好きな音楽について語りたいけれど
好きな音楽のことについて書く時、自分にそのための技量がなさすぎるのがもどかしい。
どの音楽ジャンルにも魅力を感じているからジャンルで語ることはできないし、そもそもただ好きな曲とそれ以外があるだけなのだが、好きな理由を伝えたい時に、核心部分がいつも言えないのだ。
他の人の音楽の紹介を見てもそうなのだが、どうしても歌詞について言及してしまうのである。
もちろん特別に語りたくなるほどの歌詞やフレーズはある。
でもそれは歌詞のある音楽の時だけの話だし、結局歌詞だけが単独で素晴らしい曲などないような気がする。
曲がよくないと歌詞の良さを見落とすというか。
本当はメロディとかアレンジとか「音」について語りたいのだけど、そういう知識がないのが残念。
そういうのがあったら、自分の好きな音楽についてもっと自由に書けるし、考えることができるのに。
などと書いておきながら、以下歌詞について書こうと思う。
私がいいなと思う曲の歌詞は、自分の現在の状況や過去の出来事に直接的な形で関係なくても心に訴えかけてくる歌詞だ。
失恋したばかりなら失恋の歌に説得力を感じるだろうし、親を亡くしたことがあれば親を思い出す歌に心がひかれるだろう。
それはおまけの加点がされているようなものだから、特になんとも思わない。
「直接的な形で」とわざわざ断ったのは、心に訴えかけてくる、ということそのものが自分の心の中にそれと感応する何かが蓄積されていてはじめてそのようなことが起こるわけだから、まったく無関係な状態とは言えないよな、と考えたからだ。
じゃあそのような歌詞の特徴は、と言われたらもうここで答えに窮してしまうのだけど、あくまでも判断基準は自分の中にしかないが、表現に輝きがあるものとしか言えない。
反対に輝きがない、というのは誰でも同じその言い回しでそのことを表現しているよね、というものだ。表現に手垢がついている、とかありきたり、とかいうあれだ。
佐野元春の「SOMEDAY」という曲がある。
この世のすべての音楽の中で一番好きな曲は何か、答えるのは相当難しいが、候補として頭によぎるくらいには好きな曲だ。
曲がよくて佐野元春の歌唱も良いが、そのことはうまく説明ができないので割愛するけれども、この曲を聴いた10代の頃、私はこの曲に心をとらえられた。
青春が終わったことを自覚し、大人になろうとしていく一時期の歌だと思うのだけど、そして私はそれには少し早い時期だったけれども、この歌詞の意味がはっきりと伝わってきた。
「窓辺にもたれ 夢のひとつひとつを 消してゆくのは 辛いけど」
「いつかは誰でも 愛の謎が解けて ひとりきりじゃいられなくなる」
この歌詞が特に脳裏にこびり付いた。
これからもすてきな曲をたくさん聴きたいし、頭の中にすてきな歌詞を詰め込んでいきたい。
まだ私が知らないすてきな曲も、いつか聴いてみたい。