結婚式狂想曲〜アーメンとJOY〜
第一話
第二話
11月4日
ついに当日。
雨男雨女で有名な我々にしては珍しく晴天。結婚式日和そのもの。
ところで、披露宴の流れはよくわかってるんだけども、そこに至るまでの流れは全くと言って良いほどわからない。11:30集合と言われるがまま会場に行く。
この日は隣接のホテルに一泊。それも式の費用に含まれており、式の準備もまずはホテルで行うようなので、スタッフさんに導かれるままにホテルに連れて行かれる。
え、ここに泊まれるんですか?聞いてなかったんですけど。いや、宿泊は聞いてたけどさ…ってくらいラグジュアリーなお部屋である。
ちなみに素泊まりだったので「朝食とかって…?」と尋ねたら『おひとり様6000円でお付けできます(スマイル)』と言われて「ふぅーん(ふぇぇぇ)」ってなったのは内緒である。
ちなみに私はこういうラグジュアリー感やハイブランドみたいなものがどうにも苦手というか、なんかフワフワしちゃうのです。わかるかな、なんか場違い感じっていうか、罰当たり感っていうかね。「いや、ちがうんです、ちがうんです」って気持ちになる。何がちがうのかは分からないけども。同じ気持ちになる人は優しくスキしてくださいね。
まぁそれは良いとして、ここから花嫁準備。顔を含めた上半身のフルメイクとヘアセットを経て、ファーストミートがある。なんか良さげなお肉の話ではなく、花嫁のドレス姿とご対面する儀式?のことで、上等なお肉の話ではない。そのためドレスを見てはならない私は丁重に洗面所に押し込まれ、お風呂場の椅子に座って1時間、まんじりともせずその時を待ったのであった。メイクさんから『絶対開けないでください』と言われた私はさながら逆鶴の恩返しである。あまりに暇すぎて機でも織ってやろうかと思ったけど、機織りもない。そこで暇潰しに引き出しという引き出しを引っ張り開けてアメニティ確認の鶴になったわけだが、引き出しじゃない取手まで引っ張って1人恥ずかしくなっていたのもここだけの秘密である。
ちなみに肝心のファーストミートは感動したんだけど、メイクさん(2名)とカメラマンさんに見詰められた中だったので変に緊張して「おっおぅ」と変な声を出した朧げな記憶。
◇◇◇
さてさて、いよいよ式である。
式は神前式…なんだけど、こちらも全くのノー情報。というのも、式の前5分でリハーサルをして、そのまま本番という強行スケジュールである。
そこで初めて神父様と対面。もうなんていうか、THE 神父様って感じの神父様で、妙齢で優しく、きっと虫だって「慈悲の心を持ちましょう」と殺さないタイプである。
んであれよあれよという間に本番。
チャペルに入る前まで神父様はお優しく「とにかく、『はい、誓います』。これが言えれば、大丈夫ですからね」と優しく励ましてくれるのである。
神父様が先にご入場されたのち、私の入場。おや、思ったより緊張するなこれ。
そしてバージンロードを歩いてきたお義父さんから妻の手を取り、神父様の前に。
神父様は聖書を開いてお説教を優しく読み上げる。頭には入らないけどわかるぞ、
今、
確かに私は、
結婚式してるーぅ!
その刹那である。
お説教を読み終わった神父様が一言。
いやね、普通じゃん?アーメン。普通でしょ?よくあるやつじゃんね。違うんだよ、この神父様のアーメンは違うんだよ。普通のが
だとして、私の目の前にいる神父様は聞き間違えようもなく、
なのだ。何この変異種アーメン。聞いたことないぞ。リハーサルでやっといてよ!
そう思った瞬間、頭の中のノブ(千鳥)が『アーメンのクセがすごいんじゃあ!』って叫び出すし、反対側で『テテーン、はやぶさ、アウト〜!』って聞こえてくるし、もうダメだよ。誰かケツをぶってくれよ。絶対妻も内心笑っとるぞこれ。
そんな中、私の親族側からはなんか啜り泣く声が聞こえてくる。
…多分母だ。
感動しやすく、よく分からないタイミングで謎のスイッチが入りやすい母が泣き出してるのだろう。多分もう少し前から泣いていたのかもしれないけど、なんであの強目のアーメン聞いて泣けるんだよ。かぼちゃの天ぷらでご飯食べれちゃうやつかよ。
しかし、ここで笑うわけにはいかない。
漢はやぶさ、心身滅却である。
もう何があったか覚えてないが、ようやくあの誓いますのターンである。
神父様「汝、〜誓いますか?」
はやぶさ「はい、誓います」
終わったー!仕事成し遂げたよー!
自分でも聞いたことない声で返事したけどちゃんと言えたぞー!
…と緊張の糸が解けるところでしょ?
ここで、リプレイをご覧ください。
いやぁー言い終わる前の素早いカットインアーメンでした。しかもさっきよりちょっと声量弱めブレス多めで来たよ。家系ラーメンみたいな調整まで効いちゃうのね。まるで「あーよかったね」とか、「うん、そうだよ、大丈夫だよー」みたいな慈悲に満ち溢れたアーメンだったわけだけども。この神父様は式中は語彙をアーメンに託して緩急を使い分けるタイプの能力者なのかもしれない。
そして相変わらず啜り泣く母。もうめちゃくちゃだよ。
もうはやぶさのHPは0なのですが、神父様はさらに追加のお説教で「JOY」について語り出すのです…
と、JOYを3回ゆったりと時間を使って繰り返す。流石にあのアーメンの応酬をもろに顔面に喰らった私からしたらもうJOY程度なんてことない…って思うじゃん。すごい言うのよ、
なんなら神父様が持ってる聖書の内側が見えて、黄色い付箋が貼ってあって、何書いてるのかなって思ったら、
もうやめて下さい。もうタイキックでもいいんで、お願いだからやめて下さい。
こうしてアーメンとJOYで彩られた私たちの結婚式は、無事に?終わったのでした。