24/25 第3節 v Aston Villa (H) 分析記事
相手に合わせてのチーム変更は妥当といえるもの(Buonanotteは怪我もあった)だったので、後は交代の決断力が改善していくことに期待。元Tottenhamコンビの中盤はやはりプレミアでも通用するし、他の下位チームよりはチームとして戦えている印象も抱かせる。勝ち点剥奪も撤回された今、残留はかなり現実的なものに?
以下、下記分析記事の日本語での要約。
自身の要求に応えるためにCooper自身が下すべき決断
「このリーグで与えられる結果はない。欲しいものは自分で掴み取らなければならない。そのためには冷酷になることだ。私たちは求めるもののために冷酷になる意志はあるか?もちろんだ。」というのはAston Villa戦に向けたCooperの言葉である。的を射ているが、言うだけなら簡単だ。冷酷になるべきは選手だけではなくCooper自身もだ。Villa戦にその機会はあったが、手遅れになるまでそのチャンスにCooperは手を出さなかった。
Bogardeは3部より上の経験がない20歳のCBで、リーグデビューのこの試合では右SBに置かれた。彼が穴であることは明らかだし実際に見て取れた。Ayewはそれを見抜き彼からボールを奪いミスを誘ったが、一対一で相手を倒すような選手ではない。Ayewは替えられるような出来でもなかったが、もしCooperが冷酷になれたのなら、ハーフタイムでMavididiを投入していただろう。MavididiはTranmereに対しても苛つかせるプレーはあったが、昨年が彼がチームで一対一に最も優れた選手であることを証明している。ハーフタイムの後にもBogardeがカードを貰った場面もあったが、Cooperは同じ11人を使い続けた。結局Mavididiが入ったのはVillaの交代選手であるDuranが2点目を取った後であり、その5分後にMavididiはBogardeを抜きBuonanotteの得点を演出した。6分後に交代で入ったNedeljkovicは、Bogardeよりもさらに若いがわずかに経験がある本職のSBでもあるし、カードも貰っていない。この交代とともにEmeryはリードを保つため試合をスローダウンさせた。もしMavididiの投入が20分あるいは10分早ければ、もしあのゴールが同点弾だったのなら、試合は違っていただろう。Villaにとって2点目が必要な状況になっていたらよりスペースも生まれていたはずだ。
Cooperはこれまでの3試合はより良い結果になり得たと語ったが、この試合を決めたのはMavididiを早く投入しなかった彼の采配に思える。もちろん後から言うのは簡単だが、計算されたリスクを取ることが今季勝ち点を稼ぐには必要になる。幸運は勇者を好む、それだけだ。救いなのはCooperが自己批判ができる監督であり、この教訓を見過ごしはしないであろうことだ。今季を降格圏で終えてタラレバを語っているわけにはいかない。ピッチとベンチ両方で冷酷さを見せる必要がある。
NdidiとBuonanotteが示したバランスの難しさ
敗戦後一番の議論の的はMavididiとBuonanotteが先発しなかったことだったが、Cooperは難しい決断を迫られている。Villaのフィジカルがある中盤に対しBuonanotteではなくNdidiをSkippとWinksに合わせたことは理解できる。チャンピオンズリーグに出場する相手へのリスペクトとも取れた。SpursとFulham戦の入りを省みてこの試合は序盤で突き放されないことを優先したのだろう。それでも前半危険な攻撃をしていたのはVillaで、Hermansenの2つのファインセーブをLeicesterは必要とした。とはいえ前の2試合ほど序盤のプレッシャーはなかった。しかしこの選択が攻撃に悪影響を及ぼしたのは事実で、Vardyよりも主審のほうが前半ボールに触ったのではないかと思うほどだ。その一因はNdidiで、彼のコントロールミス6回はチームの他の全選手を4回上回り、その度攻撃を壊してしまった。本職ではないとはいえもっとできるはずだ。
今回のように相手の出方を探った後には果敢な交代が必要になるが、粘り強く戦うことで勝点を得るチャンスを生むこともできる。2014-15シーズンには、3点差以上で負けた試合がない状態で士気を保ったまま終盤に入ったことにより、7ポイント差の最下位から"great escape"を成し遂げた。この日は交代後はLeicesterが試合をコントロールし相手陣での保持率が上がったが、これはVillaがリードを守りに入ったためでもある。Cooperは序盤の守備を担保しつつ攻撃で脅威を生むためのバランスを模索している最中だ。Ndidiが持てる力を発揮すれば完璧なバランスに近くなるが、Buonanotteも守備でハードワークができるためこのバランスを取れるかもしれない。代表ウィークの宿題となるだろう。
CBの変更が生じさせる難問
MFだけでなく、DFでもCooperはOkoliを初めて先発させる変更をした。これまでVestergaardが悪かった訳では無いが、直接言いはしないもののCooperはWatkinsをはじめとするVillaのFW陣に対しスピードに不安を持っていた。「相手が違えば求められる性質も違ってくる」「誰が一番インパクトを与えられて相手の脅威を抑えられるかという問題だ」「Villaは保持も上手いがカウンターも本当に良い。それを上手く処理する必要がありそれがCalebだった。彼はよくやったと思う」と監督は話した。確かにOkoliは走り負けや当たり負けはなかったし、置いて行かれたとしたらどちらかというとポジショニングの問題だった。彼を押さえ込めるアタッカーは多くないだろう。これもバランスの問題だ。CBのコンビはお互いを感覚でカバーする場面が多く、お互いの理解を深める必要がある。組み合わせを頻繁に変えることは連携ミスを増やしかねないが、一方で相手と相性の悪い選手を使うことは適切だろうか。こういった難しい判断は今季何度か訪れるだろう。
高いポゼッションが与えた影響
試合の初めにボールを握ったとき、5, 6人の選手が同時に「落ち着け」というジェスチャーをした。結局この試合では57%のポゼッションを記録したが、これはCooperにとってプレミアの舞台で2番目に高い数字(1位はForest解任直前のEverton戦)であり、しかも相手は昨季リーグで7番目に高い平均ポゼッション率53%を記録したVillaだ。この違いは戦術やメンタルだけでなく、人の違いによるものでもある。Skippはパスを引き出すとともにWinksをフリーにする働きをした。さらにSkippが左に流れてAyewがサイドにより長く留まったことで、Kristiansenはパスの出す先ができ成功率が前回の59%から82%に跳ね上がった。これにより相手サードでのボールタッチは131回に上り、これはその前の2試合の合計より1少ないだけだ。ボールを持つことで相手の攻撃も少なくなり、VillaのLeicester陣ボックス内でのタッチは20でFulhamの30やTottenhamの58より減った。
Leicesterが苦慮したのはボックス内でチャンスを作ることだ。相手ボックス内でのタッチは若干増えたが、その内側からのシュート数は3で最初の2試合の6より減った。ここでも攻撃の選手の投入が遅かったことが気にかかる。とはいえ、これだけの相手に対しボールが持てたのは良い兆候だ。長いシーズンの中で、相手のゴール近くでボールを持てることはより多くのビッグチャンス引いてはゴールにつながるはずだ。
多くのチームが絡む下位争い
シーズン最初の代表ウィークを迎え、振り返って見れば勝ち点はもっと取れていても良かったと思えるが、多くの人にとって開幕からの3試合を見れば勝ち点1は大方予想通りだろう。SpursとVillaに対するパフォーマンスを見れば、降格を避ける戦いが十分できそうだと感じられた。Tottenham戦の前半を考えるとこれは救いだ。今季もう1つ幸運なのは、多くのチームが下位争いに入ってきていることだ。WolvesとIpswichも同じく勝ち点1だし、SouthamptonとEvertonはまだ0だ。昨季のForestはプレミア史上17位のチームでは一番少ない勝ち点32で残留したが、持つものと持たざるものの開き続ける差を考えれば今季も残留に必要な勝ち点は似たようなものになるだろう。しかしLeicesterはこの3試合で従来のセーフティラインである40や、さらに剥奪分の6, 8, 10点上に到達する力があることを示した。
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