていれば、それほど驚くことでもない。スタジアムの4分の1以上を埋めたファンからの声は彼にも聞こえたはずで、Cooper自身もこれについての質問を避けることはしなかった。彼はサポーターへチームの成功した姿を見せることを「切望」しており、「信頼を勝ち取る」必要があるとも語る。こういった声を無視したりそれから隠れたりしないことは正しいアプローチだ。信頼を得るための第一歩はサポーターの不満を汲み取りオープンにそれに取り組むことである。しかし、最終的に物を言うのはピッチ上のパフォーマンスであり、チームは今のところその点でまったく十分でない。

苦戦に現れたプランへの懸念

最終的にはPK戦で屈辱的な敗退は免れたが、90分を通しての出来はCooperのプランに対する信頼をさらに損ねるものだった。選手は10人替わったが、それでも数百万ポンドの値がつくトップリーグでの経験が豊富なラインナップだ。しかし相手のセービングやギリギリの守備に遭ったわけでもなく結果はスコアレスドロー。最初の枠内シュートは79分まで訪れず前後半で大きなチャンスを創ったのはWalsallの方だった。良いプレーは繋がらずリスクを取った攻撃は相手のカウンターを単に誘うだけだったし、後半の初めと終わりには大きなプレッシャーに晒され自陣から抜け出すこともできなくなった。

攻撃の機能不全についてCooperは次のように語った。「選手に求めるような瞬間はちらほらと見られた。」「私が交代でリスクを取る場合は、選手たちのつながりや流動性のことを考える。」「試合が進むにつれて一部の若い選手が必要以上のことにトライしはじめ緊張していった。良いポジションにつくことと同時にラストプレーを上手くやる必要があるが、そこが足りなかった。」

チームの形やゲームプランにリーグとの違いはほとんど見られなかったが、それで4部相手に1勝を上げるのがやっとなら1部で勝利を上げることは期待できない。今のチームはより強い相手にカウンター主体で挑むために組まれていて、この試合のようにプレーすることは少ないという見方もできる。しかし、深くセットされた守備は下位リーグ特有ではなく、プレミアのチームもリードを守るために行うことだが、これに対する答えをLeicesterは持ち合わせていない。練習場でこのシナリオに対する解決策を見い出せなければ、ゲームプランを刷新すべきだという議論に拍車がかかるだろう。

Ricardoは出場したが不満が残った

ファンはRicardoのリーグ戦出場を熱望しているが、こういう形ではない。WGとの兼ね合いにより、Ricardoが後ろに残りThomasが前線に上がった。Ricardoは攻撃でクオリティを示せる選手だが、それとは違う役割を与えられ困惑しているようだった。一方プランを継続し選手を休ませたうえでRicardoが前線に行く場合、Fatawuが内側に入る必要がありそれでは彼の良さが出ない。RicardoはFatawuより経験があり多才な選手なので、FatawuではなくRicardoに割りを食ってもらうのは妥当な判断だ。しかしサポーターが求めるのはFatawuとRicardoが両方得意なポジションでプレーすることであり、そのためにはシステムを変えるしかない。さらに残念なのは、Ricardoが後ろに留まったことで、彼がArsenal戦で先発する価値があることを示せなかったことだ。

以前の評価を思い出させたWard

3つのPKストップは救済と言うと言い過ぎだが、Wardにとっては素晴らしい瞬間だった。降格したシーズンで彼のSchmeichelのバックアッパーとしての評価は損なわれてしまったが、Wardはよくカップ戦の序盤に出てきてたくさんのセーブやPKストップで決定的な貢献をしてきた。WardはStolarczykの怪我により巡ってきたチャンスをものにし、彼の名前がスタンドで歌われるのを再び耳にした。Leicesterが次のラウンドに進んだのは彼のおかげだ。

Aresenal戦を前に損なわれた信頼

残留を争うチームにとってカップ戦は邪魔だと考える者もいるが、士気を高めるための勝利を得るチャンスと考える者もいる。しかしこの試合では、Walsallは3部も下のチームであるため勝利が自信につながることはなかっただろう。逆に、この試合の後少なくともファンの間では雰囲気がずっと悪くなった。今やArsenalに徹底的にやられる心配のほうが大きい。Cooperにとって、結果を手にしサポーターの信頼を勝ち取るための輝かしいチャンスがやってくる。

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