現場録〜接触イベント編〜

早いもので、私の大学生活も終わりを迎えようとしています。
この4年間、様々な舞台やライブ、トークショーなどのイベントに参加しました。
4年間で参加したイベントのチケット枚数を数えてみたのですが、ざっと数えて50枚ほどありました。食べてしまったチケットや電子チケットもあるので、正確な参加数はあやふやです。
一般的な大学生にしては多くのエンタメに触れてきたのではないでしょうか。そのおかげで、自分の鑑賞・観劇スタイルを確立できたように思います。
大学生から社会人へ変化し、今後私の様々な価値観は変化を見せ続けるでしょう。
これからの人生でより高精度な鑑賞・観劇を実現するために、ターニングポイントとなる今、4年間の中で特に印象に残った現場を振り返ってみようと思います。

まずは接触イベントから振り返ります。
接触イベントとはその名の通り、自分が追いかけているアイドルや俳優・声優などと握手、ハイタッチ、チェキ撮影等の接触ができるイベントです。
ライブ・舞台等で設けられる「客席とステージ上」という物理的な距離感がなく、直接会話や交流が出来るため、精神的にも推しとの距離の縮まりを感じることが出来ます。

私が最初に参加した接触イベントは、俳優:和田雅成くんの写真集発売イベントでした。

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・和田雅成ファースト写真集 「ORIGIN」発売記念イベント(2017/1/22)

2016年の秋に2.5次元舞台沼に足を取られてから、舞台での活躍がめざましい和田雅成くんの出演作品を何度か見ました。

演じている時の和田くんももちろんかっこよかったのですが、役を演じていない時の屈託のない笑顔や、インタビューでの真剣な表情を見るにつれ、和田くんの情報を追う頻度が増えていきました。


その彼が出身地の大阪で写真集発売イベントを行うと知り、「こんなに好きな顔を間近で見るチャンスがあるんやから見とかんと死んでも死にきれへん」という使命感に駆られた関西圏在住の私は、初接触イベントに向けてアクセルを踏むこととなります。

俳優の接触イベントでは、1冊購入で握手、2冊購入でサイン入り写真集、3冊購入でチェキ、という風に、課金することで接触の最高峰「チェキ撮影」に登頂できる追い課金システムを採用していることが多いです。他の界隈でもよく使われているのを見ますが、、、

和田くんの本イベントでも「チェキ撮影最高峰追い課金システム」を導入していましたが、当時あまりエンタメに割くお金の余裕がなかった私は、1冊の握手のみにとどめておくことにしました。


このイベントのチケットを得るためには、会場となるグランフロント大阪の紀伊国屋書店で写真集を購入するか、または紀伊国屋書店宛てに現金書留で書籍の代金を送る必要がありました。
私が住んでいる地域から大阪に行くにはまあまあの時間とお金が必要なため、結局手数料390円を支払い現金書留で書籍(チケット)を購入しました。将来は絶対駅近に住むと決心した瞬間でした。

和田くんの視界に入るのだから、できるだけましな格好をしていこうと思い、芋女なりに試行錯誤しました。
そして彼が雑誌(ネットのインタビューだったかもしれません)で「タートルネックの女性が好き」と言っていたのを思い出して、イベント前にブルーのタートルネックを買いました。案の定会場はタートルネックの女性ばかりでウケました。

会場入りしました。握手をする場所はカーテンで隔てられ、和田くんと参加者とスタッフさんのみの空間となっていました。
接触をする前の私にとって、和田くんは、天真爛漫な、なにわの明るいお兄さん、でした。
しかしいざ握手をしてみると、こんな芋女の手もやさしく包み込んでくれるし、少し屈んで目線を合わせてくれるし、何より笑顔がザ・プリンスの輝きを放っていたので、「出演される・・・・弱ぺダの・・・・舞台・・・・見に行きます・・・・」と蚊の鳴くような声で次の現場の予定を伝えることしかできませんでした。ちなみのその弱ぺダの舞台はチケット詐欺に遭ったため行くことが出来ませんでした。和田くん、嘘をついてごめんなさい。

握手の感触は一瞬で消え去ってしまいましたが、イケメンと握手をした芋女は胸の高鳴りを抑えることが出来ず、大阪に住んでいるオタクの友達に「和田雅成くんと握手した やばい めちゃ王子様 たすけて」という知能を天に置いてきたLINEを飛ばし介護を要請しました。

オタクの友達は急な要請にもかかわらず飛んできてくれ、初接触イベントで脳天が狂った私の話をたくさん聞いてくれました。
接触の話だけではなく、私は和田くんの写真集を見せて、「こんなに綺麗に口を開けてカレー食べる人みたことない」や、「白スーツ黒ネクタイはどう見ても葬式帰りやん」とか、写真集の感想もたくさん話させてもらいました。
極め付けには「わたしと握手したら和田くんと握手したことになるよ!間接握手!」と友達の手を握り締めていました。
この介護がなかったら、私はイベント後のアウトプットがこんなに楽しいものだと知ることが出来なかったでしょう。
その友達とは今も交流が続き、時々介護をしてもらっています。

・染谷俊之×小林裕和「月刊染谷俊之」リリースイベント 第一部(2017/4/16)

写真家の小林裕和さんが俳優とコラボする「月刊」シリーズの第三弾が、当時の私の推し俳優、染谷俊之さんの「月刊染谷俊之」でした。
この写真集も和田くんのものと同様に、「写真集をお買い上げいただいた方に俳優本人がお渡しをする」という形式でした。

チケットが先着順だったので、ネットで仲良くなった複数のオタクの友達にチケ取りを頼んだのですが、すべての友達が遺憾なく技術を発揮したため、チケットが重複するという事態に初めて陥りました。
チケットが重複してしまって捌くぐらいなら、初めからチケット譲渡サイトで購入するのが一番楽かも、とこの時思いました。

お譲り先をなんとか見つけることが出来、無事チケットを捌くことが出来ました。
そのうち1枚は当時仲が良かったオタクの友達に引き取ってもらい、私とその子で一緒にイベントに参加することになりました。

開演までにご飯を食べ、握手の時に染谷さんに何を話すか一緒に考えてもらいました。
そのうち接触イベントの時の手汗の対処法に話題が移り、「そば粉を手に撒くのが一番効果的である」という結論を得ることができました。

イベントはトークショーからの接触と言う流れでした。
和田くんの時のように、外から完全に見られない、仕切られた状態で握手をするのかな、と思っていましたが、トークショーが終了するや否や染谷さんが登壇していた舞台上に長机がでんと置かれ、「それでは今から握手の方を行なっていきます」というアナウンスが流れました。

もちろん会場には参加者がまだ座っている状態です。
ファンの視線を背後に感じながら握手をするなんて地獄すぎる。下手な発言をしてしまったら某掲示板に晒されかねないのでは、、、という恐怖が強すぎたため、開演前にぐでたまカフェで議論した染谷さんへ伝える言葉を、綺麗さっぱり忘れてしまいました。
おかげで何を話したのか今も記憶がありません。
「そば粉撒いてきました」と言おう!と意気込んでいた友達は「いつもお綺麗でありがとうございます」と伝えることが出来たそうです。

・輝馬1st写真集「T’s Photograph」発売記念イベント(2018/8/20)

この時期になってくると、私は好きな顔を至近距離で見るためには金と時間を惜しまないようになっていました。

このイベントも「チェキ撮影最高峰追い課金システム」を導入しており、私は息をするように写真集を三冊買って最高峰のチェキ撮影にたどり着きました。

開演時間が近づいてくると、スタッフさんが参加者に手のひら大の紙切れを渡しながら何かを呼びかけています。

「ポーズはピース、背比べ、たこやきからお選びください~~!!!」

初めてポーズ指定型チェキに遭遇しました。
背比べとは輝馬さんと背中合わせになって背を比べるポーズ、たこやきは指で丸を作り、自分の頬に押し当てるポーズです。
こうしてポーズを指定しておくと、チェキ撮影の際にポーズで迷う必要がなく、スタッフさんも撮影をしやすいというわけです。
加えて、肌の触れ合いが軽度で済むため、ヤバファンが輝馬さんにヤバポーズを指定する危険性も軽減されるのです。素敵なシステムだと思いながらも、スタッフさんが真剣な顔で「ピース、背比べ、たこやき〜!!」と呼びかけている図が中々にシュールだったので、時々顔がにやけてしまいました。

私は紙切れに表示された①ピース②背比べ③たこやき から、一番自分の写りがマシになりそうな③たこやきを選びました。
ピースでは自分の指の不細工さが際立ってしまい、横顔で写らねばならない背比べは私の鼻の低さが誇張されると推測したためです。
私はこの頃、女性アイドルやネットアイドル、コンカフェ(コンセプトカフェ。メイド喫茶のようなものです)店員も追いかけていたため、チェキ撮影をたくさん経験し、チェキ自体に対する耐性が出来ていました。

チェキに慣れてきたとはいえ、イケメンを目の前にした芋女の動揺は凄まじいものでした。自分の番が来てから、立てかけてあった看板を3回ぐらいなぎ倒した後に輝馬さんの前に立ちました。

輝馬さんは酒豪であるにもかかわらずにすらりとした長い手足の持ち主です。
当時なんとかお酒のカロリーに打ち勝ちたいと思っていた私は、「お酒を飲んでも太らない方法を教えて下さい」という当たり障りがなさすぎる質問をしました。「一緒に考えていきましょう」と輝く笑顔で返され握手をしました。

その後行きつけのコンカフェに行ってめちゃくちゃ焼酎を飲みました。酔いがまわってきた頃に「なぜ同じ写真集を三冊も持っているのだろう」と疑問が浮かんだことも含めて、楽しい一日でした。

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以上印象的な接触イベントを3つ選んでみました。やはり至近距離での接触の記憶は、舞台やライブと比べて、鮮明です。
そして接触の瞬間だけではなく、接触の直前のどきどきや、直後の高揚も含めて思い出深いのです。

とても楽しい接触イベントですが、その一方でコストパフォーマンスが圧倒的に悪いなと思います。
同じ写真集を三冊も買わなければいけないことや、たった数秒の接触のために何時間も電車に揺られなければいけないこと、こうした欠点を許容できるぐらい「好き」でなければ、接触イベントの参加には踏み切れないなと思います。

ですから、接触「だけ」のイベントには今後できるだけ参加しないでおこうと思います。

接触「だけ」ではなくて、トークショーの後に握手があったり、ライブ後にチェキ撮影があったり、
そうして接触以外がメインのイベントに、接触がついてくるものには参加したいなと思います。

私はもうすぐ社会人になります。
自由に使えるお金が増えるでしょうから、参加するイベントも取捨選択していかないといけませんね。

しかし今4足ぐらいわらじを履いてオタクをしているものですから、たぶん取捨選択ができる人間ではないのですけど。

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