24/25 EFLカップ v Tranmere (H) 分析記事
格下相手ではあるものの、SkippとWinksの連携など収穫はあった試合。RicardoやMavididiは昨季の中心選手たる力を見せたが、システム上やはり先発はあってもだいぶ先か。Cooperは攻撃でリスクを取ることを求めたようだが、Villa戦も終えた今振り返って彼の人選は…。
以下、下記分析記事の日本語での要約。
チームの変化を導く阿吽の呼吸とJordan Ayewが見せた移籍の必要性
Cooperはプレミアリーグとチャンピオンシップの差は世界中の1部2部間で一番大きいと言うが、であれば3部下の相手から得られるものはそんなにない。Tranmereに対し4-0と圧倒したが、週末のAston Villa戦にはほとんど関係ないだろう。しかし誰がスタメンを与えられるべき出来を見せたかについての議論はできる。この試合をもって、少なくとも1つの変更はあるかもしれない。
2000万ポンドという移籍金からSkippがベンチに居続けるとは考えられず、初スタメンのこの試合で1時間ほどで下げられたのは週末の試合のためと考えられる。これまでの試合でチームはビルドアップに苦戦し後方から抜け出せておらず、そのために相手の攻撃にさらされているため、この変更は妥当だ。Skippは確かな足元の技術がありパスがどこかへ行ってしまうことも少ないが、さらに重要なのはWinksと自然に理解し合えることである。ここまでNdidi、Soumare、Choudhuryの誰もRicardoのようなWinksとの連携を築けていない。彼らはWinksのスペースを潰したりお互いの邪魔をしていたりするし、Winksがきつくマークされたときの脱出ルートも提供していない。相手が4部だという注釈はつくが、SkippにはそれがなくWinksと違うスペースを埋めお互いのオプションとなっていた。彼らはTottenhamでの5年で18試合だけしかともにプレーしていないが、おそらく同じ教育を受けてきたことがこの阿吽の呼吸を生み出しているのだろう。またSkippはワンタッチのパスで攻撃を淀みなく進ませるところもよく、ボックス周りで連携や危険なエリアへの進入もできることから攻撃のオプションにもなり得る。Aston Villaの強力な中盤に対して、このTottenham育ちのペアが最善策と思われる。
RicardoとMavididiはアピールしたが先発には届かないか
Cooperのここまでの人選で議論の的と言えばRicardoとMavididiだ。彼らのこの試合での先発からのプレーはさらに議論を巻き起こすだろう。Ricardoの役割はおそらくプレミアでのものとは違うため、この試合でのパフォーマンスがVilla戦での出場につながることはないだろう。CooperはSBが上がりその前のWGが内側に入って10番の役割をすることを好む。これまで左上がりの形だったがこの試合では逆になった。右側ではRicardoが上がってMcAteerが10番になり、左ではThomasが後方に残りMavididiが開いていた。この形でRicardoは加入当初のように右サイドを自由に駆け回り、攻撃に存在感を示した。しかしプレミアでのスタメンはFatawuとKristiansenであり彼らはサイドに張ったほうが活きるため、選ばれるのはCBとしてよりフィジカルのあるJustinになる。しかもJustinとRicardoのどちらも左で使う気はCooperにはなさそうだ。Mavididiについては、前半は相手のSBをステップオーバーで抜くことも味方にクロスを合わせることもできなかったが、PKを決めてから良くなった。Mavididiも10番の役割はできるだろうが、De Cordorva-Reidほど自然ではない。彼の先発を待つ日々はまだ続くだろう。
Ayewのストライカーとしての出来が移籍の必要性を示す
もしクラブが望む通りの補強ができれば、AyewはCFではなくCrystal Palaceでの大半を過ごしたWGでのプレーが増えるだろう。LeicesterにはVardyと控えにDakaがいるし新しい9番を獲得する意思もある。Ayewがこの日示したのは新しいストライカーがもたらすかもしれないものだ。オファーを出したIoannidisはオールラウンダーで、ボックス内で脅威となるとともに足元にボールを受け相手からキープすることができる。Ayewは頻繁に中盤に下りながら攻撃を組み立てるとともに、MFが走り込むスペースを作っていた。一方でゴール含め彼のシュートはエリアの外からで、クロスが入るときなど必要な時に彼はボックス内にいなかった。チームに必要なのはVardyとAyewの中間で、足元でボールをキープしつつボックス内でスペースを見つけゴールを取れる選手だが、Ioannidisがまさにそれだ。
145試合の記録の終わりは近いかもしれない
2021年10月から145試合の間、少なくとも1人のアカデミー出身選手が出場していた。Harvey BarnesやDewsbury-Hallがいる間は簡単だったが、今は難しくなってきている。プレミアでのここ2試合で記録を繋いだのはMcAteerの終盤の投入であり、この記録はもう終わるだろう。試合のスカッドにアカデミー出身者が入っているのはもっと長い2018年の12月からでこれは続くかもしれない。しかしピッチに立つとなると、今プレミアにいてアカデミー出身者が誰も中心選手でないことから考えにくい。この記録が終わってしまうのは残念だ。この日最大の声援は4つのゴールではなくAlvesの投入に向けられた。悲惨な怪我から復帰しての18ヶ月ぶりの出場というだけでなく、彼は地元で育ちクラブで技術を磨いてきた選手なのだ。今季唯一の目標は残留であり、Cooperは経験に頼るやり方を選んだ。したがってLeicesterの若き才能に巡ってくるチャンスは少ないかもしれない。
バランスを探る中で推奨された変化とリスクテイク
71%のポゼッションを記録したのはしばらく振りだろうが、プレミアでは同じことは無理だ。しかしこの試合では90分間攻撃のパターンを試すことができた。同じようなポゼッションはできなくても、残留には創造的な攻撃が必要だ。毎試合スコアレスドローでは勝ち点剥奪がなくても生き残れない。ハーフタイムにはCooperは選手により大胆な攻撃でリスクと責任を負うよう求めた。「前半は多様な攻撃をすることでもっと脅威になれたはずだ」「Jordanは責任を負い変化を起こしてくれた。ドリブルや背後への走り、シュートにおいてこれがもっと必要だと感じた。彼らはこのチャレンジに乗り後半で3ゴールを上げてくれた。」Cooperのこの言葉はチャンスがずっと少なくなるであろうVilla戦でも心に留めておく必要がある。正しいチャンスまで辛抱強く待つこととチャンスで慎重になりすぎないこととのバランスが重要だ。5分に一度しか可能性のある攻撃ができないのなら、それをふいにする余裕はない。大人しく待っているのではなく、自分たちで事を起こすことをCooperは強く求めている。
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