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還暦のわしがインドに呼ばれて来たんだけど Vol.14
「見てもいい?」
隣の席に座っている女の子がスワミ シバナンダの本を見て言った
「いいよ」
本を手渡すと、しばらくページをめくりながらなにやら
ノートを取り出してメモをし始めた
真剣に思う。使える英語教育を日本もして欲しいもんだ
結構単語は難しいのに彼女にとっては普通なんだよな
「どこから来たの?」
書く手を止めてこちらを向いて彼女が言った
インド人の女の子の目の力ってつよいよな
歳は中学生くらいかなあ
おぢのくせにちょっと臆しながら
「日本だよ」と答えた
え、日本なの?
彼女は目を見開いて一緒の席に座っている母親にヒンドゥ語で
何か話してる
「日本のどこから来たの?」
「広島だよ」
ちょっと興奮した感じで早口でお母さんに何か話している
彼女は料理が来るまでの間、頷きながらメモを続けた
彼女が頼んだチョウメン(焼きそばみたいなもの)
が来ると人懐っこい笑顔でありがとうと言って本を返してくれた
わしが先にターリ(定食)を食べ終わり、席を立つと
彼女はバイと言って笑顔で手を振る
中学生、高校生の多感な頃に読むにはちょっと麻薬的な感じがする
な。この本は
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昼ごはんを食べると少しお昼寝。ヨガを始めて短い時間で
深い眠りが取れる
30分くらい休んだら、中庭の芝生にヨガマットをひいて
股関節と肩甲骨のストレッチ。このおかげでヨガも確実に楽に
なっている。いくつになっても柔らかくなるもんだね
午後のヨガは3時30分から1時間。そのあとは20分間の瞑想だ
ヨガをやっている人なら知っていると思うが、アーサナ(ポーズ)に
入る前に『オーム』を3回、続いて『シャンティ』を3回唱える
その日も先生と一緒にオームと唱え始めたんだけど、インド人の
ちょっと体格の良いおばちゃんのオームとシャンティがとても
音痴
おまけに声が大きい
先生以外のヨガに来ているひとはおばちゃんの絶妙な音痴の
マントラに引っ張られる。わらってはいけないので余計に
腹筋がひきつる
まさにインド版笑ってはいけないだ
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ヨガが終わって、歩いていると前を歩いていた綺麗な子だなぁと
思っていた子が、インド人に「きみは日本人か?」と話しかけら
れている。いや、どう見ても日本人違うし、
「日本人は私です」と言うと、インド人もその子も大笑い
「どこから来たの?」
「イランよ」
身長は175㎝くらいか。エキゾチックな風貌にあいまったスタイル
「日本人はないよね」
「よね」
彼女の名前はジェディ。リシケシに来て15日目
アシュラムに泊まりたかったのだけど、部屋が空いてなくて
タポパンというおしゃれ地域のゲストハウスに泊まって
ドロップインのヨガクラスを受けているらしい
タポパンからこのアシュラムまでは歩いて30分くらいだ
「よく部屋取れたわね」
「それがさ、ここに着くまでいろいろアクシデントがあってさ」
「受付に着いた時にはもう動けませんな感じだったわけ」
「最初部屋はないと言われたんだけど死ぬるって言ったら」
「特別よ。って部屋を用意してくれたんだよ」
「すごい演技力ね」
「いやほんまに死にそうだったから」
彼女と食べ物の話しとか新鮮な野菜ないよねとかたわいのない
話しをして、じゃまた明日ねと言って別れた
リシケシの夜は長い
9時の就寝まで瞑想をしよう