24/25 第6節 v Arsenal (A) 分析記事
スコアの経過だけを見れば優勝候補のホームで2点差を追いつき引き分けまで持ち込む直前だった。しかしあんなシュートがいつも決まる訳はないし、毎回キーパーが十何本もセーブできる訳もない。結局チームを包む雰囲気は上向くことはなく、とても重要な4試合に向かっていくことに。
以下、現地分析記事の日本語での要約。
現実となったCooperの「最悪」とLeicesterに課される残留か利益かの二択
試合後にArtetaのタフな1週間について尋ねられると、Cooperは笑いながら「正直、我々の・私の1週間ほどではないかもしれない」とここ7日で受けたブーイングやチャントについて皮肉った。傍から見れば、優勝候補相手に2点差を追いつき終了間際まで競り合ったのはポジティブな結果で、EvertonやWalsallとの引き分けの後となれば雰囲気を盛り上げるはずのものだ。しかし詳しく見れば楽観視できるものではなく、4失点してなおGKが間違いなくマン・オブ・ザ・マッチというのは良いパフォーマンスとは言えない。
チームを勝ち点1に近づけたのは戦術やその実行ではなくHermansenの英雄的な活躍とJustinのとんでもないボレーシュートだ。Hermansen自身が認めたように36本のシュートを浴びるのは「単純に多すぎる」し、枠内シュート17本もLeicesterのここまで6試合での合計より2本少ないだけである。DFもよくやっていて、Sakaと対峙したKristiansenはLeicesterでのベストの出来だったし、Faesは集中を切らすこともなくOkoliはエリアを制圧した。3失点目でTrossardをフリーにしてしまったのは残念だったが、CKも得意とするArsenal相手によく守っていた。ところがこれらを踏まえても試合は一方的で、追加時間よりずっと前に試合が終わってもおかしくなかった。
Cooperは試合前にArsenal戦は他と同様に勝点3を得る機会であり、全くのノーチャンスとして扱うことより悪いことはないと語った。それには多大な改善が必要だ。同点弾までの5分間を除きチームはカウンターで脅威を与えることも相手のチャンスを減らすためにボールをキープすることもできなかった。こういった試合は今季あと3回(Arsenalとのホーム戦とMan City戦)しかないと思われるので、そこまで心配することもないかもしれない。しかし今回の試合を見れば、これらの試合にCooperが求めるようにチャンスを見出すことは難しい。今回のようなセービングやワンダーゴールは持続的な戦術ではない。スタンドやSNS、パブで疑問を投げかける人たちがよりポジティブに感じたとは思えず、Cooperにとって彼らを味方につけるためにやることは山積みだ。
降格シーズンからの大きな改善とそれが映し出す弱み
この試合でも、今季を通して最大のポシティブな面といえるビハインドからの巻き返しが見られた。裏返せば、Palace戦を除き試合の入りが悪く毎度先行を許していることは明らかな問題といえる。Cooperもこれには気づいているが、この試合は違うとした。「その疑問は尊重するし正しいが、今日は違ったと思う。相手はここ数年でベストの2チームのうちの1つであり、この試合は他とは違うタスクだ。」「前回のアウェー戦であるCrystal Palace戦は本当に良く、他とは違ったと思う。その指摘を否定したくはないし前半で我々は想定よりも苦しんでいるが、後半の良さをより重視しているし、それを我々は忘れるべきではない。」
この試合でもチームは僅かではあるものの後半に改善を見せ、諦めて内部分裂したり肩を落としたりすることはなかった。おそらくこれはプレミアでの豊富な経験によるものだろう。降格したシーズンの6試合目ではBrightonに5-2で敗れたが、このときチームは仲違いをし集中力や意欲を失っていた。今季の一体感や反発力、情熱を引き出しているのはCooperだ。もしチームが試合の入りと最後の数分を改善できれば、すぐに結果はよくなるだろう。やや作為的ではあるが、試合の20分から80分だけを取り出せばLeicesterより良い得失点差をもつクラブは5つしかない(Arsenal、Chelsea、Liverpool、Fulham、Newcastle)。
見えてきたJustinの起用法の長短
ボレーシュートでの得点には彼の最高級の技術を要したが、Justinがあのポジションにいたのはゲームプランによるものだ。前半唯一の攻撃では、ボックス内まで駆け上がりVardyからボールを受けたJustinを、Arsenalの選手は捕まえることができていなかった。Arsenalが学ばなかったのか、単に守るのが難しかったのか、同点弾のときもJustinはエリア内のスペースに走り込んだ。
一方でArsenalの得点よりも大きなチャンスを生んだのもこのゲームプランだ。Justinはポゼッション時WGが中に入って空けたスペースを埋めることを求められるが、彼が前に走ってすぐにボールを失うと広大なスペースをMartinelliに使われ失点してもおかしくない場面を作られた。問題はいくつかあり、まずJustinはチームがボールを落ち着けるまで前に行かないほうが良いだろう。しかし慎重になるとマークを振り切ることが難しくなる。もう1つの問題はカバーが出来ていないことで、Justin以外のDFにはスペースを埋める動きが無くMFも危険を察知できていない。この戦術が成功を収めるには、まだまだ改善する必要がある。
Hermansenはチームに残留か思いがけない収入をもたらす
かつてArsenalがPetr Cechを獲得したときJohn Terryは勝ち点12から15をもたらす移籍だと語った。それは誇張だが、ゴールに誰がいるかは違いをもたらす。22-23シーズンでは、降格した3チームのGKは受けたシュートのゴール期待値において最低のパフォーマンスだったが、今季は降格したとしてもそうはならないだろう。なぜならHermansenは昨季に見せた能力をプレミアのより優れたフィニッシャー相手にも発揮しているからだ。昨季は足元の技術を披露した一方、この試合ではは素早い反応や完璧なポジション取りにより信じがたいシュートストップを重ねた。今回はできなかったが、彼がもたらす勝ち点が残留と降格との差になるかもしれない。もしも降格した場合、Hermansenのおかげで財政面での心配は減るだろう。600万ポンドで獲得した彼の価値は今や6, 7倍となっているに違いない。
LeicesterとCooperにとって決定的な期間が始まる
2ヶ月が過ぎ、Leicesterのシーズンはここから始まる。6試合で勝ち点は3だが難しい試合が続いたのも事実である。昨季のベスト5のうち3つと戦い中位のクラブ2つとアウェーで戦った。勝ち点3を得る現実的なチャンスはEverton戦しかなかっただろう。次のBournemouth (H)、Southampton (A)、Nottingham Forest (H)、Ipswich (A) の4試合は今季を占うものになる。最低でも3つ勝てれば雰囲気はぐっと良くなりその先に向けての基盤ができるだろう。もしも1勝以下であれば、Cooperは「タフな一週間」をもう何度か迎えることになる。
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