子どもの習い事問題
私は習い事というものをしたことがない。
母子家庭で子ども二人を大学まで出した母親には感謝してもし足りないため、こんなことを言ってはいけないのだろうけど、私は習い事というものをしてみたかった。
ピアノをやりたかったし、塾にも行ってみたかった。
我が家の経済事情を想像することもしなかったくらいの年齢の頃に、母親に言ってみたこともあるが即却下だった。
なので高校に入ってバイトをするようになるまで暇を持て余し続けたのである。
小学生の頃は、夕方学校が終わると道草をするなり友達と遊ぶなりして帰宅し、はじめ人間ギャートルズ・五時に夢中からのマンガ読んでおじゃる丸忍たま乱太郎イナズマイレブン→風呂飯睡眠であった。
塾に行ってる友人からは羨ましがられたが、私は塾に行って他校の友達がいる彼らのほうがはるかに羨ましかった。
スイミング習ってる子は水泳の授業でぐんぐん泳いでいたし、ピアノ習ってる子は合唱コンクールで大活躍。
なんとうらやましいことか!!!
私は音痴だし泳げもしない。
アナ雪歌ってても「なんの歌?」と聞かれるわ、クロールどころかバタ足すらできないわ、せいぜいケノビで10mくらい前に進むだけ…という才能まるで無し人間なのである。
なので!我が子には絶対何かを習わせたい。
授業で恥をかくことがないように、就活でずっと続けていたことを聞かれたときのネタに困らないように、生後8週で保育園送りにした母からのせめてもの愛…
ちなみに私がずっと続けていることはツイッターです。
携帯を持った高一のころから続けているのでかれこれ10年以上やっています。もしかして死んだ方がいいですか?
ということで休みをとりスイミングスクールに旦那と息子と3人で行きました。
プールと聞いて浮き足立つ我が子。
おそらく夏に行った読売ランド的なものを想像しているのだろう、全身でワクワクしている。
これからいくところは読売ランドでは全くない。
まだ3歳なのにスイミング教室入れちゃって大丈夫なものか…となんとなく不安だったが、3歳からやってました✨と言える何かがあるのはかっこいだろう。ということで受付を済ませ、旦那に着替えを任せ、私は子供達の練習の様子を見下ろせる階に移動。
数分たった頃、ちびっ子の群れがぞろぞろとプールサイドにやってきた。
か、カンワいすぎる。
ちんまいあたまに水泳帽とゴーグル、短い両腕には腕用の浮き輪。
ミニミニグッズフル装備で体操をしている様子、型を取ってオルゴールにして一生眺めていたい。
愛おしいエ〜
すると、今にも泣きだしそうな我が息子が先生に手を引かれてプールサイドにやってくるではないか…なんと…立派になられて…この国の未来はお前にかかっています…と、思わず戦国時代の母君の気持ちになってしまいました。
そんな感じで母君気分でみおろしていると息子と目が合ったので母君、手を振りました。
すると、我慢していた涙が決壊したのか爆☆泣
私にはその姿が福原愛ちゃんに見えました。
プロになるにはこれくらいの試練がなんですか!!耐えなさい。
試練を与えることが、母としての一番の愛。わかってくれ息子よ。
いつかオリンピック選手に…
…いやいやいや…高望みはだめだ。けのびしかできない母親にオリンピック目指せと言われる息子を思うとあまりにもかわいそうである。
所詮、私の子供。それにしては上出来。
終始爆泣きしているもののやることはやっているようで、無事に1時間経過、ほかの教室をまわるのもめんどいのでここでいいよね…?と事前に夫と話はついていたため入会手続きをする。
月額1万である。
正直、1万かあ…と思わないでもないというか全然普通に思うのだが、すっごく思うのだが、まあこれで将来息子がオリンピック選手になるかもしれないし…と、私としては月1万円の宝くじ感覚である。
でもね、ママね、オリンピックなんて言ってますけどね、泳げるようになってくれれば万々歳よ。
あわよくば…ね…オリンピック選手になって…シャネルのバックとか…プレゼントしてくれたらうれしい…けどほんと、できればでいいですから…けのびしかできない母君、多くは望まないから…というか週一の水泳でオリンピックは無理だから…なんでもいいけどさ…
ということでさっさと一万払って帰ろうとしたら動画を見ろと言われた。
いざ視聴開始するもコレ動画と呼ぶには長すぎるよ…映画か?てくらい長い。夫が2倍速にしたもののそれでも長い。飽きて横を向くと2倍速にした張本人は寝ている。肘で小突いて起こすも瞼だけあけて脳みそは睡眠続行していることがもろバレであった。
まあ…もういいか…なんでも…はやく金払って帰りたい…
と心底飽きているとようやく会計の時間になった。
1~2万かなくらいに思っていたんだが実際は入会金…スイミングキャップ…水泳パンツ…鞄…ノート…バッジ…手数料…etc.
なんと4万円近いではないか。
子どもを泳がせるために私は4万円払わなければいけないのか…強烈な眠気覚ましである。
「あ…あの…やっぱりいいです…」と言って帰りたい…!
母君は母君を引退します!!てしたい!
しかし夫はそれを許さないだろう。「ちみちゃん、いいじゃん、初回だけなんだからさ…」とか何とかいうのは目に見えている。寝ていたくせに…
恥をかきたくないのは誰だって同じだ。でも1万円だとおもっていたものが4万円だったら帰りたくなるのだってみんな同じではないだろうか…
帰りたい!!しかしイケメンスポーツインストラクターの前で「あ、やっぱいいです」を言う勇気が私にはない!
自分のことを戦国時代の母君だなんて形容して本当にすみませんでした。頼むから帰らせて…!!とおろおろしていたところ今度は私が夫に小突かれた。
払いましたよ。
たけえよ。
しかもですね、肝心の息子は2回目のスイミングも3回目のスイミングも「いきたくないいいいぃ」と爆泣きしていた。
息子よ、私だって「払いたくないいいいいぃ」なのだ。ただ、泳げないより泳げたほうがいいし、水泳やってる人間はみんな肌がきれいだし、肺も強くなるというし…やりなさい。
はたしてこのちびっこはいつか感謝してくれるだろうか。それとも幼い自分をむりやりスイミングスクールに入れた鬼母として恨むだろうか。
まあどちらでもよい。オリンピック選手になってシャネルのバックを買ってくれればそれでいい…嘘だよ…ちょっとほんと。
余談だが、夫は野球をやらせたがった。
しかし私が断固拒否したのだ。
というのも、中学生だった私はとある有名私立高校の野球部に痴漢をされたことがある。高校名がかいたエナメルを下げて駅で痴漢をはたらくあのジャガイモ男のキモさが大気圏突入並みだったためなんとなく我が子には野球をやってほしくないのだ。
夫も小中高野球をやっていたし部長だったらしいし、なんなら今だにやってるから、そこまで「野球部」に嫌悪感を抱いているわけではない。私はただあのときのジャガイモ高校生がきもいだけだし、野球と聞けば大谷翔平なのだ。なにより私も野球部の友達は何人かいるし、野球サークルのマネージャーだった。ただ、それでもなんとなく嫌なのだ。
元々のイメージの悪さに加えて洗い物がめんどくさいという欠点まである。泥だらけのユニフォームを毎週一生懸命風呂場で洗っている夫を見ると(この人、何が楽しいんだ?)と思ってしまう。
まあ夫からしたら毎月足と手にごちゃごちゃ石をくっつけに行く私こそ(何が楽しいんだ?)であるわけですからね、何も言いませんけども。
しかも装備品が高い。夫についてスポーツ用品店に行った際それなりに高くて衝撃を受けた。
みんな金かけてんのねえ…
ということで海パンあればOKの水泳にしました。
中学生になって野球部入るとか言い出したらどうしよう。
別にいいけど、ママネイルがアレだから…パパにあらってもらって…て感じである。
子どもッて金かかるなあ。
女手一つで奨学金に頼ることなく大学まで出してくれた母には感謝である。
息子よ、オリンピック選手になってくれなど言わない。
ただ巨悪というのはどこの世界にも存在する。たかだか30人ぽっちの狭い教室の中にも必ずいるのだ。その際はですね、バタフライで殺せるようになってください。これからの日本を背負っていくのはあなたなのですから…
追伸
4万円ってやっぱりたかい。