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こっそり日本に帰国。

1年半年ぶりの日本は湿気で体が重たかった。
僕は日本でわりかし体調不良が続いて参っていたのだけれど、バンクーバーで生活してみて、思い悩んでいた不調がきれいさっぱり霧散していたことに、何やら明るさを欠いた羽田空港に降り立った瞬間に思い知らされた。

バンクーバーから日本まで10時間。
機内はまだ店に並ぶ前の総菜みたいに、静かにパックされるのを待っているみたいで、僕はその様子を想像するだけでクスリ。

荷物受けレーンで、僕を通り越して飛び交う言語が日本語だと気づいたとき、僕はカナダで使用していた携帯キャリアのSIMカードをいそいそと抜いていたところだった。あぁこんなに知っている言語が沢山。

英語、中国語、インド語、スペイン語、韓国語。
何気なくロブソン・ストリートを歩ている時、豊かな笑みをたたえてすれ違っていく人々は言葉も様々で、声のリズムや表情、身振りまでもが、一つ一つ趣の異なる短い劇のようだったダウンタウンから離れて今は、すべて聞き取れてしまうものだから、突然、誰かに脳をハッキングされて直接頭の中に話しかけれられているような、ちょっとした浮遊感を感じた。
現実感が伴わなかったのかもしれない。
けれども、普通にどこでも母国語が通じるということの安心感ったらなかった。

言葉にすると当たり前だけれど、イレギュラーなときも母国語を話せない、問い合わせにも日本語が使えない海外生活を経てみると、僕が知っている日本語を確かめるように、手当たり次第に誰かに話しかけてみたかったけれど、周りの人々の疲れた表情を見ていたら遠慮の気持ちが生まれてしまった。妙にご機嫌な日本人と話してもいいと思っている日本人なんて少なくともその日の羽田空港のどこにも見当たらなかった。

それから数日、僕は日本を見つめている。
まずは会計が不便だ。カナダはキャッシュレス決済が基本だから現金を持ち歩かずに、各銀行のデビットカードを持ち歩くか、スマホにその情報を入れて電子決済。
僕の知り合いにはスマホケースに、デビットカードを挟んでいる強者が数人いたけれど、もしもスマホをどこかに置き忘れてしまったら、日本みたいに交番はないから、どうしたって、自分の手元には戻ってこない。
わざわざ2つのリスクを同じ場所に集める気が知れなかった。

話を戻して、日本は基本的にまだ現金が主流だから会計が面倒だ。
街中で婚約者とその話をしたら途中で遮られた。
どうにも日本ではデビットカードはあまり良い印象を持たれないらしい。

それから思ったことは『天気が良い』
レインクーバーは本当に晴れない。
10月から6月くらいまでの間、雲が陽射しを遮って、まるで水を欲した砂漠の漂流者のように太陽を渇望していたから、こんなにもオアシスがあるなんて、と感動。
やっぱり晴れはいい。

もっと他にもいろいろ書いてみようと思ったけれど、久しぶりに文章を書くから、イマイチ書きにくいような、筆が自分の手から離れてしまったかのような気持ちになるので、機会があればまた別の機会に書いてみたいなと思った。

次に書くときはカナダに帰っている時かもしれないし、もしかしたら別な国に行っているかも。


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