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流れる時間。初日を終えて。


昨日、自身初の写真展の幕が開けた。

息子の寝かしつけを済ませてから1日の記憶を残そうと考えていたけれど、
寝落ちをしてしまい、気がつけば展示二日目の朝を迎えていた。

振り返ると、すごくあっという間に時間が過ぎていた。

朝、開店と同時くらいの時間にお店の近くで美容室を営んでいるという方がコーヒーを買いに来てくれた。この時間の店内には、コーヒーの豊かな香りとフィナンシェが焼き上がる時に湧くバターの香りが混ざり合って、幸せな匂いが充満している。充満しているのがお店の外にも溢れ出している。

職場の近くに日常的に立ち寄るカフェが在ることがとても羨ましくなった。

受け渡しを待つ合間に僕の写真を見てくれていたので、話しかけてみるといろんな国に赴いていて、写真を撮っているという方だった。展示している写真を見て、良いですね。と言ってくれたけれど、僕はむしろそのお客さんの旅の話にとても興味が湧いていた。
帰った後にSNSで改めてお礼を言うと、“また写真が撮りたくなりました。“とコメントをくれた。

こういう偶然の出会いが生まれるからこそ、展示をする意味があるのだなと実感した。

スケジュールの合間を縫って、片道1時間、2時間かかる場所に住む友人もたくさん駆けつけてくれた。僕の写真展をこの日1日の目的に据えて来てくれた人もいた。

親友は、家族で花束を抱えてやってきてくれた。大人と言われる年齢になってから初めて誰かから花束を貰って、嬉しかった。家に帰って母に渡すと、嬉しそうに編みカゴに生けていた。

息子と同じくらいの子を持つ中学生時代からの友人たちもきてくれた。
お陰様で、会場のholmが僕の息子も含めて保育園状態になっていたけれど、とても刺激的でエネルギッシュな空間が生まれていた。0歳から3歳までのこどもだけで僕の記憶が正しければ10人のこどもが同じ空間にいた。小規模保育園ができてしまいそうで面白かった。多分会場のholmとしても今年の7月にオープン以来これほどお店が活気に満ち溢れた時間はなかったように思う。どちらかと言えば、普段は何の気無しに立ち寄れるようなほっと息をつける静かなお店だ。

こどもの持つ何に対しても素直で好奇心旺盛な姿勢はいつ接しても気持ちがいいし、僕はずっとそう在りたいと思っている。

山仕事に就く前に、前の職場で大ケガを起こしたときに当時の上司から松田くんは好奇心を少し抑えないといけないね。と言われた。この時の1日の記憶を僕は失ったことになっている。今だから言えることだけど、実は入院して1週間くらい経って記憶は蘇っている。すごくバカなことをしていた。記憶があるからこそ、今の山仕事への意識に繋がっている。こっそりこの場で懺悔しておこう。生きているから言えることだけど、人は自分の好奇心に蓋をするのは良くないことだと思っている。

当時の上司からかけられた言葉で今の僕の一部ができている。今でもその仕事ぶりを尊敬している。

夕方になるにつれて、お客さんもまばらになり、再びholmにゆったりとした時間が流れ込んでいた。holmで過ごす開店してすぐの時間と閉店する時間が特に好きだ。

何よりも嬉しかったことは、holmが好きでholmに親子2人で足を運んだくれたお客さんがどの写真も素敵ですね。でもその中でも私はこの写真が好きだよ。と言って、1枚の写真を買ってくれた事。

売ることを第一の目的にした写真展ではないので、写真の値段はテキストとして提示してなかった。聞かれたらいくらです。と伝えるようにしていた。この日初めて僕の写真を見てくれた方が写真を買いたい。と言ってくれたことに書いていて目頭が熱くなっている。庭に大きなザボンが今年初めて実ってね、と嬉しそうに写真を見せてくれてこちらも嬉しい気持ちになった。

こんな感じで、写真展1日目は幕を閉じた。

展示は今日と明日までですが、いずれも在廊しています。
今回、都合が合わず、来れなかった友人のために会期が終了してから改めてnoteに展示内容を公開しようかな。と考えています。が気持ちは変わるかもしれません。

残り2日間、holmへのご来店を心よりお待ちしています。



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松田佳之
山のため、子のため、写真のために使わせていただきます。いつかお会いできれば嬉しいです。